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当ページでは、難民認定を受けるメリット、必要な手続を解説します。
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難民とは
難民とは、特定の社会的集団の構成員であること、または、政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがある等の理由から国籍外の国にいる人のうち、本国の保護を受けられない人(自身が臨まない場合も含む)をいいます(参照:難民条約第1条または難民の地位に関する議定書第1条)
日本における難民認定の手続では、外国人がこれらの要件に該当するかを審査し、決定します。
難民認定を受けるメリット
難民認定を受けた外国人には、次のようなメリットがあります。
- 永住許可要件の一部緩和
- 難民旅行証明書の交付
- 難民条約に定める各権利を受けられる
1.永住許可要件の一部緩和
通常の永住許可では、次の要件を満たす必要があります。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足る資産または技能を有すること
難民認定を受けた外国人が永住許可申請を行う際、「2.独立の生計を営むに足る資産または技能を有すること」という要件が緩和されます。
2.難民旅行証明書の交付
難民認定を受けた外国人は、申請に基づき、難民旅行証明書の交付を受けることができます。
難民は、本国または常居所国から旅券等の発行を受けられない状況にあるため、難民の入国に査証が必要な場合、難民旅行証明書を取得することで、有効な旅行文書と認められます。
また、難民旅行証明書をもつ難民が一次的に出国する場合、有効期間内であれば、再入国許可を取得する必要はありません。
2-1.難民旅行証明書の申請書類
難民旅行証明書は、下記の書類を提出して行います。
- 難民旅行証明書交付申請
- 写真
- 下記の書類の提示
a.旅券または在留資格証明書(これらが提示できない場合、理由書を提出)
b.在留カード
c.難民認定証明書
2-2.手数料
交付の際、5,000円がかかります。
2-3.提出先
難民認定を受けた外国人の住居地を管轄する地方出入国在留管理署までお問い合わせください。
3.難民条約に定める各権利を受けられる
難民認定を受けた外国人は、原則、難民条約を締結している国の国民、または、一般外国人と同様の待遇を受けられます。
難民条約とは、1951年に外交会議で採択された「難民の地位に関する条約」、1967年の「難民の地位に関する議定書」をあわせたものをいいます。
日本の場合、国民年金、児童扶養手当、福祉手当等の受給資格を取得することができます。
難民認定を受けた外国人は、原則、「定住者」の在留資格を受けることができます。
難民認定の流れ
難民認定申請から認定まで、下記の流れで行います。
- 申請
- 仮滞在の許可
- 難民認定証明書等の交付
1.申請
難民認定申請は、申請者の住所または現在地を管轄する地方出入国在留管理署(下表)に提出して行います。
札幌出入国在留管理局 | 審査部門 | |
---|---|---|
仙台出入国在留管理局 | 審査部門 | |
東京出入国在留管理局 | 難民調査部門 | |
成田空港支局 | 審査管理部門 | |
羽田空港支局 | 審査管理部門 | |
横浜支局 | 就労・永住審査部門 | |
名古屋出入国在留管理局 | 難民調査部門 | |
中部空港支局 | 審査管理部門 | |
大阪出入国在留管理局 | 就労・永住審査部門 | |
関西空港支局 | 審査管理部門 | |
神戸支局 | 審査部門 | |
広島出入国在留管理局 | 入国・在留審査部門 | |
高松出入国在留管理局 | 審査部門 | |
福岡出入国在留管理局 | 入国・在留審査部門 | |
那覇支局 | 審査部門 |
1-1.必要書類
難民認定申請は、次の書類を提出して行います。
- 難民・補完的保護対象者認定申請書(各国語版)
- 写真(縦4cm×3cm)
- 申請者が難民、もしくは、補完的保護対象者であることを証明する資料
- 下記の書類を提示
a.旅券または在留資格証明書(提示できない場合、理由書を提出)
b.在留カード(所持している場合)
c.仮上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可、一時庇護のための上陸許可を受けている場合は、その許可書
d.仮放免中の外国人は、仮放免許可書
1-2.申請手数料
手数超はかかりません。
1-3.審査基準
難民認定は、下記の基準にもとづいて行われます。
- 難民認定:難民条約の適用を受ける難民であること
- 補完的保護対象者認定:難民条約の適用要件のうち、迫害を受けるおそれがある理由が難民条約第1条A(2)に規定する理由以外を満たすこと
難民認定は、申請者から提出される資料、供述等に基づいて行われます。
このため、申請者自らが難民であることを立証しなくてはなりません。
2.仮滞在の許可
不法滞在者等の在留資格見取得外国人からの難民認定申請について、当該外国人が日本に上陸した日から6か月以内に難民認定申請を行った場合、または、難民条約上の迫害のおそれのある領域から直接日本に入国した場合等、一定要件を満たす場合は仮滞在の許可を受けることができます。
- 仮滞在許可による滞在
- 仮滞在許可書
- 仮滞在期間および延長
- 仮滞在許可の条件
- 仮滞在許可の取消し
(1)仮滞在許可による滞在
仮滞在許可を受けると、一次的に退去強制手続が停止されます。
これにより、難民認定申請者は仮滞在期間の間、適法に日本に滞在することができます。
(2)仮滞在許可書
法務大臣が仮滞在許可をした外国人には、仮滞在許可書が交付されます。
交付を受けた外国人は、これを常に携帯する必要があります。
(3)仮滞在期間及び同期間の延長
仮滞在期間は、原則、6か月です。
更新申請を行う場合、許可期限の10日前から各地方出入国管理局、支局、出張所の窓口で申請書を取得し、適宜申請を行いましょう。
(4)仮滞在許可の条件
仮滞在許可を受けた外国人は、住居、行動範囲の制限を受けるほか、日本においての就労は禁止されます。
また、難民調査官から出頭要請があった場合、指定された日時、場所に出頭し、難民認定手続への協力義務が課されます。
(5)仮滞在の許可の取消し
仮滞在許可を受けた外国人が上記の条件に違反した場合、不正に難民認定を受ける目的で変造した資料を提出した場合、虚偽の陳述をした場合等、仮滞在許可が取消される可能性があります。
3.難民認定証明書等の交付
法務大臣が難民であることを認定すると、難民認定証明書が交付されます。
難民として各種保護を受ける際、難民であることの証明を求められた場合にこの証明書を提示しましょう。
難民認定がされなかった場合でも、補完的保護対象者として認められた場合は、補完的保護対象者認定証明書が交付されます。
申請窓口
申請窓口となるのは、申請者の住所または現在地を管轄する地方出入国在留管理局、支局および出張所です。
難民認定のメリット、申請手続まとめ
当ページでは、難民認定を受けるメリット、申請手続を解説しました。