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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者が全文を自分の手で書く(自書)遺言形式のことをいいます。
具体的な手書き範囲は、「遺言の全文」「作成年月日」「氏名」で、最後に押印をします。
例外的に、遺言書に添付する財産目録はパソコンでの作成、代筆が認められています。
ただし、添付する全てのページに署名押印をする必要があります。
自筆証書遺言のルール
自筆証書遺言を作成するには、民法に定められる最低限の要件を満たす必要があります。
1.原則、自書
自筆証書遺言は、遺言者本人が本文の全てを自書する必要があります。
また、遺言書を作成した年月日を具体的に記載し、最後に、遺言者の氏名・押印をします。
「○年○月吉日」や「○年○月」と記載した場合、作成年月日が不明確なことから無効として取り扱われる可能性がありますので、必ず、日付まで書ききりましょう。
2.財産目録は別
遺言書で具体的な分割方法を指定する場合、財産目録の添付が必要です。
遺言書内に財産を明記しても構いませんが、全文を自書しなくてはならず、遺言者に負担がかかります。
法律上、財産目録に関しては自書する必要がなく、預貯金通帳や不動産登記事項証明書等のコピーでもOKなので、手抜きをできるところは上手に抜きましょう。
ただし、財産目録として添付する資料の各ページに、遺言者による署名押印が必要です。
「各ページに」とあるように、両面コピーを施した場合は両面に署名押印が必要です。
3.訂正や追加する場合
遺言書を作成する際、誤字脱字や内容そのものに誤りがある場合、古い記載に二重線を引き、訂正印を押します。
このときに押すのは、最後の押印と同じ印鑑です。
訂正印を押した部分から近い空欄に、変更内容、変更したこと、署名を書き込みましょう。
自筆証書遺言書のメリット・注意点
自筆証書遺言書を作成するメリットと注意点は、次の通りです。
- 手軽に作成でき、費用がかからない
- 遺言の内容を他人に開示する必要がない
- 内容に不備があれば無効になる可能性がある
- 作成した遺言書の紛失、変造、破棄される可能性がある
- 遺言者の死後、家庭裁判所における検認手続が必要
自筆証書遺言書作成のポイント
自筆証書遺言書を作成する際、次のポイントをおさえましょう。
1.遺留分に配慮する
一部の法定相続人には、法律により相続できる最低保障割合が定められており、これを「遺留分」といいます。
遺留分があるのは、被相続人(死亡人)の配偶者、子または孫等の直系卑属、両親または祖父母等の直系尊属のみで、兄弟姉妹には認められません。
遺言書で指定する分割割合が一部の相続人の遺留分を侵害する場合、これだけを理由に遺言書が無効になるわけではありませんが、自分の遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。
かなり平易な言い方をすると、もめます。
ですので、相続人同士の争いを避けるためにも、遺留分には配慮した分割方法を指定することをオススメします。
2.自筆証書遺言保管制度を利用する
自筆証書遺言は、紙と筆記具、印鑑があれば簡単に作成できますが、死後に見つけてもらえなければ意味がありません。
いっぽうで、容易に見つけられる場所に保管しておくと、生前に発見され、内容の改ざん・偽造、破棄される可能性もあります。
こうしたリスクに備えるために、自筆遺言証書を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法があります。
自筆証書遺言書に関する質問・相談事例
自筆証書遺言書に関する質問・相談事例をご紹介します。
1.財産目録の記載を訂正する方法は?
財産目録をパソコン等で打ち出している場合、遺言書本文と同様、訂正箇所を指定し二重線にて打ち消し。この上に押印し、余白部分に変更内容を指示し、変更した旨を書き込んで、署名します。
2.遺言書の用紙に決まりはある?
遺言書作成に使用する用紙、サイズに決まりはありませんが、一般的にはA4サイズに適度な余白を設けて記載します。文字列は、たてよこどちらでも構いません。
また、長期保存でも内容が読み取れるよう、ボールペン等の消えない筆記具を使用しましょう。
3.遺言書に契印は必要?
遺言書が複数枚に渡る場合、契印をしておくと安心ですが、法律上に定めはないため、契印がなくても構いません。
ただし、自筆証書遺言の場合、発見者の偽造・改ざん・隠蔽・破棄等のおそれがあるため、心配なら契印をしておくと安心です。
自筆遺言証書の作り方まとめ
当ページでは、自筆証書遺言書の作成方法を解説しました。