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ペットブリーダー開業に必要な資格、手続、注意点を解説

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当ページでは、ペットブリーダーとして開業するために必要な資格や実務経験、手続、注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

ペットブリーダー業の傾向

ブリーダーとは、生き物を販売目的でbleeding繁殖し、育てる事業や人の総称です。

繁殖・販売対象となるのは、犬猫に限らず、うさぎ、ハムスター等の小動物、鳥類、爬虫類、鑑賞用の熱帯魚等、多岐に渡ります。

他の業種と比較し、初期費投資・運転資金等が抑えられることから、副業としてブリーダー業をはじめる人も増えています。

収益化には時間がかかる

動物事業全体で見ても、ブリーダー業は初期投資・運転資金とも控えめなことから、軽い気持ちで始める人もいますが、収益化まで一定の手間とコストが必要です。

元々動物が好きな人でも、事業として世話をするとなれば話は別です。

思ったように繁殖が進まない場合や出生数が少ない場合もあるいっぽう、売れ残る子もいます。

プラスだけでなく、マイナスとなりうる面もしっかりと検討しましょう。

ブリーダー業に必要なもの

ブリーダー業をはじめるには、下記が必要です。

  1. 飼養施設の設置場所
  2. 資格または実務経験
  3. ケース別に必要な登録または許可

1.飼養施設の設置場所

新規開業時において、ペットの飼養施設を自宅や家族の所有物件等に設置する人が多いです。

この場合、用途地域を確認しましょう。

用途地域とは、特定の地域を住居地、商業地、工業地等に区分し、市街地の利用目的を大まかに定めたもので、各区分内に設置できる建築物の種類が決められています。

飼養施設の設置予定地にどのような制限があるのか、予定地の所在地を管轄する市区町村役所に確認しましょう。

2.資格または実務経験

ペットブリーダーのうち、犬猫のブリーダーとして開業する場合、第一種動物取扱う業登録が必要です。

第一種動物取扱業登録をするには、各事業所に専属、かつ、常勤の「動物取扱責任者」を1名以上配置する義務を負います。

2-1.動物取扱責任者とは

動物取扱責任者に指定する人は、下記を満たす必要があります。

  • 所定の課程を修了し、常勤で半年以上の実務経験、または、取扱う動物の種類に応じた1年以上の飼養従事経験
  • 所定資格を取得し、常勤で半年以上の実務経験、または、取扱う動物の種類に応じた1年以上の飼養従事経験
  • 獣医師または愛玩動物看護師免許

2-2.取扱う動物の種類に応じた1年以上の飼養従事経験とは

「取扱う動物の種類に応じた1年以上の飼養従事経験」とは、下記に該当するものをいいます。

  • 雇用関係のない形で飼養に従事した経験(ボランティア等)
  • 常勤を除く雇用形態で、動物取扱業と同等と認められる飼養従事経験

要件審査について、各自治体の判断に委ねられる部分が大きいため、所轄の動物愛護センターまでご確認ください。

3.ケース別に必要な登録または許可

開業しようとする事業内容により、必要な登録・許可は異なります。

下表に犬猫の場合を例示します。

種別と飼養頭数必要な登録・許可
ドッグブリーダー
飼養頭数10頭未満
第一種動物取扱業登録
ドッグブリーダー
飼養頭数10頭以上
第一種動物取扱業登録
動物飼養(収容)許可
キャットブリーダー
飼養頭数不問
第一種動物取扱業登録

第一種動物取扱業とは

第一種動物取扱業とは、下記に当てはまるものをいいます。

  • 対象の動物を取扱う
  • 営業目的で行う

対象となる動物は、犬猫等の哺乳類、インコ・フクロウ等の鳥類、トカゲ・蛇などの爬虫類です。

第一種動物取扱業登録申請の流れ

第一種動物取扱業登録について、各自治体により必要な手続が異なります。

下記に横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市を除く神奈川県内の場合をご紹介します。

  1. 都市計画法、建築基準法等の確認
  2. 必要書類の準備
  3. 申請手続・現地調査
  4. 登録決定・登録証の交付

1.都市計画法、建築基準法等の確認

開業予定地の所在地を管轄する市区町村役所の担当課に、事前相談を行います。

担当課は、都市計画課や建築指導課等で、自治体により名称等は異なります。

取扱予定の頭数によって、動物飼養(飼養)許可の取得が必要な場合があります。

1-2.動物飼養(収容)許可とは

動物飼養(収容)許可は、下記に該当する場合に必要な手続です。

  • 知事または市長が指定する区域内に飼養施設を設置する場合
  • 一定の動物の飼養・収容をする場合

動物飼養(収容)許可が必要な区域は、都道府県知事または市長が指定しており、保健所等で確認することが出来ます。

神奈川県の場合、横浜市、茅ヶ崎市において、10頭以上の犬を飼養する場合はこの許可が必要です(参考:動物の飼養または収容の許可について|横浜市動物の飼養・収容に関する申請について|茅ヶ崎市

