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産業廃棄物収集運搬業許可「事業計画」の記載事項、注意点を解説

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当ページでは、産業廃棄物収集運搬業許可申請に必要な「事業計画」の記載事項、注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

産廃許可「事業計画」とは

産業廃棄物収集運搬業の許可要件に「事業計画の内容が実施され、業務量に応じた施設、人員などの業務遂行体制を整えていること」とあります。

これを確認する書類が「事業計画書」です。

当ページでは、産業廃棄物収集運搬業許可申請における事業計画策定時の注意点を解説します。

事業計画書の記載事項

事業計画を記載するにあたり、下記のポイントを抑えましょう。

  1. 廃棄物の種類、性状
  2. 性状に応じた施設の有無
  3. 搬入先の適正性
  4. 業務量に応じた施設の有無
  5. 適切な業務遂行体制の確認

1.廃棄物の種類、性状

産業廃棄物の品目は、全部で20種類存在します(令和6年(2024年)時点)

  1. 燃え殻
  2. 汚泥
  3. 廃油
  4. 廃酸
  5. 廃アルカリ
  6. 廃プラスチック類
  7. ゴムくず
  8. 金属くず
  9. ガラスくず及び陶磁器くず
  10. 鉱さい
  11. がれき類
  12. ばいじん
  13. 13号廃棄物
  14. 紙くず
  15. 木くず
  16. 繊維くず
  17. 動植物制残さ
  18. 動物系固形不要物
  19. 動物のふん尿
  20. 動物の死体

建設業許可を取得している事業者の場合、6から9、11、14から16を取り扱う場合が多く、これらを「建設系産業廃棄物」と呼びます。

石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物に該当する場合、取扱いが異なる場合があるため、注意してください。

また、一部(14から20)の廃棄物は、特定の業種から廃棄される場合のみ「産業廃棄物」として取り扱われる点に注意しましょう。

指定業種以外から排出される場合、「(事業系)一般廃棄物」に該当します。

2.性状に応じた施設の有無

事業計画には、運搬車両・容器、保管場所に関する情報を記載します。

2-1.運搬施設の基準

運搬施設は、下記の基準に適合するものでなければなりません。

  1. 産業廃棄物が飛散、流出、悪臭が漏れないもの
  2. 石綿含有産業廃棄物の場合、破砕しない運搬方法で、他の廃棄物と混ざらないよう区分できること
  3. 水銀使用製品産業廃棄物は、破砕することのない運搬方法で、他の廃棄物と混ざらないよう区分できること
  4. 水銀含有ばいじん等は、運搬中に揮発した水銀が運搬容器、または、梱包から漏れない措置をとり、高温にさらされないこと

特別産業廃棄物の場合、下記の基準に適合することが求められます。

  1. 特別管理産業廃棄物が飛散、流出、悪臭が漏れないもの
  2. 廃油、廃酸、廃アルカリを運搬する場合、性状に応じ、腐食を防止するための措置を講ずる等、性状に適したもの
  3. 感染性産業廃棄物を運搬する場合、保冷車等、性状に適したもの
  4. その他の特別管理産業廃棄物を運搬する場合、種類に応じ、適した運搬施設

2-2.運搬車両

産業廃棄物収集運搬業許可申請における運搬車両は、産業廃棄物の性状に適した車両であることの他、使用権限、保管場所が適切であることを求められます。

運搬車両のうち、パッカー車、ダンプカーにおいて、容器に入れても運搬が認められないものがあるいっぽう、軽バンや軽トラックで運搬できる品目もあるため、新たに購入しない場合、既存車両のいずれかが適合する可能性もあります。

車検証に「貨物」と表記があれば良いのですが、「乗用」とあるものは注意しましょう。

車検証の使用者と申請者が異なる場合、貸借証明書を提出しなければなりませんが、他事業者により登録されている車両の場合は認められないことに注意が必要です。

保管場所について、駐車場を借りている場合は賃貸借契約書、自己所有の土地を駐車場にしている場合、登記簿謄本が必要です。

2-3.運搬容器

運搬容器は、下表のように産業廃棄物の性状に応じたものを用意します。

産業廃棄物容器
燃え殻、ばいじん、鉱さいオープンドラム缶
フレコンバッグ
汚泥、動植物制残さオープンドラム缶
耐水性プラ袋(石綿含有汚泥の場合)
廃油クローズドラム缶
廃酸、廃アルカリケミカルドラム缶
廃プラ、ガラス、瓦礫類フレコンバッグ
水銀使用製品産業廃棄物プラスチック容器

3.搬入先の適正性

排出された産業廃棄物は、下記のいずれかに運搬されます。

  1. 中間処理場
  2. 最終処分場
  3. 積替保管施設

最も一般的なのは「1.中間処理場」で、リサイクルできるものの他は「2.最終処分場」へと運ばれます。

中間処理場では、破砕、圧縮、焼却、選別、脱水等の処理を行いますが、廃棄物の種類により、適切な処分方法は異なります。

要するに、事業計画書で求められるのは、運搬予定のある廃棄物に対応する運搬先(処分方法)の正しい知識の有無であり、理解されていないと評価されれば、産業廃棄物収集運搬業許可をもらうことができません。

4.業務量に応じた施設の有無

事業計画には、予定する業務量に対応できる運搬施設の有無を記載します。

運搬量は、運搬車両の台数、積載量、稼働日数等から算出し、現場から排出される量(排出量)と、処分場の処理能力とを検討して計画する必要があります。

5.適切な業務遂行体制の確認

適切な業務遂行態勢とは、従業員数と責任者の能力を指します。

神奈川県の場合、従業員に関して「人数」「役職名」「雇用年月日」を求められ、取扱う産業廃棄物に関する実務経験、責任範囲、物理的な処理能力をはかる目的があるといえます。

事業計画はあくまで計画ですが、計画の段階で「実現可能性が低い」と判断されれば、産業廃棄物収集運搬業許可を取得することは困難を極めます。

許可取得以前に、自社の健全な事業活動のためにも、しっかりとした業務遂行態勢を築きましょう。

産業廃棄物収集運搬業許可「事業計画」まとめ

当ページでは、産業廃棄物収集運搬業許可の要件審査で重要な「事業計画」策定時のポイント、注意点を解説しました。

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