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当ページでは、消費税の簡易化税制度の概要と、簡易化税制度活用のメリット、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
消費税の簡易課税制度とは
簡易課税制度とは、確定申告時における「消費税」申告に係る計算方法の1つです。
小規模事業者への配慮として創設された制度(特例)だといわれています。
課税事業者と免税事業者
消費税の課税制度において、事業者は「課税事業者」「免税事業者」に区分されます。
課税事業者は、消費税の納税義務を負う事業者。免税事業者は、消費税の納税を免除されている事業者をいいます。
原則、基準年度の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となりますが、1,000万円以下の事業者であっても、希望すれば課税事業者となることができます。
この場合、「消費税課税事業者選択届出書」を提出をしなければなりません。
簡易課税制度のメリット
簡易化税制度には、下記のメリットがあります。
- 事業者の事務負担軽減
- 節税に繋がる場合がある
1.事業者の事務負担軽減
簡易課税を選択する最大のメリットは、事務負担の大幅軽減です。
一般の課税方法(ここでは「原則課税」と呼びます)の場合、全ての取引を対象に仕入にかかる消費税を管理します。
このとき、下記3区分に分けた処理が求められます。
- 課税売上のみにかかるもの
- 非課税売上のみにかかるもの
- 課税、非課税、双方にかかるもの
いっぽう、簡易課税を選択すれば、仕入時の消費税管理は不要となり、上記のような処理は不要となります。
2.節税に繋がる場合がある
原則課税の場合、「支出にかかる消費税」を算出します。
いっぽう、簡易課税の場合は「収入にかかる消費税」に「みなし仕入率」をかけ、控除額を算出します。
つまり、みなし仕入率の高い事業を営んでいる場合、簡易課税のほうが控除額が大きくなり、結果的に節税に繋がる可能性があります。
簡易課税制度の注意点
簡易課税を選択する場合、下記の点に注意しましょう。
- 事業ごとに計算する必要がある
- 税負担が大きくなる場合がある
1.事業ごとに計算する必要がある
簡易課税を選択する場合、原則、最も低いみなし仕入率を適用し、控除額を算定します。
みなし仕入率は事業ごとに設定されていますが、複数の事業を営んでいる場合にも、原則は最低値を使用します。
これを避けるには事業別で消費税を区分けし、別個に算定しなくてはならないため、複数の事業を営んでいる人にとっては手間が増えることとなります。
2.税負担が大きくなる場合がある
簡易課税の場合、支出や設備投資の増加にかかる金額は不算入のため、いくら支出額が増えても、控除額に影響はありません。
このため、支出だけが増え、事業者が負担する税額が大きくなる可能性があります。
原則と簡易、どちらが得か
原則課税と簡易課税を選択する際、「登記の収支発生状況」を基準に検討します。
控除額は、下記の計算で算出します。
- 原則課税:収入にかかる消費税-支出にかかる消費税
- 簡易課税:収入にかかる消費税×(収入にかかる消費税×みなし仕入率)
みなし仕入率
みなし仕入率とは、事業者の売上高に占める仕入率を示すもので、下表の通り、事業区分により定められています。
事業区分 | みなし 仕入率 | 事業 |
---|---|---|
第1種事業 | 90% | 卸売業 |
第2種事業 | 80% | 小売業、農業、林業、漁業 |
第3種事業 | 70% | 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、 電気業、ガス業、熱供給業及び水道業 |
第4種事業 | 60% | 第1種~第6種事業以外の飲食店業など |
第5種事業 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業、サービス業 ※第1~第3種事業に該当するものを除く |
第6種事業 | 40% | 不動産業 |
一般的に、売上高に対する仕入率が高いほど、企業の利益率は低くなる傾向にあります。
このため、みなし仕入率と実際の仕入率を比較し、実際の仕入率の方が高い場合には簡易課税を用いる方が得になります。
ただし、他の控除を利用できるのなら、結果的に原則課税が得になる可能性もあります。
簡易課税制度の概要とメリット、注意点まとめ
当ページでは、消費税の簡易化税制度の概要と活用のメリット、注意点を解説しました。