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相続人が一人っ子の場合に注意すべきポイントを解説

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当ページでは、相続人が一人っ子の場合に注意すべきポイントを解説します。

一人っ子と兄弟姉妹がいる場合の違い

一人っ子と兄弟姉妹がいる場合では、下記の点で異なります。

1.相続税の基礎控除額

相続税の基礎控除額を算出するには、次の式を用います。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数

法定相続人の数が多いほど基礎控除額は大きく、少ないほど小さくなる特徴があり、一人っ子の場合は最小値の3,600万円になります。

要するに、相続税を負担する確率が高いわけです。

2.遺産分割協議の要否

相続人が複数いる場合、相続人全員で話し合い、遺産の分割方法等について決定します。

この点、一人っ子の場合は話し合いが不要なため、遺産の処分方法等を自由に決定できる点で異なります。

逆にいえば、1人で様々な選択をし、手続きを行わなければならないということでもあります。

一人っ子の相続手続

相続人がお子さん1人の場合、下記の流れで手続きを進めましょう。

  1. 相続人の確定
  2. 遺言書の調査・検認
  3. 相続財産調査
  4. 名義変更・解約等の手続き

1.相続人の確定

相続開始後、被相続人の相続人を確定させる必要があります。

自分では一人っ子だと思っていても、被相続人に婚外子・養子がいる可能性もあります。

他に子が見つかった場合、その子と共に相続手続を進めることになるため、はじめに戸籍書類を取得して確認しましょう。

他の相続人がいるにもかかわらず、自分だけで相続手続を進めてしまうと後に大きなトラブルに発展する可能性があるため、大変でも、きちんと調べることをオススメします。

2.遺言書の調査・検認

被相続人が残した遺言書の有無、ある場合にはその内容を確認しましょう。

2-1.遺言書の種類

遺言書は、様式により下記に分類されます。

種類作成方法
自筆証書遺言書遺言者が手書きで作成
公正証書遺言書遺言者が口授した内容にて公証人が作成
秘密証書遺言書遺言者が作成し、封印したものを公証人が記録

2-2.調査方法

遺言書の種類に応じ、下記の場所を調査しましょう。

種類調査場所
自筆証書遺言書自宅保管自宅・貸金庫など
遺言者の生活導線内
法務局保管
自筆証書遺言書保管制度を利用している場合)
全国の法務局
公正証書遺言書全国の公証役場
秘密証書遺言書自筆証書遺言書と同様

自筆証書遺言書は、作成者自身で保管する方法と、法務局が提供する「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法とに分けられます。

後者を利用している場合、遺言者の死亡後、相続人等が法務局に問い合わせることで存否を明らかにできます。

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2-3.検認手続き

遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在・内容を知らせ、遺言書の偽造・変造を防止するためにとられる手続きを指します。

「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

(引用元:遺言書の検認|裁判所ホームページより)

遺言書の効力を確認するものではなく、発見された遺言書が偽造変造されたものでないことを確認する目的で行われ、「検認済証明書」を発行することができます。

検認が必要な遺言書について、この証明書を添付しなければ相続手続を進めることができない点に注意しましょう。

種類検認手続き
自筆証書遺言書自宅必要
法務局不要
公正証書遺言書
秘密証書遺言書必要

民法上、遺言書の検認手続きを経ず封した場合や、遺言を執行した場合について、5万円以下の過料に処す旨が定められています(民法第1005条|e-Gov法令検索

3.相続財産調査

相続財産の調査は、相続税の申告・納付、適切な財産管理を目的に行います。

被相続人に債務(借金等)がある場合、相続放棄・限定承認を選択できますが、これらの手続きには期限があるため、速やかに着手する必要があります。

3-1.調査対象

下記は、相続財産に含まれる財産の例です。

  1. 現金
  2. 預貯金
  3. 不動産
  4. 株式等の有価証券
  5. 知的財産権
  6. 自動車・バイク等
  7. 家財道具
  8. 貸金、売掛金等の債権
  9. 借金、買掛金等の債務

3-2.相続財産に含まれないもの

下記の場合、被相続人のものであっても相続人が承継することはできない点に注意しましょう。

  1. 仏壇仏具、墓地等の祭祀財産
  2. 被相続人にかけられていた死亡保険金
  3. 弔慰金
  4. 年金、生活保護等の受給権 など

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4.名義変更・解約等の手続き

相続財産が確定し、必要書類がそろったら、名義変更または解約手続きを行います。

4-1.預貯金・有価証券

預貯金・有価証券等の解約・変更手続きは下記の流れで行います。

  1. 金融機関・証券会社に連絡
  2. 残高証明書の発行、照会請求
  3. 相続手続依頼書を作成
  4. 3に必要書類を添付し提出
  5. 相続人が同行に口座開設(預貯金口座を解約する場合には不要)

4-2.不動産

遺産に不動産が含まれる場合、売却するつもりでも1度相続人名義に変更する必要があります。

手続先不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
費用
(登録免許税)
不動産固定資産評価税×0.4%
必要なもの1.登記申請書
2.被相続人の出生から死亡まで連続する戸籍(除籍、原戸籍)謄本
3.相続人の戸籍謄本
4.印鑑登録証明書
5.遺言書(ある場合)など

4-3.その他

上記の他、自動車やバイク等の車両、加入する損害保険等に関する手続きも必要です。

スマートフォンの解約は、全ての手続きを終えてからがオススメです(参考記事:デジタル遺品の生前整理、相続手続を解説

一人っ子が相続する場合の相続税対策

相続人が一人っ子の場合、相続税が高額化する可能性があります。

そのため、相続開始前に節税対策を講じておくと安心です。

下記に一般的な節税対策の例を挙げますので、ご自身が対象となるかどうか確認しましょう。

概要注意点
生前贈与生存している個人から別の人に無償で財産を渡す・死亡前の生前贈与について相続税が課税される可能性がある
・定期贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性がある
生命保険金の基礎控除枠死亡保険金の額から
「500万円×法定相続人の数」
を控除できる
・契約関係によりかかる税金が異なる
養子縁組血縁関係にかかわらず親子関係を生じさせる・親族間でもめる可能性あり
・実子の有無で活用できる控除額に変動あり
小規模宅地の特例最大80%相続税評価額を抑えられる・相続時精算課税制度を利用して贈与した土地は対象外
墓地等の生前購入生前に祭祀財産に含まれる財産を購入・死後の管理方法等を確認する
貸与債権の整理被相続人から会社にお金を貸している場合
(1)生前に返済する
(2)貸付金債権を贈与
(3)放棄する等
の選択をとる
・生前に行う必要がある
教育資金贈与信託信託銀行等に子・孫の教育資金を信託することで1,500万円まで贈与税が非課税に・手続きに手間を要する
・教育資金としての要件が厳しい
・子・孫が30歳になるまでに使い切れない部分に贈与税がかかる
相続時精算課税制度贈与時2,500万円まで非課税・相続時に課税されるため、節税効果は薄い
死亡退職金の非課税枠「500万円×法定相続人の数」まで非課税・死亡から3年以内に支給が確定しているものは課税対象

相続人が一人っ子の場合に注意すべきポイントまとめ

当ページでは、相続人が一人っ子の場合に注意すべきポイントを解説しました。

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カテゴリー: 相続・相続税


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