第7回:「営業・マーケティングが苦手」問題→ 資格取得者に多い「受け身の姿勢」が致命的

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1. 「営業・マーケティングが苦手」な資格者の現実

 全20回にわたり、「資格を取ったのに仕事が来ない」問題を掘り下げる当マガジン。これは決して珍しい話ではなく、多くの資格取得者がぶつかる壁のひとつである。

 特に、士業や専門職の場合、「資格さえあれば、自然と仕事が舞い込んでくる」と考える人が多い。事実、資格試験の学習に集中していた時期には、「合格すれば未来は明るい」とあなたも信じていたのではなかろうか。

 しかし、現実は異なる。
 どんなに知識やスキルがあったとて、知ってもらえなければ仕事につながらない。

 たとえば、同じ町内に腕のいい歯医者が二人いたとする。

 一方は積極的に広告を出し、SNSでも情報を発信。地域イベントにも積極的に顔を出している。他方は、「腕に自信があるので、自然と口コミで広がるはずだ」と考え、開業後も広告宣伝等はせず、淡々と仕事に打ち込んでいる。

 さて、どちらの歯医者に患者が集まるだろうか?

 お気づきの人も多いだろうが、いい仕事さえすれば仕事が来る時代ではない。まず、知ってもらう。次に興味を持ってもらい、信頼を得る。このプロセスを経なければならない。
 しかし、多くの資格取得者はここでつまずいている。営業やマーケティングに苦手意識を持ち、売り込むことに尻込みする。その結果、「待ちの姿勢」に陥り、気づいたときには仕事がなく、首が回らなくなっている。

 では、どうして「受け身の姿勢」が生まれるのか。
 どうすれば、営業・マーケティングが苦手でも仕事につなげられるのか。

 当ページでは、この問題を掘り下げたい。


2. 「営業・マーケティングが苦手」な人の3つの特徴

 資格取得者のうち、仕事を得られない原因のほとんどは「営業・マーケティングへの誤解」と「受け身の姿勢」にある。特に、以下の特徴を持つ人は、仕事獲得のチャンスを逃しがちだ。


① 「営業=押し売り」と思い込んでいる

  • 営業を「しつこく売り込むこと」「無理に契約を取ること」と考え、避ける
  • 「売り込みばかりする人は嫌われる」と考え、必要なPRすらしない

 これらの結果、「自分は何をしているか」すら周囲に知られることなく、依頼につながらないケースが多い。

🔹 営業とは「価値を伝えること」
 
営業の本質は「押し売り」ではなく、「相手に自分の価値を知ってもらい、興味を持ってもらうこと」にある。

 たとえば、病院の院長が「私はこの分野が得意です」とアピールするのは売り込みではなく、患者のための情報提供だ。これは、士業や専門職にも同じことがいえ、あなたが「どんな人を助けられるか」を明確に伝えることは、決して押し売りではない。


② 「資格があれば勝手に仕事が来る」と思っている

  • 士業や専門職ほど「待ちの姿勢」に陥りやすい
  • 「資格者だから、自分を必要とするお客さんが来るはず」と思い込む

 このような思い込みは危険だ。事実、依頼は「知ってもらわなければ」届かない。

🔹 「いいモノが売れる」ではなく、「知ってもらったモノが売れる」
 
たとえば、どんな美味しい料理を提供するシェフでも、お店の場所や営業時間がわからないとお客さんはたどり着けない。
 これと同じく、どんなに優秀な専門家でも、知ってもらえなければ仕事につながらない。「認知される努力」をしない限り、仕事が舞い込むことはないのである。


③ 「マーケティング=難しい・面倒」と感じている

  • 「SNS?ブログ?面倒くさいし、やり方もよくわからない」と情報発信を避ける
  • 「広告はお金がかかるし、効果があるか分からない」と投資を渋る

 これらの結果、知名度は上がらず、問い合わせすら来ない。

🔹 マーケティングとは「自分のことを知ってもらう活動」
 
マーケティングとは、必ずしも高度な戦略や難しい分析を要するものではない。「自分はこんな仕事をしている」「こんな仕事が得意」と発信することも立派なマーケティングである。たとえば…

