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当ページでは、化粧品を製造・販売する際に必要な「化粧品製造販売業許可」の要件、注意点を解説します。
Contents
- 筆者プロフィール
- 化粧品の製造・販売には許可が必要
- 化粧品とは
- 化粧品について表記可能な効果の範囲
- 化粧品を販売する際に必要な許可・届出
- (1)自社で製造、販売を行う場合
- (2)他社に製造を委託し、自社で販売する場合
- (3)海外で製造された化粧品を輸入販売する場合
- (4)他社が製造した化粧品を自社で販売
- 化粧品の製造・販売に関する許可・届出
- 3.化粧品製造販売届
- 4.化粧品外国製造販売業者届、化粧品外国製造業者届
- 化粧品製造販売業許可の申請要件
- 1.役員の設置
- 2.欠格事由に該当しないこと
- 3.GQP省令の遵守
- 4.GVP省令の遵守
- 化粧品製造業許可の取得要件
- 1.責任技術者の設置
- 2.欠格事由に該当しないこと
- 3.構造設備の基準を満たすこと
- 化粧品の製造・販売に必要な許可、要件まとめ
筆者プロフィール
化粧品の製造・販売には許可が必要
化粧品を製造・販売するには、都道府県知事による許可が必要です。
化粧品とは
化粧品について、医薬品医療機器法上では「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なもの」をいいます(引用:医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条第3項より)
端的にいえば、下記の通りです。
目的 | (1)清潔にする (2)美化する (3)魅力を増す (4)容貌を変える (5)皮膚、毛髪を健やかに保つ |
使用方法 | (1)塗擦 (2)散布 (3)上記に似た方法 |
作用 | 人体に対する作用が緩和なもの |
化粧品について表記可能な効果の範囲
医薬品、医療機器の品質、有効性及び案脆性の確保等に関する法律(略称「薬機法」)において、化粧品に関する効能のうち、下記を表記することが認められています。
- 頭皮、毛髪を清浄にする
- 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
- 頭皮、毛髪をすこやかに保つ
- 毛髪にはり、こしを与える
- 頭皮、毛髪にうるおいを与える
- 頭皮、毛髪のうるおいを保つ
- 毛髪をしなやかにする
- クシどおりをよくする
- 毛髪のつやを保つ
- 毛髪につやを与える
- フケ、カユミがとれる
- フケ、カユミを抑える
- 毛髪の水分、油分を補い保つ
- 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
- 髪型を整え、保持する
- 毛髪の帯電を防止する
- (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする
- (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)
- 肌を整える
- 肌のキメを調える
- 皮膚をすこやかに保つ
- 肌荒れを防ぐ
- 肌をひきしめる
- 肌にうるおいを与える
- 皮膚の水分、油分を補い保つ
- 皮膚の柔軟性を保つ
- 皮膚を保護する
- 皮膚の乾燥を防ぐ
- 肌をやわらげる
- 肌にはりを与える
- 肌にツヤを与える
- 肌を滑らかにする
- ひげを剃りやすくする
- ひげそり後の肌を調える
- あせもを防ぐ(打粉)
- 日焼けを防ぐ
- 日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ
- 芳香を与える
- 爪を保護する
- 爪をすこやかに保つ
- 爪にうるおいを与える
- 口唇の荒れを防ぐ
- 口唇のキメを調える
- 口唇にうるおいを与える
- 口唇をすこやかにする
- 口唇を保護する、口唇の乾燥を防ぐ
- 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ
- 口唇を滑らかにする
- ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯石を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 口中を浄化する(歯みがき類)
- 口臭を防ぐ(歯みがき類)
- 歯のやにをとる(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
- 乾燥による小じわを目立たなくする
上記を上回る効能、目的をもつものは、化粧品ではなく「医薬品」「医薬部外品」として扱われる場合があります。
化粧品を販売する際に必要な許可・届出
化粧品の販売に必要な許可・届出は、事例により異なります。
(1)自社で製造、販売を行う場合
製造から販売までを自社で行う場合、次の許可、届出が必要です。
- 化粧品製造販売業許可
- 化粧品製造業許可(1号区分)
- 化粧品製造販売届
(2)他社に製造を委託し、自社で販売する場合
他社に製造を依頼した化粧品を自社で販売する場合、下記の許可・届出が必要です。
- 化粧品製造販売業許可
- 化粧品製造販売届
(3)海外で製造された化粧品を輸入販売する場合
海外工場で製造された化粧品を輸入販売する場合、下記の許可・届出が必要です。
- 化粧品製造販売業許可
- 化粧品製造業許可(2号区分)
