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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
人材開発支援助成金とは
人材開発支援助成金は、事業者等が雇用する従業員(労働者)に対し、仕事に関する専門的な知識や技能の習得に必要な職業訓練等を実施する場合、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
1.人材育成支援コース
人材育成支援コースは、雇用する被保険者に対し、(1)職務に関連する知識・技能を習得するために必要な訓練、(2)厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、(3)非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練を実施した場合に、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。
令和5年(2023年)3月まで「特定訓練」「一般訓練」「特別育成訓練」に区分されていたものを「人材育成支援コース」に一本化することで、より利用しやすくなっています。
人材育成支援コースの1年度当たりの助成限度額は1,000万円です。
1-1.人材育成訓練
人材育成訓練では、職務に関連する知識・技能を習得するために10時間以上の訓練を行うものが対象です。事業活動と切り離して行う座学などで、計画範囲に制限があります。
- OFF-JTにより実施される訓練であること
- 実訓練時間数が10時間以上
1-2.認定実習併用職業訓練
認定実習併用職業訓練とは、厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練を指します。
- OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
- 訓練実施期間が6か月以上2年以下であること
- 総訓練時間数が1年あたりの時間数に換算し、850時間以上であること
- 総訓練時間数に占めるOJTの割合が2割以上8割以下であること
- 訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1により職業能力の評価を実施すること
1-3.有期実習型訓練
有期実習型訓練とは、有期契約労働者等に対し、正規雇用労働者等への転換を目的に行う訓練です。
- OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練であること
- 訓練実施期間が2か月以上であること
- 総訓練時間が6か月当たりの時間数に換算して425時間以上であること
- 総訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること
- 訓練終了後にジョブ・カード様式3-3-1-1により職業能力の評価を実施すること
2.教育訓練休暇等付与コース
有給教育訓練等制度を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受講した場合に助成するコースです。
教育訓練休暇等コースの1年度当たりの助成限度額は、制度導入に対し30万円です。
2-1.教育訓練休暇制度
3年間に5日以上の取得可能な教育訓練休暇を有給で導入し、実際に適用した事業主に助成する制度です。制度導入に対し、30万円が支給されます。
2-2.長期教育訓練休暇制度
30日以上の長期教育訓練休暇を取得可能な制度を導入し、実際に適用した事業主に助成する制度です。
制度導入に20万円、有給休暇に対し、1人につき1日6,000円、最大150日分まで賃金助成を行います。
2-3.教育訓練短時間勤務当制度
30回以上の所定労働時間の短縮、および、所定労働時間の免除が可能な制度を導入し、実際に1回以上適用した事業主に助成する制度です。制度導入に対し、20万円が支給されます。
3.人への投資促進コース
人への投資促進コースは、デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスク型)を実施した場合、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。
1事業年度1年度あたりの限度額は2,500万円(自発的職業能力開発訓練は300万円)です。
3-1.高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
高度デジタル人材を育成するための訓練、大学院で訓練を行う事業主に対する高率助成です。
成長分野等人材訓練への1年度当たりの助成上限額は1,000万円です。
3-2.情報技術分野認定実習併用職業訓練
IT分野未経験者の即戦力かのために、OFF-JTとOJTを組み合わせた訓練を実施する事業主に対する高率助成です。
3-3.定額制訓練
サブスクリプション型の研修サービスによる訓練に対する助成です。
3-4.自発的職業能力開発訓練
労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主への助成です。
3-5.長期教育訓練休暇等制度
