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当ページでは、被相続人が契約していた貸金庫の相続手続の流れと、必要な手続を解説します。
Contents
相続財産に貸金庫がある場合
相続財産の中に貸金庫がある場合、下記の手続が必要です。
- 金融機関に予約
- 必要書類を取得・作成
- 貸金庫の開扉
- 解約手続
1. 金融機関に予約
貸金庫の開扉には、原則、相続人の立会いを求められます。
代表者と立会人の2人を求められる場合と、相続人全員の立会が必要な場合があります。
金融機関の営業時間内から選ばなければならず、相続人全員が揃うのは厳しい場合もあります。
どうしても同席できない相続人がいる場合、代替手続をとることで開扉できる金融機関もあるため、早めに確認しましょう。
2. 必要書類を取得・作成
予約時において、金融機関から貸金庫の開扉・解約に必要な書類、手続を説明されるため、当日までに準備しましょう。
書類に不備がある場合、予約日であっても開扉を断られることもあるため、確認しながら進めると安心です。
- 死亡人の戸籍謄本(除籍謄本)
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
- 金融機関指定の開扉(開庫)申請書等
- 貸金庫のカードキーまたは鍵
- 貸金庫契約時に使用した印鑑など
金融機関により開錠方法が異なる点に注意が必要です。
鍵を紛失している場合、別途費用を請求されるほか、追加書類を求められることもあります。
3. 貸金庫の開扉
予約当日、書類等に不備がないことが確認できると、相続人立会いのもと、貸金庫の開扉が行われます。
一般的に、立会人情報や貸金庫の内容を金融機関が記録し、立会人が控えを受け取ります。
この控えは、どこかに提出する性質ものではないものの、後のトラブル防止のため、大切に保管しましょう。
4. 解約手続
貸金庫の中身を確認後、解約手続または名義変更手続を行います。
このとき、相続開始から開扉までの期間に発生した利用料金を精算することになります。
下記は、貸金庫の利用料金の目安です。
区別 | 利用料金 (年間) |
---|---|
大型金庫 | 4万円 |
中型金庫 | 2万円 |
小型金庫 | 1.5万円 |
貸金庫の相続手続を行う際の注意点
被相続人が利用していた貸金庫の相続手続について、下記に注意しましょう。
- 貸金庫の開扉を最優先に
- 貸金庫のある支店に足を運ぶ必要がある
- 相続人の立会いが必須
1. 貸金庫の開扉を最優先に
貸金庫に限らず、相続手続を進めるには、全ての遺産を特定する必要があります。
貸金庫の中身を確認しないことには他の手続を行うことができず、さまざまな手続の期限を徒過するリスクが生じます。
特に、相続放棄または限定承認を検討している場合には、相続開始から3か月以内に手続を行わなければならないため、早期に開扉し、中身を確認しなければなりません。
金融機関によりますが、手続に1か月以上の期間を要するところもありますので、早めが吉です。
2. 貸金庫のある支店に足を運ぶ必要がある
預貯金等の場合、同じ金融機関であれば支店を問わず手続をとることができます。
しかし、貸金庫の場合には、当該金庫のある支店まで足を運ぶ必要がある点に注意が必要です。
相続人が遠方にお住まいの場合、共同相続人の一部、または士業者等の代理権限をもつ専門家に依頼する方法を検討しましょう。
3. 相続人の立会が必須
原則、貸金庫の開扉には、相続人全員の立会いが必要です。
このため、早期に相続人を特定し、各相続人と日程調整をしなくてはなりません。
貸金庫の中身別 必要な手続
下記のように、貸金庫の中身により必要な手続が異なります。
1. 遺言書
貸金庫に遺言書が保管されていた場合、その様式により必要な手続が異なります。
区分 | 必要な手続 | |
---|---|---|
公正証書遺言書 | 特別な手続は不要 | |
自筆証書遺言書 | 被相続人が保管していた場合 | 家庭裁判所において、検認手続が必要 |
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合 | 特別な手続は不要 |
2. 預金通帳
被相続人名義の預貯金通帳が保管されていた場合、金融機関名と支店、内容を確認しましょう。
当該金融機関の相続窓口へ連絡すると、必要書類等を案内されますので、これに従い、手続を行うことができます。
遺言書がなければ、
1.残高証明書の発行依頼(この時点で口座は凍結)
2.相続人全員による遺産分割協議
3.遺産分割協議書の作成
4.被相続人の口座について、解約または名義変更手続
の流れで手続を行います。
3. 不動産関連の書類
不動産に関する書類が保管されていた場合、当該書面に記載された情報をもとに最新の情報を確認しましょう。
権利関係に関する書類は、内容に変更が生じている可能性もあるため、必ず最新のものを取得する必要があります。
被相続人名義の不動産が記載されている場合、その評価額にて相続手続を進めることになるため、当該不動産の所在地を管轄する市区町村役所の固定資産税課にて証明書を取得します。
4. 保険証券(保険証書)
任意保険の保険証券(保険証書)が保管されていた場合、当該保険会社に契約内容を確認しましょう。
生命保険の場合、受取人が手続を進めるのが一般的ですが、契約内容によっては、死亡保険金が受け取れない場合もあるため注意が必要です。
5. 貴金属等の現物資産
貴金属等の現物資産が保管されていた場合、相続手続上、評価額が必要なため、専門事業者に査定してもらう必要があります。
一般的に、評価額が5万円前後であれば、遺産分割協議を経ずとも「形見分け」で済ませることも可能なものの、複数の相続人がいる場合には、トラブル防止の観点から査定等を行うことをオススメします。
貸金庫の相続手続に必要なもの、注意点まとめ
当ページでは、被相続人が貸金庫を契約していた場合に必要な手続と、注意点を解説しました。