- 化粧品製造販売届
- 化粧品外国製造販売業者届または化粧品外国製造業者届
輸入品をそのまま販売する場合は「化粧品外国製造販売業者届」
日本語表記のラベル等を貼付して販売する場合は「化粧品外国製造業者届」を行う必要があります。
(4)他社が製造した化粧品を自社で販売
他社が国内工場にて製造した化粧品を小売する場合、令和6年(2024年)4月時点において、許可・届出は必要ありません。
化粧品の製造・販売に関する許可・届出
化粧品の製造・販売を行う際に必要な許可・届出は下記の通りです。
- 化粧品製造販売業許可
- 化粧品製造業許可
- 化粧品製造販売届
- 化粧品外国製造販売業者届。化粧品外国製造業者届
1.化粧品製造販売業許可
化粧品製造販売業許可とは、自社の名前で化粧品を販売(出荷)する場合に取得が必要な許可です。
2.化粧品製造業許可
化粧品製造業許可とは、化粧品を製造する場合に取得が必要な許可で、下記に分類されます。
区分 | 内容 |
---|---|
1号区分 | 化粧品の製造工程の全部または一部を行うもの (※2号区分に掲げるものは除く) |
2号区分 | 化粧品の製造工程のうち、包装、表示、保管のみを行うもの |
製造とは一般的に、原料を加工して製品にする行程を指しますが、薬機法においては「包装」「表示」「保管」も製造工程の一部に含まれます。
そのため、原料を秤量・混合する行程だけでなく、容器への充塡、表示、包装、完成品を出荷するまでの保管についても、化粧品製造業許可の取得が必要な点に注意しましょう。
3.化粧品製造販売届
化粧品を製造販売する場合、化粧品の品目に対応する届出が必要です。
医薬品、医薬部外品のような「承認」を受ける必要はありません。
4.化粧品外国製造販売業者届、化粧品外国製造業者届
海外で製造された化粧品を輸入販売する場合、販売方法に応じ、下記の届出が必要です。
- 輸入時のまま販売:化粧品外国製造販売業者届
- 日本語表記のラベル等を貼付:化粧品外国製造業者届
化粧品製造販売業許可の申請要件
化粧品製造販売業許可申請を行うには、下記を満たす必要があります。
- 役員の設置
- 欠格事由に該当しないこと
- GQP省令の遵守
- GVP省令の遵守
1.役員の設置
化粧品製造販売業許可を取得するには、下記の役員を設置する必要があります。
- 総括製造販売責任者
- 品質保証責任者
- 安全管理責任者
1-1.総括製造販売責任者の要件
総括製造販売責任者には、下記を満たす人を選任する必要があります。
- 薬剤師
- 大学等で薬学・科学に関する専門課程を修了した人
- 高校等で薬学・科学に関する専門課程を修了し、化粧品(または部外品・医薬品)の品質管理、安全管理の業務に3年以上従事したことがある人
- 上記1から3と同程度の知識経験があると厚生労働大臣が認めた人
2.欠格事由に該当しないこと
化粧品製造販売業許可を取得するには、下記に該当しないことが求められます。
- 薬機法に基づく「許可の取消し」を受け、取消しの日から3年を経過しないもの
- 禁錮以上の刑を受け、執行の終了、執行猶予期間の終了から3年を経過しないもの
- 薬事に関する法令、処分に違反し、違反行為の日から2年を経過しないもの
- 麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者
- 心身の障害により、医薬部外品製造業者として必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えないもの
3.GQP省令の遵守
GQPとは、Good Quality Practiceの略で、製造業者に定められる一定の基準を指します。
具体的には、下記の項目を満たす必要があります。
- 十分な人員の確保
- 総括製造販売責任者の責任
- 品質保証責任者の設置
- 品質保証責任者の責任
- 品質管理業務手順書の作成
- 品質管理業務の実施
- 文書、記録の保管
3-1.十分な人員の確保
十分な人員とは、業務内容と実務経験、教育訓練等を照らし合わせ、品質管理業務を適正かつ円滑に遂行できる人員を確保することを指します。
3-2.総括製造販売責任者の責任
総括製造販売責任者には、下記の責任が課されます。
- 品質保証責任者の監督、意見の尊重
- 品質保証責任者の報告に対し、必要な措置を決定、実施の指示
- 品質保証責任者、安全管理責任者等と密接に連携すること
3-3.品質保証責任者の設置
化粧品の品質保証管理を専門とする部門責任者として、品質保証責任者を設置する必要があります。
品質保証責任者は、化粧品の販売担当部門等から独立していなければなりません。
3-4.品質保証責任者の責任
品質保証責任者には、下記の責任を課されます。
- 品質管理業務の統括
- 品質管理業務が適性かつ円滑に行われていることの確認
- 必要に応じ、総括製造販売責任者に文書にて報告する
- 必要に応じ、製造業者等の関係者に対し、文書にて連絡・指示を行う
3-5.品質管理業務手順書の作成
品質管理業務手順書とは、下記を記載するマニュアルを指し、総括製造販売責任者が業務を行う事務所に備付けること、品質管理を行う他の事務所等には写しを備え付ける義務を負います。
- 市場への出荷管理
- 適正な品質、製造管理の確保
- 品質等に関する情報、不良品の処理
- 回収処理
- 文書、記録管理
- その他品質管理業務を実施するために必要な事項
3-6.品質管理業務の実施
3-5.で定める品質管理業務手順書に基づき、下記の業務を行う必要があります。
- 市場への出荷に関する記録作成
