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当ページでは、パワハラに該当する場合と対処法、注意点を解説します。
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パワハラとは
結論からいうと、法律にパワハラの定義は定められていません。
令和6年(2024年)3月時点において、厚生労働省が示すパワハラの基準は下記の通りです。
- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの
- 1から3を全て満たすもの
出典:「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」より
パワハラの要件
上記を参考に、パワハラとして認められる要件を解説します。
1.優越的な関係を背景とした言動
業務を行うにあたり、対象となる言動を受けた労働者が抵抗、拒絶することが難しい環境を逆手にとって行われる行為を指します。
「優越的」とは、必ずしも上司・部下の関係をいうわけではなく、同僚、部下との関係も含みます。
具体的には、彼らの協力がなければ遂行が難しいことを理解しながら、故意に協力してもらえない場面等がこれにあたります。
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
業務上必要かつ相当な範囲とは、社会的な指針を基準として判断します。
わかりやすくいえば、「業務の遂行という前提に対し、必要または適切か」という視点をもって判断されます。
下記に該当するものは概ね不適切とされ、高確率でパワハラに該当すると考えられています。
- 人格否定
- 理不尽に厳しい叱責
- 過度な大声、長時間の拘束
- 高頻度かつ継続的
- 日頃の関係性
3.労働者の職場環境が害されるような言動
労働者の職場環境が害されるとは、労働者本人の主観によるものではなく、当該言動により、就業をするうえで見過ごせないレベルの支障が生じている場合を指します。
同じような業務に就いている平均的な労働者の感覚を基準とし、判断されます。
パワハラに該当した場合
問題となる言動がパワハラに該当する場合、次の措置が考えられます。
- パワハラ防止法にそった措置
- 労災認定を受ける
- 慰謝料請求をする
1.パワハラ防止法に沿った措置
事業者は、パワハラ防止を定める法律により、下記の義務を負います(労働施策総合推進法より)
- 事業所として「アンチ・パワハラ」の姿勢を周知
- 就業規則等に、パワハラを禁止する条項、違反時の懲戒規定を明記
- パワハラ防止研修の実施
- パワハラに関する相談窓口の設置
- パワハラ発生時、迅速かつ正確な事実確認を実施
- 被害労働者へのフォローを行う
- 必要に応じ、加害者に対する懲戒処分等を実施
- 再発防止策の立案
- 当事者のプライバシー保護
- 相談したことを理由に相談者に不利益な取扱をしない内容を規定
上記の措置を実施していない場合において、パワハラ防止は罰則規定を定めていません。
この点、厚生労働大臣は、労働施策総合推進法の施行に関し、必要がある場合、事業主に対し、助言、指導、勧告を行うことができます。
実務上は、労働基準監督署等から行政指導等が行われるものと考えられ、これらを無視した場合、事業者名、違反行為について公表される可能性があります。
2.労災認定を受ける
パワハラの内容が強度、または、継続的に行われることにより、被害労働者が精神疾患を発症した場合、労災認定を受けられる場合があります。
認定された場合、内容に応じた補償給付、一時金等の支給が受けられますので、専門医を受診し、診断書を取得することをオススメします。
3.慰謝料請求をする
対象行為がパワハラに該当する場合、加害者本人だけでなく、加害者を雇用している会社に対し、責任を問うことができる場合があります。
パワハラによる慰謝料は、内容、悪質性、継続性などの事情を考慮して算定されるため、会社の対応に問題があった場合、加害者、会社の双方に対し、慰謝料請求をすることもできます。
パワハラ相談の注意点
パワハラに悩んでいる際、労働基準監督署への相談を検討する人もいるでしょう。
しかし、労働基準監督署では、パワハラの相談に応じてくれない点に注意しましょう。
労働基準監督署は、企業の労働関係法遵守の監督、労災関連給付の支給を担う機関です。
ただし、未払残業代、強制的な長時間労働を伴うパワハラの場合、調査や是正勧告の対象となる場合もありますので、該当する行為があるときは証拠を保管しておくことをオススメします。
パワハラを受けた場合の対処法
パワハラを受けた場合、まずは専門窓口への相談を検討しましょう。
告発の際は、下記の証拠を提出することをオススメします。
- メール
- 音声データ
- 写真、動画
- 同僚の証言
- 被害者が作成するメモ、業務日報
- 業務命令、部署異動に関する書証
- 医師の診断書
写真、動画等に関する適法性
パワハラの証拠として、写真や動画、音声データを取得する際、違法性を心配される人がいます。
結論からいうと、違法性はゼロとは言えませんが、パワハラの証拠保全が前提である以上、違法性を問われる可能性は低いです。
ただし、社則において社内での撮影行為を禁止する規定がある場合、懲戒処分等が下る可能性がある点には注意しましょう。
懲戒処分の有無がパワハラ告発に影響することはないのでご安心ください。
パワハラの定義、対処法まとめ
当ページでは、パワハラの定義と対処証を解説しました。