当サイトの一部に広告を含みます。
Contents
筆者プロフィール
動物病院の開業形態
動物病院を開業する場合、「新規開業」「事業承継」から選択することができます。
新規開業は、自身が発起人(創業者)として動物病院を設立する形態ですが、事業承継は既存の動物病院を承継して運営します。
この他、個人事業または法人から選ぶことになります。
動物病院開業までの流れ
動物病院は、下記の流れに沿って開業します。
- 開業計画の策定
- 商圏調査・物件の契約
- 内装・設備工事
- 採用、広告宣伝
- 諸官庁への届出
1.開業計画の策定
開業計画では、動物病院を経営する目的や理念、必要資金とリスクをまとめます。
これらを更に具体化したものが事業計画や収支計画です。
事業計画書は、金融機関から融資を受ける際にも役立ちますが、安定的な経営を目指す場合、なくてはならないものです。
2.商圏調査・物件の契約
商圏調査
強い思い入れがある場合を除き、動物病院の開業エリア(商圏)を選定します。
商圏調査は、対象地域の市場と需要を把握し、自院が応えたいニーズとの適合性をはかる重要なポイントです。
これだけでなく、競合の存在を確認し、これらを分析することで価格相場ができ、より具体的な需要予測・売上高の見込額を算定することができます。
事業を成長・持続させるためにも、立地の選定は重要な役割をもちます。
物件の契約
事業計画、商圏調査の結果を踏まえ、エリアを選定し契約に移ります。
契約時は、賃料、補償金、契約期間、更新条件、原状回復の範囲、解約条件等をよく確認し、不明な点があれば契約前に確認しましょう。
動物病院の場合、騒音や臭いに関して問題視されることも多いため、事前の合意は不可欠です。
契約期間の満了前の解約に違約金が発生する場合がありますので、更新期間は必ず確認しましょう。
3.内装・設備工事
物件の契約完了後、内外装や設備を整えます。
予定している診療内容により、大がかりな設備工事を要する場合があるため、予算と費用、工期を確認しましょう。
受付・待合室、診察室、手術室のほか、駐車場や看板、窓や壁面等も調える必要があるため、余裕をもったスケジュール管理が望ましいです。
4.採用、広告宣伝
採用
動物病院の開業にあたり、診療助手のほか、受付スタッフ等の採用を検討します。
動物病院の患者は、原則、言葉を話せないため、専門知識や経験だけでなく、コミュニケーションスキルが求められます。
複数名を採用する場合にはチームワークも考慮し、開業までに教育する時間を設ける必要があります。
広告宣伝
動物病院の場合、ターゲットは動物本人ではなく飼主です。
飼主とペットとの絆に訴えかけるものが多いだけでなく、両者に配慮した診療環境とスタイルをアピールし、飼主へのサポート体制を整えましょう。
5.諸官庁への届出
動物病院の開業に必要な届出を行います。
動物病院の開業に必要な手続
動物病院の開業にあたり、下記の書類が必要です。
- 診療施設開設届
- 動物取扱業登録申請
- X線装置設置届※
※全ての場合に必要なものではなく、該当する場合に提出します。
診療施設開設届
動物病院を開業する場合、獣医師免許証を持つ人から、動物病院を設置する場所を管轄する都道府県知事に対し、「診療施設開設届」を提出しなければなりません。
期限は、開業から10日以内です。
「診療所の平面図」「獣医師免許証の写し」その他、必要に応じた書類を添付する必要があります。
動物取扱業登録申請書
動物取扱業とは、入院設備を設置する等、反復・継続して動物を取り扱う場合に必要な「登録」です。
動物取扱業登録を受けるには、下記の要件を満たす「動物取扱責任者」を選任する必要があります。
- 獣医師
- 愛玩動物看護師
- (1)半年以上の実務経験またはこれと同等と認められる1年以上の飼養経験、(2)知識および技術に関し、1年間以上の教育課程を修了しているの両方を満たす人
- (1)半年以上の実務経験またはこれと同等と認められる1年以上の飼養経験、(2)客観的な試験により知識および技術を習得した証明を受けていることのいずれも満たす人
上記は東京都の例で、各自治体により要件が異なります。事前に確認しましょう。
X線装置設置届
動物病院において、X線装置を取り扱う場合には「X線装置設置届」の提出が必要です。
届書には、X線装置の製作者、方番号、使用台数、使途等を記載する必要があるため、各事業者に確認しましょう。
放射線関連の診療装置を設置する場合、「高エネルギー放射線診療装置」「放射線同位元素装置」等の関する書類を求められるのが一般的です。
その他
上記の他、税務署や県税事務所宛に「開業」に関する書類を提出します。
- 個人事業開業届出書
- 事業開始等の届出書
- 所得税の青色申告承認申請書(任意)
- 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
- 所得税のたな卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
- 消費税課税事業者選択届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書
これらは一例であり、開業時に選ぶ事業形態、その他によって異なる場合がありますので、必ず確認しましょう。
動物病院の開業における注意点
動物病院を開業する際は、下記の点に注意しましょう。
- 資金繰り
- コミュニケーション
- コンプライアンス遵守
資金繰り
継続的な経営において、適切な資金繰りは不可欠です。
融資を検討する場合、必要資金を明確にし、具体的な返済計画を策定しましょう。
過剰な借入は返済が苦しく、経営の圧迫に繋がる可能性があります。
コミュニケーション
動物病院の経営において、飼主、患者である動物、スタッフ、取引先、近隣住民とのコミュニケーションが欠かせません。
相手のニーズを明確にするだけでなく、情報共有、迅速な連携体制を整えましょう。
コンプライアンス遵守
動物病院を経営する上で、守るべきルールがあります。
知らないままでも経営できてしまいますが、いずれ必ず指摘されるときは来ます。
この際「知らなかった」は言い訳にすらなりませんし、最悪の場合、営業停止や一定期間内の事業停止処分となることもあります。
動物病院の開業に必要な手続、流れ、注意点まとめ
当ページでは、動物病院を開業する際に必要な手続と流れ、注意点を解説しました。