  •  SNSで「最近の業務の一コマ」を投稿する
  •  noteやブログで「よくある相談事例」を紹介する
  •  名刺やチラシを作って、地域のイベントで配る

 このように、シンプルな行動アクションの積み重ねこそ、仕事につながるきっかけを生むものだ。


 ここまで見てきたように、「営業・マーケティングが苦手」だと感じる背景には、多くの誤解や思い込みがある。

 では、どうすればこの苦手意識を克服し、仕事につなげることができるのか。次の章で具体的な解決策を紹介していく。


3. なぜ「営業・マーケティング」が必要なのか

 「営業が苦手」「マーケティングなんて自分には関係ない」
 こんな風に思い、感じていないだろうか。

 しかし、仕事を取るには「知ってもらう努力」が不可欠だ。

 特に、士業をはじめとする資格業は競争が激しく、実力さえあれば仕事が来るとは言い難い。

 ここでは、「なぜ、営業・マーケティングが不可欠なのか」、3つの理由を解説する。


① 仕事は「知ってもらうこと」から始まる

  • どれだけ優秀でも、認知度が低いと仕事は依頼されない
  • 大抵の場合、「実績がありそうな人」に依頼する
    =「知名度」が仕事の入り口となる

「この人に相談してみよう」と思ってもらえるかが勝負
 
営業・マーケティングの目的は、自分の存在を知ってもらうことにある。
 知ってもらえなければ実力を発揮するチャンスすらない。


② 「実力があれば仕事が来る」は間違い

  • 「いい仕事をすれば、口コミが広がる」と考えがちだが、大きな誤解
  • 「知ってもらう努力をした人」だけが、仕事のチャンスを得られる
  • 実力が同程度の士業でも、発信の有無で集客に大きな差が出る

「情報を発信している人」ほど仕事が来やすい
 たとえば…

  • 税理士A:SNSで税務の豆知識を発信し、フォロワーが1万人
  • 税理士B:特に情報発信をせず、知人の紹介だけで営業

 この場合、新規の依頼や問い合わせが多いのはどちらだろうか。
 当然、知名度が高い税理士Aのほうが多くの人に認知され、相談・依頼を受けやすいのは言うまでもない。


③ 資格業は「競合が多い」ため、差別化が必要

  • 行政書士・税理士・司法書士など、士業の数は年々増加傾向
  • 過去に「資格があれば食える」と言われたが、今は「資格を持っているだけでは埋もれる」時代
  • 差別化できなければ、「数ある中の一人」で終わる

「自分に依頼する理由」を作ることが大事
 
事業を営むにあたり、あなたの得意分野は前面に押し出そう。また、SNSやブログをやるからには、見る人に「この人なら信じられる」と思ってもらえる情報を発信しなくては意味がないことを肝に銘じておこう。

  • 得意分野を前面に出す(例:「建設業許可に特化した行政書士」)
  • SNSやブログで「この人なら安心」と思ってもらう情報を発信する
  • お客さんが「この人に相談したい」と思う仕掛けを作る

4. 営業・マーケティングが苦手でもできる行動戦略

 「営業やマーケティングは苦手だが、仕事をとらなくては生活できない」
 このような事情を抱える人でも実践できるシンプルな戦略を、ここで4つ紹介する。


① 「価値を伝える営業」にシフトする

✓ 売り込むのではなく、「困っている人を助ける」姿勢が大事
 
「営業」と聞くと、ゴリゴリの売り込みをイメージするかもしれない。
 しかし、本来の営業はお客様が抱える課題を解決する提案をすること

🔹 NGな営業のイメージ
❌ 「行政書士の〇〇です!ぜひ契約してください!」
→ これではただの押し売り。相手は「何をしてもらえるのか」わからない。

🔹 OKな営業のイメージ
✅ 「建設業許可の取得で悩んだときは、力になります」
✅ 「会社の契約書について、法的に問題ないか不安なときは、一度無料でチェックします」

