当サイトの一部に広告を含みます。
当ページでは、エンディングノートがもつ法律上の効力と遺言書との違い、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
エンディングノートとは
エンディングノートとは、自分に何かあったときに備え、希望する治療方針・投薬方針、死後の財産処分、自身の内面について記載するものです。
ただし、様式が定まっているものではなく、一般的には下記の事項を記載します。
- 作成者の情報
- 預貯金、不動産等の財産情報
- 医療、介護に関すること
- 葬儀、埋葬方法(お墓)に関すること
- 財産の分割、処分方法の希望
- 親族、友人等の連絡先
- デジタル遺品に関することなど
エンディングノートの有効性
相続対策に用いられることの多い「遺言書」と、エンディングノートに記載する内容が似ていることから、エンディングノートは法的に有効だと考える人もいるでしょう。
しかし、エンディングノートに法的な効力はありません。
記載内容を考慮して、相続人等が遺産分割協議を行うことは可能です。
遺言書とエンディングノートの違い
遺言書とエンディングノートの大まかな違いは、下表の通りです。
遺言書 | エンディングノート | |
---|---|---|
内容 | 厳格 | 原則、自由 |
費用 | 作成方法により必要 | 原則、無料 |
作成方法 | 厳格 | 原則、自由 |
開封方法 | 家庭裁判所にて検認手続が必要 (自筆証書遺言書を自宅等で保管している場合) | 自由 |
作成目的 | 死後の財産処分等に関する指示 | 個人情報等の記録 親族・知人等へのメッセージ |
(1)記載する内容
遺言書とは、遺言者の死後、遺言者のもつ権利、財産に関する取扱の希望を示すための文書です。
端的に言えば、相続人に対する指示書に該当し、相続人全員が合意に至らない限り、遺言書に沿った手続がなされます。
いっぽう、エンディングノートの記載内容について、特別なルールはありません。
(2)作成費用
遺言書の作成にかかる費用は、選ぶ手段により異なります。
自筆証書遺言書の場合、紙とペン、印鑑があれば作成できるため、原則無料ですが、公正証書遺言書の場合、記載する資産額に基づき、手数料等が必要です。
いっぽう、エンディングノートの場合、ノート本体の購入費以外にお金はかかりません。
(3)作成時のルール
遺言書について、法的な効力を発生させるには、法律で定められた様式に従う必要があります。
遺言書は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」に大別され、下記のルールが設けられています。
いっぽう、法律にエンディングノートに関する定めはなく、原則、様式や記載内容が自由です。
(4)開封方法
自筆証書遺言書の場合、遺言者の死後、家庭裁判所において検認手続をとる必要があります。
自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、公正証書遺言書の場合には不要な手続ですが、作成時、一定の手間と費用がかかります。
いっぽう、エンディングノートに「開封」という動作はなく、いつでも自由に内容を確認することができます。
(5)作成の目的
遺言書の場合、遺産の分割方法、権利の承継方法等について、「誰が見てもわかる」ように記載し、相続に関するトラブル防止の目的で作成されます。
エンディングノートの場合、自身の情報や記録、親族・友人等に対するメッセージを残す目的で作成されることが多く、他人だけでなく、作成者自身のために作成されます。
遺言書の作成が望ましい場合
下記の場合、遺言書を作成することをオススメします。
- 法定相続人以外に遺産を残したい
- 相続人同士の仲が悪い
- 遺産に不動産が含まれる
- 相続手続に関し、負担をかけたくない
- 相続人に病気や障害により判断能力が低下している人がいる
- 相続人がいない(遠縁の親族しかいない場合を含む)
上記に該当する場合、一般的な相続手続に比べ、費用や労力の負担が大きくなる可能性があります。
原則、死亡人の遺志を最大限尊重することを前提とした運用がされますので、特別な希望がなくとも、遺言書を作成することで防止できることがあります。
エンディングノートのみで足りる場合
下記に該当する場合、エンディングノートと別に、遺言書を作成する必要はありません。
- 遺産について何の希望もない
- 法定相続人が1人きり
- 自身の判断能力に不安がある
エンディングノートの作成にルールはありません。
遺言書の作成時に必要な「判断(行為)能力」も求められないため、認知症の診断を受けている場合、自分自身の判断能力に不安を抱いている場合には、記録も兼ね、エンディングノートの作成をオススメします。
エンディングノート作成時の注意点
エンディングノートを作成する際、下記に注意しましょう。
- 遺言書と使い分ける
- エンディングノートの保管
(1)遺言書と使い分ける
エンディングノートには、法的な効力を持たせることができません。
このため、遺言書と交錯する内容を記載したとしても、前提となる目的が異なる点には注意しましょう。
デジタル遺品がある場合、ID・パスワード等の情報を記載しておくといいでしょう。
(2)エンディングノートの保管
エンディングノートを作成した場合、保管場所や方法に注意しましょう。
エンディングノートには、自分だけでなく、他者の個人情報を記載することもあり、第三者の手に渡ると、トラブルに繋がるおそれがあります。
また、自身の死後に関する希望を記載している場合、死亡後に見つけてもらえなければ本末転倒です。
作成場所は報せなくとも、作成したことのみを相続人に報せておくといいですね。
エンディングノートの有効性、遺言書との違い、注意点まとめ
当ページでは、エンディングノートの有効性、遺言書との違い、作成時の注意点を解説しました。