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当ページでは、法人決算を自分で行う場合の手続と必要書類、注意点を解説します。
Contents
法人決算とは
法人決算とは、年度末における法人の財政状態と経営成績を算出し、決められた書類にまとめる作業を指します。
(1)法人・個人事業の決算相違点
法人と個人事業の決算について、下記の相違点が見られます。
項目 | 法人 | 個人事業 |
---|---|---|
決算の目的 | 出資者、取引先等への財務報告 確定申告 | 主に確定申告 |
決算期 | 任意 | 12月31日 |
かかる税金 | 法人税、住民税、事業税など | 主に所得税 |
監査の有無 | 必要 (一部法人の場合) | 不要 |
(2)法人決算の時期
法人の場合、下記の決算期に分類されます。
月次決算 | 1か月ごと | 任意 |
四半期決算 | 3か月ごと | 一部義務 |
半期決算 | 6か月ごと | |
年次決算 | 1年ごと | 義務 |
法人決算の目的
法人決算は、下記の目的で行われます。
- 納税額の算出、納付
- 株主等の出資者への成績報告
- 次年度以降の事業計画の指針
1.納税額の算定、納付
法人・個人にかかわらず、事業を運営すると収支が発生します。
こうしたお金の流れについて、事業者は決算により自ら税額を算定し、正しい金額の税金を納める目的があります。
申告納税制度を採用しているのは、申告内容の適正性を国が確認するためなんですね。
2.株主等の出資者への成績報告
法人の多くは、個人・法人等からの出資金をもとに事業を運営しています。
このため、既存の出資者に対して決算内容(業績)を示すことで、運営の透明性・信頼性向上に繋がるほか、他の投資家にとっての判断材料としても機能することになります。
投資家の目的は様々ですが、いずれにしても「信用」がキーポイントになる点は共通項かと思います。
3.次年度以降の事業計画の指針
法人の決算結果は、自社の財務状況や業績評価の場面で役立ちます。
実績をもとにした自社の弱点・業績悪化の原因追求と、これらに対応する解決策を見出すことが大きな目的の1つです。
また、成長が期待できる分野の特定は資産の適正利用に繋がり、結果的に法人全体の方向性が明確化するメリットもあります。
法人決算の流れ
法人決算は、下記の流れにて行います。
- 決算書の作成、株主総会に提出
- 法人税等の申告
- 各種税金の納税額が決定・納税
1.決算書の作成、株主総会に提出
決算書は、下記の流れで作成します。
当期の記帳確定 試算表・明細表作成 | 「試算表」「明細表」を作成し、個別の勘定科目に誤りがないかを確認 |
棚卸・決算残高確認 | 棚卸により在庫を確認 帳簿と実際の残高、固定資産等の状況を確認 ※必要に応じ修正仕訳 |
決算整理仕訳 | 最終的に必要な修正仕訳を実施 |
決算書の作成 | 計算書、その他書類を作成 |
1-1.棚卸とは
棚卸とは、決算期の在庫量を実際にカウントし、在庫分の金額を算出する作業をいいます。
棚卸により、仕入時に「仕入高」として経費計上した金額から、実際には売られていない在庫分を差し引き、自社の資産として次の事業年度に繰り越すことになります。
帳簿と在庫量が合わない等の事情を明らかにする目的もあります。
1-2.決算整理仕訳の内容
決算整理仕訳では、下記の作業を行います。
- 未払費用・未収金の計上
- 前払費用・前受金の振替、繰延
- 固定資産の減価償却
- 貸倒引当金の計上
- 売上原価の計算
- 有価証券の評価替えなど
1-3.決算書の内容
決算書は、主に下記で構成されます。
- 貸借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 事業報告書
- 計算書類の附属明細書
- 事業報告の附属明細書など
上記の他、キャッシュフロー計算書・有価証券報告書等の作成義務が課されている企業もあります。
1-4.株主総会への提出
作成した計算書類について、株主総会にて承認を受ける必要があります。
設置機関の有無により、承認不要な場合もあります。
2.法人税等の申告
決算書をもとに、下記の申告書類を作成しましょう。
- 法人税
- 消費税
- 法人事業税
- 地方税(法人県民税・法人市民税等)
法人の確定申告期限は、決算日の翌日から2か月以内です。
3.各種税金の金額決定・納税
確定申告後、各税の金額が確定するので、納税します。
3-1.納税方法
納税方法は、下記から選べます。
納付方法 | 注意点 |
---|---|
インターネットバンキング (Pay-easy) | 金融機関により、インターネットバンキングの月額料金が発生 |
ダイレクト (ワンストップ) | e-Taxの利用登録等、事前の準備が必要 |
クレジットカード | 100万円以上の納付はできない 決済手数料がかかる |
スマホアプリ | 30万円を超える場合と残高が不足する場合は納付できない |
コンビニ | 30万円を超える納付はできない |
窓口(現金) | 各機関の営業時間に要注意 |
法人決算・納付についての注意点
法人決算・納付を行う場合、下記に注意しましょう。
- 中間申告が必要な場合がある
- 赤字でも確定申告は必要
- 申告期限を過ぎると罰則対象になる
1.中間申告が必要な場合がある
中間申告とは、本来は確定申告後に行う法人税の納付について、その一部を先に納付する制度を指します。
中間申告における税額は、前年度の事業実績・仮決算等から概算額であり、当期の法人税確定後に過不足を精算することになります。
1-1.対象となる法人
中間申告の対象は、前事業年度の法人税額が20万円を超える法人です。
このため、前事業年度が存在しない設立年度については対象外となります。
1-2.中間申告時の計算方法
中間申告時の納付額を算出するには、下記のいずれかの方式を選択することになります。
区分 | 計算方法 |
---|---|
予定申告方式 | 前事業年度の法人税額から中間納付額を算出 法人税の中間納付額=前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6 |
仮決算申告方式 | 事業年度開始から6ヶ月間の仮決算にもとづ中間納付額を算出 |
1-3.中間納付の期日
法人税の中間申告は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に行う必要があります。
1-4.法人税の中間申告を怠った場合の罰則
法人税の中間申告を怠った場合、罰則規定はありません。
ただし、期限までに中間申告が行われない場合には、予定申告方式での申告とみなされ、税務署から納付書等が送付されます。
確定申告時の無申告加算税との適用はありませんが、仮決算方式を希望する場合には変更ができない点に注意しましょう。
2.赤字でも確定申告は必要
法人の場合、課税所得に法人税率をかけて法人税額を算出するため、課税所得がゼロなら法人税はかかりません。
ただ、この場合でも確定申告は必要です。
3.申告期限を過ぎると罰則対象になる
法人税の申告・納付について、期限内に行わなかった場合には、延滞税等が発生します。
また、法人税法に定められた罰則規定に該当する行為があると、違反内容に応じた処分が課されます。
区分 | 要件 | 課税割合 | 軽減要件 |
---|---|---|---|
過少申告加算税 | 期限内に申告したものの、修正・更正が必要な場合 | 10%または15% | 正当な理由がある場合 |
無申告加算税 | 期限後に申告、決定があった場合 | 15%または20% | |
不納付加算税 | 国税について、期限後に納付、納税の告知があった場合 | 10% | |
重加算税 | 仮装・隠ぺいがあった場合 | 35%または40% | ー |
法人決算の流れ、必要書類 まとめ
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