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当ページでは、ホテル・民宿等を経営する際に必要な旅館業許可の取得方法、注意点を解説します。
Contents
旅館業とは
旅館業とは、施設を設け、宿泊料をもらって、人を宿泊させる営業を指します(旅館業法 第2条)
宿泊とは、寝具を使用して施設を利用することと定義されています(旅館業法 第2条第5項)
旅館業法の営業許可が必要な場合
下記のいずれかに当てはまる場合、旅館業法が適用されるため、営業するには許可を取得しなければなりません(旅館業法 第3条第1項)
- 宿泊料をもらう
- 社会性がある
- 継続反復性がある
- 生活の本拠ではない
1. 宿泊料をもらう
宿泊料とは、メニュー等に記載される名称にかかわらず、下記に該当するものを指します。
- 休憩料
- 寝具賃貸料
- 寝具等のクリーニング代
- 水道光熱費
- 室内清掃費 など
ただし、「食費」「テレビ使用料」等といった宿泊と無関係なサービスを提供し、対価として相当な金額のみを受け取る場合は旅館業には該当しません。
逆にいえば、「食事代」「備品レンタル料」等の名目で受け取った金額・内容が宿泊料だと判断できるものなら、旅館業に該当し、営業許可が必要となるわけですね。
2. 社会性がある
社会性とは、一般的に見て、個人が生活するうえでの行為を上回るものをいいます。
例えば、友人や知人を自宅に泊めるのは個人の範囲ですが、インターネット等で拡散し、不特定多数の人に募集をかけたうえで、繰り返し宿泊刺せる場合は旅館業になります。
3. 継続反復性がある
継続反復性とは、簡単に言えば1度や2度だけで終わらないことを指します。
自治体などが開催する年に1度のイベント時、会場周辺の宿泊施設が足りないことを理由に「2~3日程度、お宅を提供してほしい」と頼み込まれて提供したような場合は、旅館業とはいえません。
善意から出る行為ですし、相手は地方自治体で「公共」の申し子みたいな存在ですからね。
週末営業、季節営業など、期間を限定した営業であっても、宿泊料をもらって人を宿泊させるという項が反復継続されるのなら、満場一致で旅館業です。
4. 生活の本拠ではない
使用期間が1か月未満、または1か月以上の期間を設定していたとしても、部屋の清掃や寝具等の提供を行う場合には、旅館業に該当します。
1日や1週間単位で貸し出すウィークリーマンションや民泊は、生活の本拠(≒自宅)にはあたらないので、旅館業扱いとなりますから、営業許可が必要です。
旅館業の種類
旅館業は、下記に分類されます。
- 旅館・ホテル業
- 簡易宿所営業
- 下宿営業
1. 旅館・ホテル業
旅館・ホテル業とは、施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を指し、簡易宿所営業および下宿営業以外を指します(旅館業法 第2条第2項)
一般的な旅館やホテルは、ほぼこれに当てはまります🏨
2. 簡易宿所営業
簡易宿所営業とは、宿泊場所を多数人で共用する構造および設備を主とする施設を設け、宿泊料をもらって、宿泊させる営業をいい、下宿営業以外を指します(旅館業法 第2条第3項)
民宿(民泊)をイメージして下さい✨
3. 下宿営業
下宿営業とは、施設を設け、1か月以上の期間を単位とする宿泊料をもらい、人を宿泊させる営業を指します。
長期にわたり、食事や寝具を提供して宿泊させるものですが、マンスリーマンション、アパートの間貸し等は「賃室業」という別制度の対象となります。
旅館業許可とは
旅館業許可とは、旅館業に該当する営業を行う場合に、営業予定地を管轄する都道府県知事から受けるべき許可を指します。
旅館業許可取得までの流れ
旅館業許可申請は、下記の流れで行います。
- 事前相談
- 申請手続
- 相談
- 施設の検査
- 許可
1. 事前相談
営業予定地を管轄する保健所に平面図等を持参し、事前相談を行います。
2. 申請手続き
事前相談にて教示された内容に従い、構造設備を整え、書類を取得・作成し、許可申請を行います。
(1) 必要な書類
旅館業許可申請には、下記の書類が必要です。
- 旅館業営業許可申請書
- 申告書
- 見取り図
- 配置図、各階平面図、正面図、側面図
- 配管図
- 定款または寄附行為の写し(法人の場合)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 申請手数料
3. 相談
施設工事が完了したら、建築基準法に基づく検査済証の写しを提出します。
この他、消防法による通知書の交付や、防災訓練の実施を求められるケースもありますので、関係機関に適宜相談をしていきます。
4. 施設検査
施設完成後、保健所の職員が検査のために訪れます。
建築基準法により発行される検査済証と照らし合わせながら進んでいきます。
5. 許可
書類審査、検査に問題がなければ、保健所長の許可が下ります。
許可取得後に必要な手続き
営業許可がおり、無事に営業を開始した後に必要な手続もあります。
名称、所在地、法人の場合は代表や役員、施設の増改築などなどの変更が生じた場合に、変更内容に応じた届出をしてください。
旅館業許可を取得するために必要なもの
旅館業許可を取得するには、下記の要件を満たす必要があります。
1. 設備要件
旅館業の営業には、都道府県知事の許可を受け、旅館業法施行令で定められている構造設備基準に従わなければなりません。
また、運営についても衛生基準がありますので、こちらも遵守してください。
2. 欠格要件
申請者が下記に該当する場合、申請を受け付けられません(旅館業法 第3条第2項各号)
- 心身の故障により旅館業を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
-
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
-
禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくはこの法律に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して三年を経過していない者
-
第八条の規定により許可を取り消され、取消しの日から起算して三年を経過していない者
-
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から起算して五年を経過しない者(第八号において「暴力団員等」という。)
-
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。)が前各号のいずれかに該当するもの
-
法人であつて、その業務を行う役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
-
暴力団員等がその事業活動を支配する者
3. 設置場所要件
営業予定地の敷地周囲、概ね100mの区域内に下記の施設がある場合、当該施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認められる場合、許可を取得することはできません。
- 学校教育法に規定する学校および幼保連携型認定こども園
- 児童福祉法に規定する児童福祉施設
- 社会教育法に規定する社会教育に関する施設その他の施設で、都道府県の条例で定めるもの
構造設備要件
上記のほか、構造設備要件も問われます。
各自治体により確認項目は異なるのが一般的ですが、下記は共通して確認されますので注意しましょう。
- 客室数
- 客室の床面積
- 出入り口や窓の施錠設備の有無
- 客室同士を区画する設備
- 採光設備・有効面積
また、寝具の数や様式(和式、様式など)、収納設備や、フロント面積、防湿・排水設備、浴室や洗面所、調理場に至るまで、細かく規定されているため、事前に確認しましょう。
旅館業法違反の罰則
旅館業法に違反した場合、6か月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科となる可能性があります。
旅館業許可の要件、注意点まとめ
当ページでは、旅館業許可の要件と注意点を解説しました。