当サイトの一部に広告を含みます。
当ページでは、空き家特例の対象となる不動産、適用を受ける際に必要な手続きを解説します。
Contents
空き家特例とは
空き家特例とは、被相続人が所有していた居住用家屋、または居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得し、一定期間内に売却した場合、条件を満たすことにより最大3,000万円まで譲渡所得の金額から控除を受けられる制度を指します(出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁ホームページ)
空き家特例の対象期間
空き家特例の対象となる売却は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までです。
空き家特例の対象要件
空き家特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続開始の直前において、被相続人の居住用だった家屋をいい、下記すべてを満たすものでなければなりません。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続開始の直前において、被相続人以外は居住していなかったこと
(1) 区分所有建物とは
「区分所有建物」とは、建物の区分所有等に関する法律(通称「区分所有法」)に定められる要件を満たす建物をいい、一般的に分譲マンションを指します。
(2) 相続開始の直前に居住していなかった場合
相続開始の直前に、要介護認定等を受けた被相続人が福祉施設に入所し、当該建物に居住していなかった場合でも、下記の要件を満たすことで「被相続人居住用家屋」として認められます。
- 介護保険法に規定する要介護認定もしくは要支援認定を受けていた被相続人、または介護保険法施行規則第140条の62の4第2号に該当していた被相続人が次に掲げる住居または施設に入居または入所していたこと
(イ)老人福祉法に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム
(ロ)介護保険法に規定する介護老人保健施設または介護医療院
(ハ)高齢者居住安定法に規定するサービス付き高齢者向け住宅(イの有料老人ホームを除く) - 障害者総合支援法に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が、同法に規定する障碍者支援施設または共同生活援助を行う住居に入所または入居していたこと
- 特定事由により、その家屋が被相続人の居住の用に供されなくなった時から相続開始の直前まで、引き続き、その家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと
- 特定事由により、その家屋が被相続人の居住の用に供されなくなった時から相続開始の直前まで、その家屋が事業・貸付または被相続人以外の居住の用に供されていたことがないこと
- 被相続人が老人ホーム等に入所したときから相続開始の直前までにおいて、被相続人が主として居住していたと認められる家屋がその老人ホーム等であること
(3) 被相続人居住用家屋の敷地等とは
「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続開始の直前において、被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地、またはその土地に存在する権利を指します。
また、相続開始の直前において、その土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れ等)のある一段の土地だった場合、その土地の面積に、その2以上の建築物の床面積の合計のうち1の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積が占める割合を乗じて計算した面積部分に限られる点に注意しましょう。
例えば、土地全体が800㎡、母屋(被相続人居住用家屋)が300㎡、離れが200㎡の場合は「800㎡×300㎡/500㎡=480㎡」となり、480㎡のみが被相続人居住用家屋の敷地として控除対象となります。
空き家特例を受けるための要件
空き家特例を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。
- 売った人が、相続または遺贈により、家屋または敷地等を取得したこと
- 次の売却をしたこと
イ 相続または遺贈により取得した家屋を売るか、家屋とともに敷地等を売ること
(イ)相続時から譲渡時まで、貸付または居住の用に供されていない
(ロ)譲渡時において、一定の耐震基準を満たすもの
ロ 相続または遺贈により取得した家屋の全部を取り壊した後に、敷地等を売ること
(イ)相続時から取壊し等の時までに事業、貸付、居住の用に供されていない
(ロ)相続時から譲渡時まで事業、貸付、居住の用に供されていない
(ハ)取壊し等の時から譲渡時まで、建物または建築物の敷地用に供されていない
ハ 相続または遺贈により取得した家屋を売るか、家屋とともに敷地等を売る場合で、次の要件に当てはまること
(イ)相続時から譲渡時まで、事業用、貸付用、居住用に供されていなかった
(ロ)譲渡時から譲渡日の属する年の翌年2月15日までに一定の耐震基準を満たすことになった
(ハ)譲渡時から譲渡日の属する年の翌年2月15日までに家屋全部の取り壊し等を行ったこと※1 - 相続開始のあった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること※2
- 売った家屋や敷地等について、他の特例の適用を受けていないこと
- 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した居住用家屋または敷地等について、空き家特例を受けていないこと
- 親子、夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと※3
※1…令和6年(2024年)1月1日以後に行う譲渡に限る
※2…空き家特例を受ける家屋と一体として利用していた部分を、別で分割して売却している場合や、他の相続人が売却している場合、「4.売却代金が1億円以下であること」の判定は、相続時から3年経過日の属する12月31日までの間に売却したすべての金額を合算して行います。
※3…特別の関係とは、生計を一にする親族、売却後、売った家屋で同居する親族、内縁関係者、特殊な関係のある法人等を含みます。
空き家特例の控除額は、相続人1人3000万円までが上限です。
しかし、令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上いる場合、1人2000万円までとなっていますので、注意しましょう。
(1) 売却後、空き家を取り壊した場合
建物と敷地等を同時に譲渡し、譲渡後に取り壊す場合、譲渡の翌年2月15日までに完了すれば、空き家特例の適用対象となります。
相続した空き家を不動産に売却した場合、売却後に不動産が取り壊すこともあります。こういったケースでも空き家特例が適用となるため、空き家の処分に困っている相続人にとっては有難い制度ですよね。