- 適正かつ円滑に製造されたことを確認し、記録を作成
- 品質情報の処理、記録の作成
- 安全管理責任者に対し、文書にて連絡
- 回収等の措置、記録の作成
3-7.文書、記録の保管
文書を作成、改訂した場合、品質管理業務手順書に基づき、承認、配布、保存を行い、5年間保存しましょう。
4.GVP省令の遵守
GVPとは、Good Vigilance Practiceの略で、下記の製造販売後の安全管理に関する基準を指します。
- 十分な人員確保
- 総括製造販売責任者の責任
- 安全管理責任者の設置
- 安全管理責任者の責任
- 安全管理業務の実施
- 文書、記録の管理
4-1.十分な人員確保
十分な人員とは、業務内容、実務経験、教育訓練等を照らし、安全確保に関する業務を適正かつ円滑に遂行できる人員の確保を指します。
4-2.総括製造販売責任者の責任
総括製造販売責任者は、下記の責任を負います。
- 安全管理責任者の監督、意見の尊重
- 安全管理責任者、品質保証責任者との密接な連携
4-3.安全管理責任者の設置
安全確保業務の責任者として、安全管理責任者を設置します。
安全管理責任者は、化粧品の販売部門等から独立していなければなりません。
4-4.安全管理責任者の責任
安全管理責任者は、下記の責任を負います。
- 安全確保業務の統括
- 安全確保業務が適正かつ円滑に行われていることの確認、記録の作成、保存
- 必要に応じ、総括製造販売責任者に文書にて報告、写しを保存
4-5.安全管理業務の実施
製品の安全確保を目的とし、下記の業務を行いましょう。
- 安全管理情報の収集
- 安全管理情報の検討
- 安全確保措置の立案
- 安全確保措置の実施
4-6.文書、記録の管理
当該省令により保存が義務づけられている文書、記録について、利用を終えた日から5年間保存しなければなりません。
ただし、生物由来製品に関する記録は10年間、特定生物由来製品に関する記録は30年間保存する必要があります。
化粧品製造業許可の取得要件
化粧品製造業許可を取得するには、下記を満たす必要があります。
- 責任技術者の設置
- 欠格事由に該当しないこと
- 構造設備の基準を満たすこと
1.責任技術者の設置
化粧品製造業許可を取得するには、下記を満たす責任技術者を設置する必要があります。
- 薬剤師
- 大学等で薬学・科学に関する専門課程を修了した人
- 高校等で薬学・科学に関する専門課程を修了し、化粧品(または部外品・医薬品)の製造に関する業務に3年以上の従事実績のある人
- 上記1から3と同程度の知識経験があると厚生労働大臣が認めた人
2.欠格事由に該当しないこと
化粧品製造業許可を取得するには、申請者が下記に該当しないことが求められます。
- 薬剤師
- 大学等で薬学・科学に関する専門課程を修了した人
- 高校等で薬学・科学に関する専門課程を修了し、化粧品(または部外品・医薬品)の品質管理、安全管理の業務に3年以上従事したことがある人
- 上記1から3と同程度の知識経験があると厚生労働大臣が認めた人
3.構造設備の基準を満たすこと
化粧品製造業許可を取得するには、申請区分に応じ、製造所が下記の基準を満たしていることが求められます。
- 薬局等構造設備規則第13条(一般区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)
- 薬局等構造設備規則第13条の2(包装等区分の化粧品製造業者の製造所の構造設備)
上記のうち、いずれを選択するかにより、満たすべき要件が大きく異なる点に注意しましょう。
3-1.1号区分「薬局等構造設備規則第13条」
1号区分を選択した場合の構造設備要件として掲げられる「薬局等構造設備規則第13条」は下記の通りです。
- 製品を製造するのに必要な設備、器具を備えていること
- 作業所は、次に定めるところに適合するものであること
(1)換気が適切、かつ、清潔
(2)常時居住する場所、不潔な場所から明確に区分されている
(3)作業を行うのに支障ない面積があること
(4)防塵、防虫、防そのための構造、設備があること
(5)床は板張り、コンクリート、これらに準ずるものであること
(6)廃水、廃棄物の処理に必要な設備、器具があること - 製品、原料、資材を衛生的、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備があること
- 製品等、資材の試験検査に必要な設備、器具があること
ただし、当該製造業者の他の試験検査設備、他の試験検査機関を利用し、自己責任において試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときは必要ない
3-2.2号区分「薬局等構造設備規則第13条の2」
2号区分を選択した際の構造設備要件となる「薬局等構造設備規則第13条の2」の内容は下記の通りです。
- 製造品等、資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造設備があること
- 作業を適切に行うのに支障のない面積があること
- 製品等、資材の試験検査に必要な設備、器具があること
ただし、当該医薬品製造業者等の他の試験検査設備、他の機関を利用し、自己責任において当該試験検査を行う場合で、支障がないと認められるときには必要ない
化粧品製造業許可は、場所ごとに取得が必要な点に注意しましょう。
化粧品の製造・販売に必要な許可、要件まとめ
当ページでは、化粧品の製造販売に必要な「化粧品製造販売業許可」等の要件、注意点を解説しました。