開業時は指定される飼養頭数未満の場合でも、後に増える予定があるのなら、開業時の許可取得をオススメします。

1-3.「動物飼養(収容)許可」申請の流れ

参考までに、動物飼養(収容)許可申請の流れをご紹介します。

  1. 所轄保健所と事前協議、申請書類の確認
  2. 申請書類の作成
  3. 申請手続、現地調査
  4. 結果通知
  5. 許可証の交付

2.必要書類の準備

第一種動物取扱業登録に関する必要書類は下記の通りです。

必要書類備考
第一種動物取扱業登録申請書1業種ごとに1枚
正副2部
動物取扱責任者の資格要件を示す書類
動物の愛護及び管理に関する法律第12条第1項第1号から第7号の2までに該当しないことを示す書類
事業所及び飼養施設の土地及び建物について必要な権現を有することを証明する書類
(様式第1別記)第一種動物取扱業の実施の方法販売、貸出業のみ
飼養施設の平面図、付近の見取図飼養施設がある場合
ケージ等の規模を示す平面図・立面図犬猫販売のみ
登記事項証明書(原本)…法人の場合法人のみ
役員の氏名及び住所を記載したもの(任意様式)…法人の場合法人のみ
(様式第2別記)犬猫等健康安全計画犬猫販売のみ
申請手数料1業種につき、15,060円

2-1.開業に必要な資金

ペットブリーダーとして開業する際、下表の資金が必要です(※対象は犬、自宅の場合)

内容金額
(目安)
繁殖犬(メス2頭)20万~80万円
※品種や血統により異なる
ケージ、トレー、給水器、フードストッカー、ボウル等2~3万円
蓋付きのゴミ箱
(汚物用)
2,000円
クーラーボックス
(遺体一時保管用)
2,000円
第一種動物取扱業登録 申請手数料15,000円
合計275,000円~885,000円

上記では、洗い場、エアコン、照明設備等について、自宅設備を利用し、可能な限り費用を抑えた場合です。

3.申請手続・現地調査

飼養施設の所在地を管轄する保健所において、申請を行います。

申請後、保健所の担当者が現地調査を行い、補正指導等が行われる場合もあります。

4.登録決定・登録証の交付

書類審査、現地調査の結果に問題がなければ、第一種動物取扱業登録がされ、登録証が交付されます。

開業後にも必要な手続

ブリーダー業を開業した後に必要な手続があります。

下記は一例で、事業に沿った手続をとる必要があるため、事前に確認しましょう。

個人事業の場合

下記の書類を税務署へ提出します。

書類名提出期限
個人事業の開業・廃業等届出書事業開始日から1ヶ月以内
青色申告承認申請書事業開始日から2ヶ月以内
※1月1日から1月15日までに開始した場合は3月15日まで
青色事業専従者給与に関する届出書専従者を使用する事になった日から2ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認申請書原則、適用を受けようとする月の前月末日まで
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書事業開始日から1ヶ月以内
消費税課税事業者選択届出書必要に応じて12月31日まで

法人の場合

法人の場合、下表の書類を提出します。

書類名提出期限
法人設立届出書設立日から2ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書給与支払事務所等を設けた日から1ヶ月以内
青色申告承認申請書設立3ヶ月経過日と、最初の事業年度終了日のうち、いずれか早い日の前日まで
源泉所得税の納期の特例の承認申請書原則、適用を受けようとする月の前月末日まで
消費税課税事業者選択届出書適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで
棚卸資産の評価方法の届出書確定申告の提出期限まで
減価償却資産の償却方法の届出書確定申告の提出期限まで

自治体への提出書類

都道府県は「各税事務所」、市町村は「市税事務所または市町村役場の法人市民税課等」へ提出する事になります。

書類名提出期限
法人設立等申告書(都道府県)設立日から2ヶ月以内
法人設立・事務所等開設申告書(市町村)設立日から2ヶ月以内

ペットブリーダー開業に必要な資格、手続、注意点まとめ

当ページでは、ペットブリーダーとして開業する際に必要な資格、手続、注意点を解説しました。

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カテゴリー: 動物事業


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