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当ページでは、未成年後見人の選任が必要なケースと選任方法、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
未成年後見人とは
未成年後見人は、未成年者の法定代理人で、対象となる未成年者(未成年被後見人といいます)の監護養育、財産管理、契約等の法律行為等を行います。
多くの場合、子どもの監護や財産管理を行うのは親権者である両親ですが、親権者の死亡などにより、親権をもつ人がいない場合に選任申立てを行うことになります。
未成年後見人の仕事
未成年後見人には、次の役割が与えられます。
未成年者の財産管理、身上監護
未成年後見人の主な役割は、未成年者の身上監護および財産管理です。
未成年者の親代わりとして、未成年被後見人が成人するまでの間、子が健やかに育つために適切な環境を守り、与える必要があります。
また、未成年者は単独で法律行為を行うことができないため、未成年後見人が希望する法律行為に同意し、または代理人として契約を締結します。
例外として、未成年者の雇用契約については、未成年後見人が代理人として契約を結ぶ事が禁じられています。
家庭裁判所への報告
未成年後見人のもう1つの仕事は、未成年者の身上監護や財産管理について、家庭裁判所に対して定期に報告することです。
これにより、未成年後見人による未成年者の財産の不正消費等を防ぎます。
未成年後見人に問題があり、後見人として不適格な場合には、解任されることがあるほか、民事上の損害賠償責任、刑事上の業務上横領等の罪に問われる可能性があります。
未成年後見人が必要なケース
未成年後見人が必要なケースとして、(1)両親の死亡、(2)特別な事情による親権喪失、(3)子と他人との養子縁組などが考えれます。
何らかの事情があり、未成年者に親権者がいなくなった場合、祖父母、伯父伯母等の親族が面倒を見るのが一般的ですが、親族ならば誰でも未成年者の法定代理人になれるわけではありません。
法定代理人の同意、代理契約が不可欠な未成年者の法律行為において、法定代理人の存在は不可欠であることから、未成年後見人を選任する必要が生じます。
未成年後見人と特別代理人の違い
未成年後見人と特別代理人、いずれも未成年者を保護するために選任される存在ですが、職務内容と選任が必要な場合が異なります。
未成年後見人が選任されている場合、後見人と未成年者が相続人となる相続が発生すると、互いの利益がそう反するため、公平な相続を脅かすおそれがあります。
こうした場合、遺産分割協議に限り、未成年者の代理として「特別代理人」を選任します。
選任された特別代理人は、当該相続手続が完了すると職務終了となりますが、未成年後見人は未成年者が成人するまで職務を続ける点でも異なります。
未成年後見人の選任方法
未成年後見人の選任には、次の要件を満たす必要があります。
未成年後見人選任申立てができる人(申立人)
- 未成年者
- 未成年者の親族
- その他 利害関係人
未成年者本人が申立てる場合、意思能力(自分の行為の性質、結果を判断できる精神的な能力のこと)があることが求められます。
未成年後見人になれる人
未成年後見になるために、特別な資格は必要ありません。
しかし、下記に該当する場合には未成年後見人になれないことが法律で定められています。
- 未成年者
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
- 破産者で復権していない者
- 未成年者に対して訴訟をし又はした者、その配偶者、その直系血族(祖父母や父母等)
- 行方の知れない者
申立先
未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所
申立てにかかる費用
- 収入印紙800円分(未成年者1人につき)
- 連絡用の郵便切手
郵便切手の代金、必要数は、申立て先となる家庭裁判所により異なるため、事前に確認しましょう。
申立てに必要な書類
申立てには、次の書類が必要です。
場合により、追加書類を求められる場合もあるため、申立て先の家庭裁判所に確認しましょう。
未成年後見人を選任する際の注意点
未成年後見人を選任する場合、次の点に注意しましょう。
1.報酬が必要な場合がある
未成年後見人の選任にあたり、未成年後見人から請求があり、家庭裁判所が認めると「報酬」が発生します。
報酬は、未成年被後見人の財産から支払われることになり、退任するまで支払続けることになります。
2.選任すると解任が難しい
未成年後見人の選任後、未成年者の財産を不正に消費または未成年者の監護を怠ったような場合、家庭裁判所が未成年後見人を解任することがあります。
逆に言えば、誰が見ても明らかな問題が顕在化しない限り、解任されることはありません。これは未成年後見人、未成年被後見人、いずれにも言えることです。
未成年者から解任を求める場合、未成年後見人から辞任したいと申し出る場合、どちらにも「正当な事由」が必要なので、選任に比し、解任はハードルが高いと言えます。
未成年後見人が必要なケース、選任方法、注意点まとめ
当ページでは、未成年後見人の選任が必要なケースと選任方法、注意点を解説しました。