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当ページでは、遺言書の検認手続が必要な場合と、検認手続の流れを解説します。
Contents
遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在及び内容を知らせるとともに、家庭裁判所で遺言書の状態、日付や署名など検認日における遺言書の内容を明確にし、一部の相続人による遺言書の偽造・変造を防止する手続をいいます。
端的に言えば、
(1) 相続人に遺言書の存在・内容を知らせる
(2) 偽造・変造を防止する
という2つの特徴があります。
検認手続が必要な場合
下記の遺言書は検認手続が必要です。
- 自筆証書遺言(法務局に保管されているものは除く)
- 秘密証書遺言
検認手続が不要な場合
遺言書のうち、公正証書によるもの、法務局において保管されている自筆証書遺言書に関して交付される「遺言書情報証明書」には、検認手続が必要ありません。
検認手続の流れ
下記の流れに従い、検認手続を行いましょう。
- 家庭裁判所に申立
- 遺言書の検認
- 検認済証明書の発行
1. 家庭裁判所に申立
1-1. 申立人と申立て先
検認手続の申立先は、遺言者の最期の住所地を管轄する家庭裁判所です。
申立ができるのは、遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人に限られます。
1-2. 必要な費用
検認手続には、下記の費用が必要です。
- 収入印紙800円分/遺言書1通につき
- 連絡用の郵便切手※
連絡用の郵便切手は、申立先の家庭裁判所や事案により異なるため、事前に確認しておくと安心です。
1-3. 必要な書類
検認の申立てについて、下記の書類を提出する必要があります。
遺言者に子がいる場合で、遺言者より先に子が亡くなっている場合には、当該子の死亡が確認できる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本が必要になる等、事案に応じて必要書類が異なる点に注意が必要です。
2. 遺言書の検認手続
必要書類を提出後、家庭裁判所から相続人全員に対し、検認期日の通知が届きます。
原則、検認手続には申立人と相続人が出席することになりますが、仮に相続人が出席を拒否した場合でも、検認や遺言書の効力に影響はありません。
当日の持ち物は下記の通りです。
- 遺言書(原本)
- 申立人の印鑑
- その他家庭裁判所から指定されるもの
2-1. 当日の流れ
指定された期日には、出席した相続人等立会いのもとで遺言書が開封され、内容を確認します。
この際、遺言書を発見した相続人に対し、発見時の状況等を尋ねられる場合もありますが、何らかの疑いをかけられるものではありませんので、適宜回答しましょう。
検認終了後、家庭裁判所書記官により「検認調書」が作成されます。
3. 検認済証明書の発行
検認が終了したことを証明する「検認済証明書」が発行されるため、大切に保管しましょう。
遺言内容を執行するには、この「検認済証明書」がなければならないため、捨てないようにしてくださいね。
検認済証明書の交付請求には、遺言書1通につき150円分の収入印紙、申立人の印鑑が必要な点に注意しましょう。
手続終了後、遺言書の原本と封筒、検認済証明書の順に綴じた書類を返却され、検認手続は終了です。
検認手続のポイント
遺言書の検認手続では、下記のポイントを抑えましょう。
- 立ち会えない相続人がいる場合
- 遺言書の有効性
- 手続前の遺言書開封
1. 立ち会えない相続人がいる場合
検認手続の期日において、出席できない相続人がいる場合、家庭裁判所から検認手続の終了を知らせる通知が届きます。
欠席した相続人も、当該通知をもって「検認調書の写し」を請求でき、遺言書の内容を確認することができます。
2. 遺言書の有効性
検認手続では、遺言書の内容についての有効・無効を判断するものではありません。
あくまで遺言書が偽造・変造されていないことを確認する手続ですが、遺言内容の執行に欠かせない手続である点には注意が必要です。
有効な遺言書を作成するには、
(1) 公証役場で「遺言公正証書」を作成する
(2) 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を活用する
(3) 士業者等の専門家に相談または依頼する
いずれかの方法が考えられます。
3. 手続前の遺言書開封
検認手続を行う前に遺言書を開封した場合、遺言自体の有効性に影響はありません。
しかし、封印のある遺言書を検認手続を経ず開封すると、民法の規定により、5万円以下の過料に処される可能性があります(民法 第1005条)
罰則の有無にかかわらず、他の相続人とのトラブル防止の観点からも検認手続をとるのがオススメです。
遺言書の検認手続が必要な場合、手続の流れまとめ
当ページでは、遺言書の検認手続が必要な場合と、手続の流れを解説しました。