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労災保険の加入条件、適用者、注意点を解説

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当ページでは、労災保険の加入条件、適用者、注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな/榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

労災保険とは

労災保険とは、業務上または通勤中の事故、災害等による怪我、病気、障害、死亡に対し、補償を行う制度です。

雇用保険とあわせて「労働保険」と呼ばれることもあります。

労災保険の対象

労災保険による補償の対象には、下記が含まれます。

  1. 業務災害
  2. 通勤災害

1.業務災害

業務災害とは、怪我や病気の原因となった事由について、業務起因性、業務遂行性が認められる災害を指します。

2.通勤災害

通勤災害とは、合理的な経路、方法での通勤中に負った怪我、病気等を対象とします。

労災の加入条件

労災は、一部の事業を除き、従業員を雇用するすべての事業者に加入義務が課されます。

加入事業所に雇用されていれば、原則、すべての労働者が労災保険の加入対象です。

原則と例外

労災保険は、原則、労働者を1人以上雇用している事業所に加入義務を課しています。

しかし、下記の農林水産業を行う事業所は、労災保険の加入が「任意」とされています。

  • 労働者数5人未満、主に特定の危険・有害な作業を行う事業以外の個人経営の農業
  • 常時使用する労働者はなく、かつ、年間使用延労働者数300人未満の個人経営の林業
  • 労働者数5人未満で行う個人経営の畜産・養蚕・水産(総トン数5トン未満の漁船等による事業など)事業

ただし、上記に該当する事業でも、使用される労働者の過半数が希望した場合、事業者は労災保険に加入する義務を負います。

労災保険の加入対象者

労災保険の加入対象者は、原則、適用事業所に雇用されるすべての労働者です。

ただし、海外派遣者の場合、加入するには所定の手続を経る必要があります。

親族が働いている場合

事業主と同居している親族が従業している場合、下記の要件を満たさない限り、労災保険の加入対象とはなりません。

  1. 業務について、事業主の指揮命令に従っていることが明確
  2. 就労実態、賃金の支払、その他の条件や管理について、他の労働者と同様

親族だからと、親族外労働者と異なる取扱をしている場合、対象外となる可能性があることに注意しましょう。

労災保険の特別加入制度

労災保険では、原則、事業主や一人親方は加入対象外となります。

しかし、下記のいずれかに該当する場合、労災保険への特別加入が認められます。

1.中小事業主等(a)一定数以下の労働者を常時雇用する事業主
(b)上記以外の家族従業者
(c) (a)以外の法人役員など
2.一人親方その他の自営業者(a)タクシー、トラックのドライバー、デリバリーサービスの配達員
(b)大工、左官、とび職人等、建設業
(c)漁船で水産動植物を採る事業
(d)林業に関わる事業
(e)医薬品の配置販売者
(f)廃棄物業者、解体事業者
(g)船員
(h)柔道整復師
(i)創業支援等措置に基づき社会貢献事業等を行う高年齢者など
3.特定作業従事者(a)特定の農作業に従事する人
(b)特定の農業機械作業に従事する人
(c)国、地方公共団体等が実施する職業訓練に従事する人
(d)家内労働者、補助者で、特に危険度の高い作業に従事する人
(e)労働組合等の一任専従役員
(f)介護作業従事者、家事支援従事者
(g)芸能関係作業従事者
(h)アニメーション制作作業従事者
(I)IT関連フリーランスなど
4.海外派遣者(a)日本国内の事業主から、海外事業に労働者として派遣される人
(b)日本国内の事業主から、海外事業(中小規模)に労働者以外の立場として派遣される人
(c)技術協力事業を行う団体から派遣され、開発途上地域で行われる事業に従事する人など

労災保険への加入手続

労災保険への加入手続は、原則、事業主が行います。

開業後に適用事業所としての要件を満たした場合、「保険関係成立届」を事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。

届出は、保険関係の成立日の翌日から10日以内に行う必要があります。

保険関係成立日は、労働者を雇用した日です。

届出後の手続

保険関係成立届を提出後、または、同時に「概算保険料申告書」を提出します。

このとき、申告書に記載した概算保険料を納付しましょう。

概算保険料申告書は、保険関係成立日の翌日から50日以内です。

労災保険未加入に対する罰則

行政庁から労働保険への加入手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、手続を行わなかった場合、行政庁による成立手続、労働保険料の認定決定が行われます。

認定決定がされた場合、労働保険料を遡って徴収するだけでなく、追徴金を納付しなければなりません。

(1)未加入状態で労災を起こした場合

労災保険未加入の従業員が業務災害に遭った場合、被災労働者は労災による給付を受けることができます。

一方、事業主は未払保険料の納付義務を負います。

このとき、最大2年間まで遡り、労働保険料額の10%相当の追徴金が課されます。

未加入が事業主による故意または過失である場合、労災給付金の全部または一部の支払義務が生じます。

(2)故意に未加入だった場合

労災保険未加入に関する「故意」とは、労働局の職員、労働基準監督署の監督官等から、労災加入の勧奨・指導を受けていたのに手続をとっていない場合を指します。

この場合、労災による給付金額の全額を支払う義務を負います。

(3)重過失による未加入の場合

事業主の重大な過失により労災保険に加入していない場合とは、労働局の職員、労働基準監督署の監督官等から加入勧奨・指導がなく、労働者を雇用してから1年以上経過している場合を指します。

この場合、事業主の重大な過失と判断し、労災による給付金額の40%を支払う義務を負います。

労災保険料の計算方法

労災保険料は、「年間賃金×労災保険率」により算出します。

労災保険率は事業の種類によりことなるため、事前に確認しましょう。

関連リンク

労災保険の加入条件、適用者、注意点まとめ

当ページでは、労災保険の加入条件、手続、注意点を解説しました。

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