空き家特例の適用を受けるために必要な手続き
空き家特例の適用を受けるには、一定の書類を添付し、確定申告する必要があります。
申告先は、当該不動産の所在地を管轄する税務署です。
(1) 必要な書類
空き家特例の適用を受けるためには、下記の書類が必要です。
(1)相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合 | イ 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] ロ 売った資産の登記事項証明書等で次の事項を明らかにするもの (イ)売った人が被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を被相続人から相続または遺贈により取得したこと。 (ロ)被相続人居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。 (ハ)被相続人居住用家屋が区分所有建物登記がされている建物でないこと。 ハ 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」 (※)「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の事項(被相続人居住用家屋が従前居住用家屋以外の場合は、(イ)、(ロ)および(ト)に掲げる事項)を確認した旨を記載した書類をいいます (イ)相続の開始の直前(従前居住用家屋の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。 (ロ)被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等が相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。 (ハ)被相続人居住用家屋が、被相続人が要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかったこと。 (ニ)被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなった時から相続の開始の直前まで引き続き被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと。 (ホ)被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなった時から相続の開始の直前まで事業の用、貸付けの用または被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。 (ヘ)被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続の開始の直前までの間において被相続人の居住の用に供する家屋が2以上ある場合には、これらの家屋のうちその老人ホーム等が、被相続人が主として居住の用に供していた一の家屋であること。 (ト)被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数(令和6年1月1日以後に行う譲渡に限ります。) ニ 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し ホ 売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの |
(2)相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をして、被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合 | イ 上記(1)のイ、ロおよびホに掲げる書類 ロ 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」 (※)「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の事項(被相続人居住用家屋が従前居住用家屋以外の場合は、(イ)から(ハ)に掲げる事項)を確認した旨を記載した書類をいいます。 (イ)上記(1)のハの(イ)および(ト)の事項 (ロ)被相続人居住用家屋が相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。 (ハ)被相続人居住用家屋の敷地等が次の要件を満たすこと。 A 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。 B 取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。 (ニ)上記(1)のハの(ハ)から(ヘ)の事項 |
(3)相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用建物の敷地等を売った場合 | イ 上記(1)のイ、ロおよびホに掲げる書類 ロ 売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」 (※)「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の事項(被相続人居住用家屋が従前居住用家屋以外の場合は、(イ)および(ロ)に掲げる事項)を確認した旨を記載した書類をいいます (イ)上記(1)のハの(イ)、(ロ)および(ト)の事項 (ロ)譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの期間内に、被相続人居住用家屋が一定の耐震基準を満たすこととなったまたは被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと。 (ハ)上記(1)のハの(ハ)から(ヘ)の事項 ハ 次のいずれかの書類 (イ)耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し (ロ)登記事項証明書その他の書類で、譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの期間内に被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした旨を証する書類 (※)令和6年1月1日以後に行う譲渡に限ります |
空き家特例の適用を受ける場合の注意点
空き家特例の適用を受ける場合、下記に注意しましょう。
- 納税額がゼロでも確定申告が必要
- 贈与等、相続または遺贈ではない事由による取得は対象外
- 店舗、倉庫などは適用外
空き家特例と併用できる制度
空き家特例は、他の制度との併用が可能です。
ただし、事例ごとに適用できる制度は異なりますので、お近くの税務署または税理までご相談ください。
空き家特例の対象となる不動産、必要な手続きまとめ
当ページでは、相続または遺贈により取得した空き家等を売る際に活用できる「空き家特例」の対象となる不動産と、必要な手続きを解説しました。