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当ページでは、倉庫業登録申請に必要な手続や書類、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
倉庫業とは
倉庫業とは、寄託を受けたものを倉庫において保管する営業を指します。
倉庫業を行うには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。
倉庫業に該当しないもの
下記に該当する場合、倉庫業、営業として認められず、登録申請を行うことはできません。
- 消費寄託(預金等)
- 運送契約に基づく運送途上での一時保管
- 修理等の役務のための保管
- 自家保管
- 協同組合の組合員に対する保管事業(「営業」として認められないため)
上記の他、政令で除外されているものもあります。
- 保護預り(銀行の貸金庫等)
- 修理等他の役務の終了前後に付随して行われる保管
- ロッカー等外出時の携行品の一時預り
- 駐車場、駐輪場
無登録営業に関する罰則
倉庫業登録をせず、倉庫業を行った場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
また、倉庫業登録を経ていないのに、あたかも自らが倉庫業者だと勘違いさせるような表示、広告等を行った場合には、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
営業倉庫業の種類
倉庫業で用いる倉庫を「営業倉庫」といい、保管する貨物の種類により「普通倉庫」「冷蔵倉庫」「水面倉庫」に大別されます。
普通倉庫は、更に下記のように区分されます。
- 野積倉庫
- 水面倉庫
- 貯蔵槽倉庫
- 危険品(工作物)倉庫
- 危険品(土地)倉庫
- 冷蔵倉庫
倉庫業登録の要件
倉庫業登録を見当する場合、登録拒否要件に該当しないことを確認しましょう。
- 申請者等が欠格事由に該当する
- 施設設備基準に適合しない
- 倉庫管理主任者を確実に選任すると認められない
1.申請者が欠格事由に該当する
欠格事由は次の通りです。
- 1年以上の懲役等の刑を受けていること、または、執行後2年を経過しない人
- 倉庫業登録の取消を受け、2年を経過しない人
- 役員が上記に該当する場合
倉庫管理主任者とは
倉庫管理主任者は、下記の要件を満たす人です。
- 倉庫の管理業務に関し、2年以上の指導監督的実務経験がある人
- 倉庫の管理業務に関し、3年以上の実務経験がある人
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した人
- 国土交通大臣が上記1から3に掲げる人と同等以上の知識および能力を有すると認める人
倉庫管理主任者の欠格要件
下記に該当する場合、倉庫管理主任者となることはできません。
- 1年以上の懲役または禁固刑に処され、その執行を終わり、または、執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない人
- 法第21条の規定による登録取消を受け、その日から2年を経過しない人
倉庫管理主任者の業務
倉庫管理主任者は、下記の業務を行います。
- 倉庫における火災防止、その他の倉庫の施設管理に関すること
- 倉庫管理業務の適正な運営確保に関すること
- 労働災害の防止に関すること
- 現場従業員に対し、研修の企画・実施をすること
倉庫業営業までの流れ
倉庫業登録申請から営業まで、下記の流れで進めます。
- 運輸局等への事前相談
- 物件選び
- 地方自治体等への事前相談
- 物件の決定
- 登録申請書作成
1.運輸局等への事前相談
登録を検討している倉庫について、倉庫業を営む倉庫として適切か事前に確認しましょう。
下記に該当する地域では、営業倉庫として認められません。
- 準住居地域を除く住居地域
- 開発行為許可を有しない市街化調整区域
都市計画法に定められる用途地域のうち、準住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域内なら倉庫業を営むことができます。
