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当ページでは、ブリーダーからのペット購入トラブルと対処法を解説します。
Contents
- 筆者プロフィール
- ブリーダーとは
- ブリーダーからのペット購入方法
- ブリーダーからのペット購入トラブル
- 相談事例1.購入後、先天性疾患が判明した
- 相談事例2.ブリーダーとの連絡が途絶え、血統書がもらえない
- 相談事例3.トラブル解決のため問い合わせると、利用規約に売買に関わらないとあった
- 相談事例5.生まれる前の犬を解約したら、高額な違約金を請求された
- 相談事例からみる問題点
- 1.ブリーダーの説明・対応に問題がある場合
- 2.現物確認・対面説明の前に売買契約を結ぶ場合
- 3.ブリーダー紹介サイトは我関せず
- 4.消費者自身の確認不足
- ペット購入時の注意点
- 不安を感じたら消費生活センターに通報
- ブリーダーからのペット購入トラブル事例と対処法まとめ
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
ブリーダーとは
ブリーダーとは、一般的に動物の繁殖を専門とする人・組織を指します。
このうち、犬猫等の動物を繁殖させ、営利目的でペットとして販売する場合、動物の愛護及び管理に関する法律(「動物愛護管理法」といいます)に定める第一種動物取扱業として、自治体に登録する必要があります。
ブリーダーからのペット購入方法
ブリーダーは、下記の方法でペットを販売します。
- 消費者への直接販売
- ペットショップへの販売
- ペットオークションを介し、ペットショップへ販売
- 卸売業者に販売
ブリーダーからのペット購入トラブル
消費生活センターに寄せられた相談内容のうち、ブリーダーが関連する相談件数が増加傾向にあります。
消費者がブリーダーからペットを購入する場合、下記の方法があります。
- ブリーダーが運営するペット紹介サイト、SNS等を通じて連絡を取り、購入
- ペットショップで購入
ペットショップで購入する場合との違いは、ブリーダーと消費者が直接やり取りをすることと、購入に関わる動物業者は売り手であるブリーダーのみという点です。
相談事例1.購入後、先天性疾患が判明した
- ブリーダー紹介サイトで好みの犬を見つけた
- サイトを介し、ブリーダーと複数回やり取りをした
- 「未掲載の子犬がいる」と誘われ、ブリーダーのもとへ
- 見せてもらった子犬は元気に走り回っていた
- 子犬が気に入ったため、その場で80万円を支払った
- この際、契約書、健康状態の説明は一切なく、領収書だけが発行された
- 数日後、ワクチン接種のために訪れた病院で先天性疾患を摘示される
- 同時に、余命1年と宣告を受ける
- ブリーダーに連絡したところ、返品と引換えに全額返金すると回答があった
この事例において、購入者は返品する気はなく、治療費を支払う対応を希望していました。
気に入って迎えた子犬なので、病気を理由にお別れするのは淋しいですよね。
相談事例2.ブリーダーとの連絡が途絶え、血統書がもらえない
- インターネット広告を見て、子猫を購入
- 血統書の引渡しは、去勢後と約束
- 購入から半年が経過し、かかりつけ医に去勢の予約
- ブリーダーに連絡したところ,音信不通に
本来、購入時に渡すはずの血統書を渡さないまま、相手と連絡がとれなくなった事例です。
相談事例3.トラブル解決のため問い合わせると、利用規約に売買に関わらないとあった
- ブリーダー紹介サイトで気に入った子猫を見つけ、問合せ
- 「他に購入希望者がいるが、内金として約50万円を支払えば予約済にする」と説明を受け、入金
- 遠方のブリーダーのもとを訪れ、子猫を受取り残金を支払い
- 1週間後、猫が呼吸困難となり獣医を受診
- 先天性の病気だと診断される
- ブリーダー紹介サイトに問い合わせたいが、利用規約に「売買には関わらない」と記載されている
本事例も、相談者は返品を考えておらず、ブリーダーに憤りを感じたことを動機とし、相談されています。
相談事例5.生まれる前の犬を解約したら、高額な違約金を請求された
- インターネットで、生まれる前のマメ柴犬を見つけた
- ブリーダーを訪ね、内金6万円を支払って契約
- マメ柴犬本体は60万円
- 基本訓練、マイクロチップ装着費用、避妊手術代が約20万円
- 契約後、自宅に帰り家族に反対されたため解約を申し入れ
- 違約金として、契約代金総額の3割である約25万円の支払を求められた
契約書に記載されているものの、消費者にとって、特に不利な条項であると感じたため、相談に訪れたそうです。
相談事例からみる問題点
1.ブリーダーの説明・対応に問題がある場合
1-1.健康状態の説明がなく、契約書がない
