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行政書士の業務賠償責任保険加入義務と、加入時の注意点を解説

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当ページでは、行政書士倫理24条に定められる「業務賠償責任保険」の内容と、保険加入時の注意点を解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

行政書士倫理とは

行政書士倫理は、日本行政書士会連合会が「行政書士の使命を果たすための基本姿勢」を定めたものです。

関連リンク

行政書士倫理 第24条

行政書士倫理の中に、次の定めがあります。

行政書士は、依頼者を保護するために、職務上の責任について業務賠償責任保険に加入するように努めなければならない

本項では、行政書士の業務賠償責任保険への加入は「努力義務」とされています。

しかし、努力義務を課している目的は「依頼者保護」。

取引上発生する金額が高額になる場合も多く、狙って損害を発生させる人は少数であることを考えれば、行政書士業務を行う前に、何らかの措置を講ずる必要があります。

全行団 行政書士賠償責任補償制度

行政書士向けの業務賠償責任保険を検討する際、最も著名なのは「全行団」の業務賠償背金補償制度です。

全行団ぜんぎょうだんは、日本行政書士連合会および地方協議会から出資を受け、行政書士の福利厚生、事務所運営を目的に活動する営利法人(株式会社)です。

全行団の他にも業務賠償責任保険を販売する保険会社はありますが、一例としてご紹介します。

加入者

全行団の行政書士賠償責任補償制度に加入できるのは、日本行政書士会連合会の会員である行政書士および行政書士法人のみです。

被保険者(保険の対象)

保険の対象となるのは、(1)行政書士個人、(2)行政書士法人です。

(2)の行政書士法人では、社員、使用行政書士または業務補助者も、記名被保険者の業務範囲内で適用対象となります。

補償対象となる業務

全行団の賠償責任補償制度では、下記の業務を有償で受けた場合のみ、補償対象となります。

  1. 官公署に提出する書類その他、権利義務または事実証明に関する書類を作成すること
  2. 行政書士が作成できる書類の提出手続を代理および代行すること
  3. 行政書士が作成できる書類作成の相談に応じること
  4. 行政書士が作成できる契約その他に関する書類を代理人として作成すること
  5. 上記の業務に附帯し、または密接に関連する業務
  6. 税務書類の作成、財務書類の作成、会計帳簿の記帳、及びその他財務に関すること
  7. 行政書士が作成した書類に係る許認可等に対する不服申立て手続について代理し、および、その手続について官公署に提出する書類を作成すること【特定行政書士のみ対象】

要するに、「行政書士として行う業務のほとんどが補償対象となる」です。

支払われる保険金の種類

補償金として支払われるのは、次の2種類です。

  • 被害者に支払うべき「損害賠償金」
  • 「訴訟費用」「弁護士報酬」等の費用など

損害賠償金は、総額から免責金額を差し引いたものが支払対象となっているため、自身が支払った賠償金全額が支払われるわけではないことに注意が必要です。

免責条件

次の事由に起因して発生した損害は、補償対象外(免責)となるため、注意しましょう。

  1. 被保険者の犯罪行為または行為行為(不作為を含む)が法令に違反すること、もしくは、他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為
  2. 業務の結果を保証することにより加重された賠償責任
  3. 行政書士法の規定に違反して行った業務
  4. 他人の身体の障害(障害に起因する死亡を含む)または財物の滅失、破損、汚損、紛失、または盗難(ただし、行政書士業務のために被保険者が受託する定款、実印、印鑑証明書および許認可証の滅失、破損、汚損、紛失または盗難は除く)
  5. 行政書士業務報酬(日当、旅費、宿泊費を含む)の返還
  6. 加入前に請求されることを知っていた場合(過失により知らなかった場合を含む)、その原因または事由により生じた賠償責任
  7. 許認可取得の可否の保証
  8. 特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他これらに類するもの(ただし、著作権は除く)
  9. 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税もしくは利子税または過少申告加算金、府申告加算金もしくは遅延金に相当する損失
  10. 不正な国税もしくは地方税の賦課、徴税免れまたは還付に関する指示、相談等に不正のあった事案
  11. 重加算税または重加算金を課された事案
  12. サイバー攻撃
  13. 上記1~12のほか、賠償責任保険普通保険約款に掲げる免責事項など

色々難しいことが書いてあるように見えますが、本来の行政書士業務から外れた業務(他士業の独占業務等)や違法性のあるもの、本人の過失による損害が免責とされます。

加入申込方法

全行団の賠償責任補償制度の場合、加入申込は「インターネット」「郵便払込取扱申込」の2種類から選べます。

インターネット申込の場合
  1. 全行団申込サイトにアクセス(こちら
  2. 新規・更新の選択
  3. プラン選択・お客様情報の入力
  4. メール認証
  5. 決済方法の選択
  6. 保険料の振込

郵便払込取扱票による申込の場合
  • 該当年度の用紙に記入
  • 郵便局から一括払いにて申込

保険年度は毎年10月1日から1年間で、申込期日は9月20日まで。
9月21日以降に保険金が着金した場合、中途加入扱いとなりますので、注意しましょう。

事故が起こった場合の連絡先

保険加入者が事故に遭った場合、東京海上日動火災保険株式会社 本店損害サービス第一部 医師・専門職業損害サービス室まで連絡します。

TEL:03-3515-7507
FAX:03-3515-7504

土日祝日、年末年始は対応不可となっているため、この期間中に事故発生を知り、または、損害賠償請求を受けた場合、最も近い営業日に連絡することになります。

事故時に必要な書類
  • 保険金請求書および保険金請求権者が確認できる書類
  • 事故日時・事故原因および事故状況等が確認できる書類
  • 保険の対象の時価額、損害額、損害の程度および損害の範囲、復旧の程度等が確認できる書類
  • 公の機関や関係先等への調査のために必要な書類
  • 被保険者が損害賠償責任を負担することが確認できる書類

事案により、上記以外の書類を求められる場合もありますので、必ず確認しましょう。

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保険加入を検討する際の注意点

保険への加入を検討する際、下記の点に注意しましょう。

免責事項

どの保険にも言えることですが、補償対象が細かく定められています。

実際に事故が発生し、いざ補償申請を行ったのに「補償対象外です」と言われた場合、泣きっ面に蜂ですよね。

補償対象の確認も大切ですが、免責事項の確認も忘れずに行いましょう。

契約内容の理解

損害保険には様々な種類があり、各商品かなり細かく補償範囲が定められています。

この範囲から少しでも外れた場合、保険金は支払われないため、自分が備えたいリスクが何かを確認する必要があります。

例えば、団体保険の場合はニーズの大きい部分に重きを置きますが、自分の取り扱う業務がそこにマッチするとは限りません。

一社のみで決めてしまうのではなく、複数社の情報を集め、自分に合う保険に加入しましょう。

申込内容は正確に

申込の際、事実と異なる記載をしたり、補償内容が重複する別の保険商品に加入していることを申告し忘れた場合、契約の強制解除、保険金未支給となる場合があります。

業務賠償責任保険は「損害保険」に該当しますので、既に加入している損害保険があれば、内容を確認しておきましょう。

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行政書士倫理24条 業務賠償責任保険 まとめ

当ページでは、行政書士倫理24条「業務賠償責任保険」について解説しました。

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カテゴリー: コラム


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榊原沙奈
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