働きながら訓練を受講するための休暇制度・短期間勤務等の制度を導入する事業主への助成です。
4.事業展開等リスキング支援コース
事業展開等リスキング支援コースは、新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、新たな分野で必要とされる知識および技能習得を目的とした訓練実施に対し、訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。
- OFF-JTにより実施される訓練であること
- 実訓練時間数が10時間以上であること
- 次の1または2のいずれかにあてはまる訓練であること
1.事業展開にあたり、新たな分野で必要な専門的な知識および技能の習得が目的の訓練
2.事業展開は行わないが、事業主において企業内のDX化、グリーン・カーボンニュートラル化を進める場合、これに関連する業務に従事させる上で必要な専門的な知識および技能の取得が目的の訓練
5.建設労働者認定訓練コース
建設労働者認定訓練コースは、認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合の訓練経費の一部、建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合の訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。
「経費助成」「賃金助成」「賃金向上助成・資格等手当助成」に区分され、対象と助成額が異なる点に注意が必要です。
6.建設労働者技能実習コース
建設労働者技能実習コースは、雇用する建設労働者の技能工場を目的とし、有給で実習を受講させた場合に訓練経費・訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。
「経費助成」「賃金助成」「賃金向上助成・資格等手当助成」に区分され、対象と助成額が異なる点に注意が必要です。
7.障害者職業能力開発コース
障害者職業能力開発コースは、障害者が職業に必要とする能力を開発・向上させる目的で、一定の教育訓練を継続して実施する施設を設置・運営する場合、その費用を一部助成するコースです。
- 次の1~6のいずれかにあてはまる人
(1)身体障害者
(2)知的障害者
(3)精神障害者
(4)発達障害者
(5)高次脳機能障害のある人
(6)難治性疾患がある人 - ハローワークに求職を申込み、障害特性、能力、労働市場の状況等を踏まえたうえで、職業訓練の受講が必要だとハローワーク所長が認め、支給対象となる事業主等に「職業訓練受講通知書」により通知した人
訓練としての要件が事細かに定められているため、事前に確認しましょう。
主な受給要件
支給対象
人材開発支援助成金の助成対象となるのは、次のいずれにも該当する事業主等です。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 助成金の支給または不支給決定に係る審査に必要な書類等を整備、保管している事業主等
- 助成金の支給または不支給決定に係る審査に必要な管轄労働局の長(管轄労働局長)が求める書類等の提出または提示、実地調査等に協力する事業主等
- 各助成金に定められる要件を満たす事業主等
不支給要件
支給対象の事業主等でも、下記のいずれかに該当する場合、支給されません。
- 偽りその他不正の行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または、受けようとしたことにより、支給申請日または支給決定日時点において、助成金不支給措置がとられている事業主等
- 助成金の支給に係る事業所において、支給申請日の属する年度の前年度より前の保険年度の労働保険料が未納となっている事業主等
- 助成金の支給に係る事業所において、支給申請日の前日から起算して1年前から支給申請日の前日までに労働関係法令の違反を行った事業主等
- 風俗営業等関係事業主等
- 暴力団関係事業主等
- 事業主等または役員等が、破壊活動防止法に規定される暴力主義的破壊活動を行ったまたは行うおそれがある団体等に属している事業主等
- 事業主等または支給決定日の時点で倒産している事業主等
- 管轄労働局長が震災に必要な事項を確認する際の協力、助成金不正受給が発覚した場合の事業主名等の公表や助成金の返還等につき、承諾していない事業主等
- 「支給要件確認申立書」の別紙「役員等一覧」またはこれと同じ内容の記載がある書類を提出していない事業主等
- 本支給要領に従うことを承諾していない事業主等
- 不正受給に関与したことにより、助成金の不受理措置がとられている社会保険労務士または代理人が不受理期間中に申請をした事業主等
- 訓練を行う人が申請事業主等の不正受給に関与していた場合、不支給日または支給の取消し日から5年を経過するまでの期間
- 支給申請書等に事実と異なる記載または証明を行った事業主等
供給調整
本助成金の申請について、同じ事業主等の同じ行為を根拠に、同時に2つ以上の助成金を受給することはできません。
助成金以外の補助金等を受給している場合、申請する助成金と当該補助金等の趣旨・目的、内容等を比較し、支給決定が行われます。
申請窓口
助成金の問合せ・申請先は、各都道府県の労働局です。
人材開発支援助成金の概要 まとめ
当ページでは、人材開発支援助成金の助成対象、要件等を解説しました。