当サイトの一部に広告を含みます。
当ページでは、令和6年(2024年)1月1日から施行されている改正電子帳簿保存法の概要と注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、会計書類等の電子データによる保存に関するルールを定めたものです。
電子帳簿保存法の対象書類
電子帳簿保存法の対象書類は、次の3つに区分されます。
1.電子帳簿等保存の対象書類・帳簿
電子帳簿等保存の対象となるのは、会計ソフト等のコンピュータにより作成されているものです。
- 国税関係帳簿
- 決算関係書類
- 取引関係書類を紙媒体で取引先に提出した場合の控え
※適用対象は希望者のみです。※
2.スキャナ保存の対象書類
スキャナ保存の対象となるのは、契約書や納品書、預金通帳、小切手など、取引で重要な役割をもつ書証関連、見積書や注文書等の取引に付随する書証につき、スキャナを使用してスキャンした場合やタブレット・スマホ等による撮影データ等です。
一定水準以上の解像度およびカラー画像による読取りを含め、要件に従った保存がされていれば、スキャナデータの原本とスキャンデータのサイズが異なっていても問題ありません。
スキャナ保存の要件は、次の通りです。
※適用対象者は希望者のみです※
3.電子取引の対象書類
電子取引の対象となるのは、電子データでやりとりした見積書、送り状、契約書などの書類で、自らが送信したものだけでなく、受け取った場合にも保存が必要です。
メール、FAX、webサイト、電子契約等がこれに当たります。
電子データによる保存等が認められない書類
電子データでの保存等が認められる国税関係帳簿は、初期段階から一貫してコンピュータを使用して作成するものなので、手書きで作成した帳簿については、紙媒体での保存が必要です。
また、企業内での決済および整理などを目的として作成された売上伝票等の伝票類は、国税関係書類の定義から外れるため、電子データでの保存は認められません。
要するに、コンピュータで作成した書類であること、伝票の作成・保存目的が国税関係帳簿の補助であることが、電子データでの保存要件ということですね。
令和6年(2024年)改正ポイント
令和6年(2024年)1月1日から、改正電子帳簿保存法が施行されています。
1.電子取引データの保存要件
電子データとして発行・受領した取引情報につき、改正前はプリントし、紙媒体としての保管も許容されてきましたが、電子データでの保存が義務づけられます。
例えば、メールで取引情報のやりとりをした取引は、取引情報がメール本文にある場合にはこのメールを、添付ファイルに記載されている場合にはファイルを、それぞれハードディスク、DVD、クラウドサービス等に記録・保存します。
2.タイムスタンプと検索要件
スキャナ保存の導入を希望する事業者を対象に、タイムスタンプ要件の大幅緩和が行われました。
旧法では、タイムスタンプの付与期限は受領後3日以内とされていたところ、最長2か月と7営業日以内に改められただけでなく、期限内に入力したことを証明する機能があるシステムに保存できる場合には、タイムスタンプ自体が不要となりました。
一般財団法人日本データ通信協会が認定する事業者が発行するタイムスタンプでなければなりません。
3.紙帳簿の保管期限
国税関係帳簿書類に関し、クラウド会計ソフト等を利用して対象帳簿を作成する場合、紙帳簿に設けられていた7年間の保管期限が不要となります。
改正電子帳簿保存法 注意点
個人の場合
本改正に伴い、青色申告を選択している事業者は、電子取引の電子保存対応が必要です。
対応を怠った場合、納税の際に青色申告を制限される可能性があります。
法人の場合
法人の場合、社員が取引データを取り扱う場面も多いことが予測されますが、隠蔽・改ざんと見なされる行為を行った場合、ペナルティが課される可能性があります。
令和6年 改正電子帳簿保存法の概要、注意点 まとめ
当ページでは、改正電子帳簿保存法の概要と注意点を解説しました。