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当ページでは、令和5年(2023年)6月に改正、同年12月13日に施行された旅館業法の改正ポイントを解説します。
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
やぎ座のO型。
榊原行政書士事務所 代表を務めるかたわら、日常の疑問・悩みに効く情報を発信しています。趣味は、写真を撮ること、神社巡り。
旅館業法とは
旅館業法は、公衆衛生・国民生活向上の観点から、ホテルや旅館の営業に関する基本ルールをまとめ、昭和23年(1948年)に制定したものです。
この旅館業法は、大前提として、ホテルや旅館の営業者は、明らかにNGとされる「宿泊拒否事由」に該当する場合を除いて、宿泊を拒んではならないとしています。
しかし、近年「迷惑客」が増え、対応困難なことも。
このような現状を踏まえ、令和5年(2023年)6月に旅館業法が改正。今月13日に施行されました。
改正のポイント
改正のポイントは次の2つです。
(2)感染防止対策の充実
(1)カスタマーハラスメントへの対応
次の行為を行う宿泊客は「宿泊拒否事由」にあたるため、ホテル・旅館の営業者は、宿泊を拒否することができるようになりました。
②宿泊しようとする人が、自身の泊まる部屋の上下左右の部屋に宿泊客を入れないよう、繰り返し求める行為
③宿泊しようとする人が、特定の人にのみ自身の応対をさせることや、特定の人を出勤させないことを繰り返し求める行為
④宿泊しようとする人が、土下座など社会的相当性を欠く方法による謝罪を、繰り返し求める行為
⑤泥酔し、他の宿泊者に迷惑をかけるおそれがある宿泊者が、長時間にわたる解放を繰り返し求める行為
⑥対面や電話、メールなどにより、長時間にわたって叱責しながら、不当な要求を繰り返し求める行為
⑦要求する内容に正当性はあるものの、暴力や暴言など、要求方法に問題があるものを繰り返し行う行為
営業者が①から⑦に該当する要求をされ、応じられない場合、「そうした要求には応じられないが、宿泊自体は受け入れます」と説明したうえ、それでもなお同じ要求を求められれば、宿泊を拒むことができます。
ただし、次の場合は「宿泊拒否事由」に該当しません。
②医療的な介助が必要な障害者、車椅子利用者などが宿泊を求めること。
③介護者や身体障害者補助犬の同伴を求める事。
④障害者が傷害を理由とした不当な差別的取扱いを受けたことにつき、謝罪などを求めること。
⑤その場に応じた声の音量調整ができないままスタッフに声をかけるなど、その行為が障害の特性によるものと把握できる場合。
⑥営業者の故意・過失による損害に対し、何かしらの対応を求めること。
(2)感染防止対策の充実
特定感染症が国内で発生している期間に限り、次の取扱いが行われます。
・宿泊者は、正当な理由がない限り、営業者からの協力の求めに応じなければならない。
※ただし、協力の求めに応じないことのみを理由とした宿泊拒否はできません。
特定感染症は、一類・二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症および指定感染症(感染症法の入院などの規定が準用されるものに限ります)のことをいいます。
現在、新型コロナウイルス感染症は「五類感染症」に移行したので、改正旅館業法の対象外です。
旅館業法では、営業者に宿泊を拒否してはならないと規定すると同時に、宿泊者の衛生に必要な措置を講ずる義務も課しています。
営業者がこれらの義務を果たすために、まずは法律を整備することで、営業者から宿泊者に協力を仰ぎやすい体制を整えた形です。
ホテル・旅館に関する相談窓口
もし、ホテル・旅館側から不当な宿泊拒否を受けた場合、または、営業者側が宿泊拒否について悩んだ際は、地方自治体の相談窓口までご相談下さい。
・公益社団法人全国消費生活相談員協会(週末電話相談室)
東京:☎03-5614-0819
大阪:☎06-6203-7650
北海道:☎011-612-7518
改正旅館業法 まとめ
当ページでは、旅館業法の改正ポイントを解説しました。
年末年始に向け、ホテル・旅館を利用する人も増えるかと思います。
この機会に自身のマナーを見直し、より素敵な時間を過ごして下さいね。