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当ページでは、クラウドファンディングの種類、活用のメリットと注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
クラウドファンディングとは
クラウドファンディングは、crowdとfundingを掛け合わせた造語で、事業内容を公開し、不特定多数の人に支援を求める資金調達方法です。
日本国内で行われるクラウドファンディングはのほとんどは、インターネット上で行われます。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、次の3つの類型に分けられます。
- 購入型
- 金融型
- 寄付型
1.購入型
購入型の場合、支援者は、出資の対価として商品・サービスを受け取ります。
ただし、全ての事例で支援を受けられるわけではなく、下表のように大別されます。
分類 | 概要 |
---|---|
All ir Nothing型 | 目標金額に達することが大前提で、未達成の場合、支援を全く受けられない |
All in型 | 支援者が1人でもいれば、目標金額の達成未達成に関わらず支援を受けられる |
2.金融型
金融型クラウドファンディングは、投資家が事業の株式、債権等の金融商品を購入し、資金提供を行う類型です。
投資家と企業間との間で直接取引が行われるため、中間業者を介さないのが最大の特徴だといえます。
ただし、金融関連法の規制を受ける場合も多いため、これらを遵守する必要があります。
2-1.融資型
金融型クラウドファンディングのうち、融資型の場合、資金提供者は「資金」そのものを貸与する形をとり、事業主や借り手は、この資金に利子を付して返済する義務を負います。
2-2.ファンド型
金融型クラウドファンディングのうち、ファンド型の場合、複数の投資家から集めた資金を1か所または複数の企業やプロジェクトに投資します。
融資型と決定的に異なるのは、投資家個人が特定のプロジェクトに投資するのではなく、クラウドファンディングというプラットフォームを介してファンドに参加する点です。
仲介者が存在するぶん、運用費、手数料等がかかりますが、投資家にとってはリスク分散、専門家に運用を託せるメリットがあります。
2-3.株式型
金融型クラウドファンディングのうち、株式型の場合、増資の方法として株式を発行し、投資家に購入してもらうことで資金提供を受ける類型です。
株式型クラウドファンディングの大きな特徴は、通常は市場に出回ることのない非上場株式を購入できる点です。
ただし、株式型クラウドファンディングにより取得した非上場株式には、一定の制限が設けられるのが一般的で、事由に売買することはできません。
このほか、企業・投資家双方に取扱い金額の制限がある点には注意しましょう。
3.寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングの場合、資金調達ではなく、寄付を募る仕組みです。
一般社会、環境、文化に係る目的達成を前提に、企業または個人が寄付を募るため、ほとんどの場合、支援者にリターンはありません。
ただし、募金と異なり、支援者は寄付金控除を利用できる場合があり、社会問題の解決に興味のある人々に貢献の場を提供できる機会でもあります。
クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングを行うにあたり、下記のメリットが考えられます。
- 資金調達の柔軟性
- テストマーケティングに活用できる
- ファン獲得に繋がる
- 事業の広告宣伝効果
1.資金調達の柔軟性
クラウドファンディングによる資金調達は、一般的な調達法と比較し、より柔軟に行うことができます。
起業家や個人事業主の場合、銀行等の金融機関や特定の投資家に依存する場合も多い一方、クラウドファンディングの場合、賛同が得られれば出資額、出資者の規模・形態を問わず出資を得ることができます。
資金が容易できない起業家にとって、返礼品が金銭に縛られないことも大きなメリットだといえます。
2.テストマーケティングに活用できる
通常、企業が新商品を販売する際、商品・サービスを消費者に提示し、需要の確認、品質改善を行うのが一般的です。
しかし、テストマーケティングを行うには、まとまった資金と販路が拓けていることが求められ、起業家や個人事業では実施が難しい部分もあります。
この点、クラウドファンディングの場合、資金調達の際に商品・事業の内容を開示するため、見込み客の反応を見ることができ、市場投入前のリスクを最小限に抑えることができます。
新規事業を立ち上げる際、資金繰りだけでなく起案者自身が試される場も多いため、今後に繋がるヒントを得られる貴重な場でもあります。
3.ファン獲得に繋がる
クラウドファンディングによる支援者は、事業・プロジェクトに共感して応援してくれる人です。
提示する目標金額の達成は、当該事業のファン獲得率の指標となり、熱烈なファン獲得の機会となり得ます。
4.事業の広告宣伝効果
クラウドファンディングの場合、商品・サービスの販売前から事業内容を公開することとなり、資金調達のプロセスそのものが宣伝効果を生むこととなります。
良い商品・サービスであるほど成功率は上がり、メディアの注目を集めることが期待できます。
クラウドファンディングを活用する際の注意点
クラウドファンディングを活用する際、下記のポイントに注意しましょう。
- リターンが負担になる
- 資金と手間がかかる
- 競合にアイディアを知られる
- 目標金額を達成できない可能性がある
1.リターンが負担になる
クラウドファンディングで資金調達を行った場合、支援者に対し、一定の責任や義務が生じます。
目標の達成率に関わらず、資金が1円でも集まった時点から事業の中断は許されません。
リターンとして商品・サービスの提供を約束している場合、事業初動において、これらが負担になることもあります。
クラウドファンディングを始める前に、今一度、計画内容を精査しましょう。
2.資金と手間がかかる
クラウドファンディングにおいて、目標金額の達成には、時間も手間もかかります。
開始前には具体的な事業・収支計画を策定し、見積もり、工期等を検討しなければなりませんが、こうしたプロセスを他人に委ねるわけにはいかず、負担になることがあります。
クラウドファンディングを実施するプラットフォームについて、一般的に募集金額の10%から20%程度の手数料がかかるため、これらを踏まえた目標金額の設定が必要です。
募集後、支援者とのコミュニケーションにもコストを割く必要があるため、とても忙しくなることが予測されます。
3.競合にアイディアを知られる
資金調達のためにクラウドファンディングを活用する場合、事業内容を公開する必要があることから、一定の情報が競合他社に知られる可能性があります。
これにより、商品・サービスのアイディアを盗用され、市場シェアを奪われるリスクも考えられます。
こうしたリスクを最小限に抑えるには、(1)自社商品への付加価値を上げて差別化を図る、(2)公開する情報を慎重に検討する、(3)特許権・実用新案権・商標権等の知的財産制度を活用するといいでしょう。
4.目標金額を達成できない可能性がある
クラウドファンディングにおいて、目標金額はあくまで主催側の理想に過ぎません。
システム上、目標金額に到達しなければ1円も受け取れない場合もあるため、達成できなかったときに備える必要があります。
目標金額の設定時は、必要資金の適正性・透明性を明確にし、現実的で達成可能性の高いものにしましょう。
目標金額に到達しなかった場合、金融機関等からの融資、プロジェクトの一部実行等の対処法が考えられます。
資金が集まらなかったからダメだと諦めるのではなく、成長機会と捉え、ないなりの戦い方を考えましょう。
クラウドファンディングの種類、メリット、注意点まとめ
当ページでは、クラウドファンディングの種類、クラウドファンディングを活用した資金調達のメリットと注意点を解説しました。