市街化調整区域は、農地保護を目的とする区域のため、一定要件を満たさなければ開発行為が認められません。
1-1.事前相談
事前相談先は、運輸局や地方自治体等です。
取り扱う物品、施設の規模などを伝え、保管可能物品、倉庫の種類、説設備基準等の説明を受けます。
2.物件選び
倉庫業を営むにあたり、「新築」「購入」「借用」のうち対応する業者に施設設備基準を示し、具体的に相談します。
建設業者、不動産業者、物件所有者等が相談先です。
3.地方自治体等への事前相談
地方自治体の建築指導課、都市計画課等に相談し、営業倉庫として使用できるかを確認します。
4.物件の決定
事前相談を経て問題がなければ、事業者と契約を結びます。
5.登録申請書作成
登録申請に必要な書類を作成し、運輸局にて申請します。
5-1.登録申請に必要な書類
申請に必要な書類は下記の通りです。
- 倉庫業登録申請書
- 倉庫明細書
- 施設設備基準別添付書類チェックリスト
- 登記簿謄本(土地・建物)
- 建築確認済証・完了検査済証
- その他図面以外の書類
- 倉庫付近の見取図
- 倉庫の配置図
- 平面図
- 立体図
- 断面図
- 短計図等
- 建具表等
- 倉庫管理主任者関係書類
- 法人登記関係等書類・戸籍抄本等
- 宣誓書
- 倉庫寄託約款
作成時は、A4サイズ、横書き、左綴じにし、下記書類にインデックスを貼付します。
5-2.その他図面以外の書類
図面以外の書類とは、下記を指します。
- 警備状況説明図/警備契約書
- 構造計算書
- 平均熱貫流率の計算書
- 照明設備表
- 消防用設備等検査済証
- 消防用設備等点検結果報告書
- 食品衛生法第52条第1の営業許可証等の公的書類
- 冷凍能力が熱損失以上あることがわかるメーカー仕様書
- 冷却試験結果表
- 通報機等の詳細が明示された図面
- 温度管理システム仕様書など
5-3.建築確認済証・完了検査済証
添付書類のうち、最重要視されるのが建築確認済証・完了検査済証です。
建築確認済証には、建築確認申請書の1面から5面まで添付しましょう。
完了検査済証がない場合、建築基準法違反として申請を受付けてもらえませんので、必ず確認しましょう。
このほか、用途欄コードが「08510(倉庫業を営む倉庫)」となっているか確認しましょう。
「08520(倉庫業を営まない倉庫)」となっている場合、原則、申請を受付けてもらえません。
倉庫業登録となったら
登録通知書を受領したら、登録免許税9万円を納付しましょう。
領収書貼付書に納付書を添付したら、原本を添付して運輸局へ提出します。
営業開始までに決めること
営業を開始するまでに、下記を決定します。
- 保管料、その他の料金等、倉庫料金
- 消費者から収受する倉庫料金、倉庫寄託約款、当該営業所その他の事業所ごとの倉庫の種類を営業所内に掲示
- 倉庫管理主任者の設置
倉庫料金は、設定から30日以内に届出る必要があります。
倉庫業に関する報告書提出義務
倉庫業の登録後、4半期ごとに2種類の報告書を提出する義務を負います。
1.期末使用状況報告書
期末使用状況報告書は、営業所ごとに作成し、営業所が所管する面積(容積)の使用状況を報告するものです。
受寄物在荷面積、自家貨物在荷面積、空面積に区分され、これら3つの合計が所管面積と同一でなければなりません。
2.受寄物入出庫高及び保管残高報告
受寄物入出庫高及び保管残高報告は、営業所ごとに、かつ、倉庫の所在する都道府県別に作成します。
冬季中の月別入庫高、月別出庫高、当期末の月別保管残高を品目ごとに記載します。
事故発生の届出
倉庫業を営む上で事故が発生した場合、事故の発生から2週間以内に、管轄の地方運輸局に「事故届出書」を提出しましょう。
報告対象は下記の通りです。
- 倉庫の火災(死傷者が発生した場合)
- 倉庫における労働災害(死亡者が発生した場合)
- 危険品倉庫における危険物漏えい事件
- マスコミ等に報道される可能性があるもの
倉庫業登録の有効期限
倉庫業登録に有効期限は定められていません。
ただし、取得後に登録内容に変更が生じた場合、所定の変更手続を行う必要があることにご注意ください。
倉庫業登録申請に必要な手続、注意点まとめ
当ページでは、倉庫業登録申請に必要な手続や書面、注意点を解説しました。