動物愛護管理法では、ブリーダーは、購入予定者に動物の状態を直接見せ、当該動物の健康状態、世話の方法など、全18項目を文書やデジタルを用いて対面で説明し、確認の署名等をもらう義務が定められています。
この点、相談事例だけをみれば、必要な説明が不足し、契約書の交付がない場合がみられます。
契約書がなければ、後にトラブルに発展した際、日付や内容を客観的に確認する術がないため、購入者側から説明や契約書の交付を請求しましょう。
1-2.事後対応はブリーダー次第
ペットは生き物である以上、引渡し後に死亡、先天性疾患の判明、感染症への罹患等のリスクは必ず伴います。
令和6年(2024年)現在、病気が判明した際の対応を義務づける法律はなく、ブリーダー独自に規定を定めるのみです。
これにより、消費者の要望通りの対応を強制する術がないため、契約前にしっかりと確認するほかありません。
1-3.ブリーダーが約束を果たさない
引渡し時の約束を果たさないまま、ブリーダーとの連絡が途切れる事例があります。
連絡がとれないと交渉をすることも儘ならず、トラブルの解決は困難を極めます。
この場合、弁護士または探偵に依頼し、相手の行方を追う方法も考えられますが、訴訟となった際、客観的な証拠として契約書等を集めておきましょう。
2.現物確認・対面説明の前に売買契約を結ぶ場合
動物愛護管理法では、事業者が動物を販売する場合、購入予定者に対し、あらかじめ現物確認と対面説明を行う義務が定められています。
にも関わらず、対面説明等を行わず、売買契約を結ぶ目的で内金等の金銭を支払わせている場合、動物愛護管理法違反の可能性があります。
また、犬猫の販売は、生後57日以降と定められているため、この点でも違反の可能性が高いです。
内金の申出や出生前の犬猫販売を提案された場合、その場での契約・購入せず、保健所等へ通報しましょう。
3.ブリーダー紹介サイトは我関せず
ブリーダー紹介サイトを介してペットを購入する場合、ブリーダーとの間でトラブルが生じた場合、ブリーダー紹介サイトは介入しない場合がほとんどです。
利用前に今一度、利用規約を確認し、疑問点は全て潰して利用されることをオススメします。
4.消費者自身の確認不足
4-1.消費者都合でのキャンセル
契約後、家族に反対されたことを理由に解約するなど、消費者の自己都合による解約もみられます。
消費者都合で解約する場合、一方的な解約は認められず、原則、ブリーダー側の規約に従うことになります。
4-2.キャンセル時の対応を確認していない
ブリーダー紹介サイト等にキャンセル時の取扱いを記載している場合でも、きちんと確認しないままブリーダーをやり取りし、結果的にトラブルに発展する事例がみられます。
ペットは生き物なので、他の購入者の手に渡ってほしくないとの気持ちが先行するのはわかりますが、きちんと利用規約等は確認の上、サイトを利用しましょう。
ペット購入時の注意点
ブリーダーからペットを購入する際は、下記の点に注意しましょう。
1.信頼できるブリーダーから購入する
ブリーダーからペットを購入する場合、当該ブリーダーが第一種動物取扱業として登録を受けているか確認しましょう。
第一種動物取扱業登録を受けている場合、ブリーダー紹介サイト、SNS、その他広告等に、業者名、事業所の住所等の情報掲載が義務づけられています。
このほか、実際にブリーダーのもとを訪れ、飼育環境、動物の健康状態、親の特徴を観察し、不安や疑問点は質問しましょう。
ブリーダーとの関係は購入時だけでなく、購入後まで続くことを前提に、相談体制や人柄等を踏まえ、検討するのがオススメです。
2.予約金を支払う場合、キャンセル時の対応を確認する
予約金を支払う場合、キャンセル時の対応を確認してから支払いましょう。
中には、支払を急かすブリーダーもいますが、長ければ20年近く付き合うことになるペットですから、慎重に検討することをオススメします。
3.購入時は現地で確認し、対面で説明を受ける
購入時は必ず現地に赴き、自分の目で動物の状態を確認のうえ、動物愛護管理法上の義務である「対面での説明」を受けましょう。
この際、契約書は必ず交付してもらい、購入後に何かあった際の連絡先、保証内容、相談等の対応範囲を確認しましょう。
4.ブリーダー紹介サイトを利用する際は規約を確認する
ブリーダー紹介サイトを利用する場合、利用規約上に記載されている内容をよく確認しましょう。
特に、トラブル発生時の保証制度、禁止行為は理解してからの利用をオススメします。
不安を感じたら消費生活センターに通報
ペット購入に関する不安、困りごとは、消費生活センター(消費者ホットライン:188)までご連絡ください。
ブリーダーからのペット購入トラブル事例と対処法まとめ
当ページは、下記リンク先を参考に令和6年(2024年)3月5日に執筆したものです。
ペットに関する法令等は、年々厳しくなっていますので、動物事業を始める方、または、ペットに関する商品・サービスを受ける方は、しっかり確認して利用しましょう。