💡ポイントは、「〇〇で困っている人へ、こういう解決策があります」と伝えることだ。「この人なら相談できそう」と思ってもらえれば、自然と依頼につながる。


② 「自分を知ってもらう活動」を始める

無料でできる「知ってもらう活動」を活用しよう
 
いくら良い仕事をしても、誰にも知られなければ依頼は来ない。
 そこで、次のような「情報発信」を始めよう。

🔹 簡単に始められる発信ツール
✔ SNS(X・Instagram・Facebook) → 短文で気軽に発信
✔ ブログ・note → 深掘りした内容を発信し、SEO対策にもなる
✔ YouTube・TikTok → 短時間の動画で「顔を見せる」ことで信頼感UP
✔ 公式サイト → これまでの実績や対応事例をまとめておく

🔹 発信のポイント
・「どんな人が、どんな悩みを持っているのか?」を考えた投稿をする
・たとえば、「許認可の申請が面倒」「相続手続きが不安」など、ニーズのある話題を発信

💡 いきなり完璧を目指す必要はない。まず、「知ってもらうための第一歩」を踏み出すことを大切に。


③ 「無料相談・モニター制度」を活用する

いきなり高額商品は売れない。まず、「試してもらう」ことが大事

🔹 なぜ無料・格安サービスを活用するのか
・お客様は「この人に依頼して大丈夫だろうか」と不安を感じている
・はじめは低リスクで試せるサービスを提供することで、安心してもらう

🔹 具体的な施策
✔ 無料相談を実施する(30分~1時間)
✔ 初回限定の低価格プランを作る
✔ モニター募集(フィードバックをもらう代わりに格安で提供)

💡ここで得た口コミや実績は、次の営業・マーケティングに活かそう。


④ 「専門家+α」の強みを作る

資格だけでは差別化できない。「+α」の武器を持とう!

🔹 差別化の例
✔ 「行政書士+YouTube発信」 → 動画で手続きの解説をする
✔ 「税理士+節税アドバイス講座」 → 資産運用の知識をセットで提供
✔ 「司法書士+不動産コンサルティング」 → 司法書士の仕事+投資のアドバイス

💡資格×マーケティングスキルを掛け合わせ、競争力を上げよう。


5.「営業・マーケティングは苦手」で済ませない!

 「営業やマーケティングが苦手だから」と避けていては、いつまでも仕事は取れない。資格やスキルを活かすには、「知ってもらう努力」が欠かせない。


✅ 「いい仕事ができる人」ではなく、「知ってもらう努力をした人」に仕事が来る

 資格を取得し、知識を深めるのも大切だが、実力があるだけで仕事に繋がることはほとんどない。なぜなら、お客様は「この人がどんなことをしてくれるのか」を知らないからだ。

🔹 よくある勘違い
❌「自分は競合より高いスキルがあるのに、なぜ仕事が来ないのか」
❌「資格を取ったのに、問い合わせが全然こない」

🔹 実際に仕事が取れる人の特徴
✓「この人ならこんな悩みを解決してくれそう」と認知されている
✓「何をしてくれる人なのか」が明確に伝わっている

 つまり、「知ってもらう努力をした人」だけが、チャンスを掴めるのだ。


✅ 営業=押し売りではなく、価値を伝えること

 「営業」と聞くと、しつこく売り込むイメージを持つ人がいまだに多い。
 しかし、本来の営業は「お客様が困っていることに対して、解決策を提案すること」である。

🔹 NGな営業例
❌「うちのサービス、すごくいいので契約しませんか?」
→ 相手は「本当に必要なものか」を判断できないため、警戒してしまう。

🔹 OKな営業の例
✓「建設業許可の取得で悩んでいるなら、こういう方法がありますよ。」
✓「相続手続きが不安なときは、無料相談をご利用ください」

 はじめに、「こんなことで困っていませんか?」と問いかけ、自然な流れで価値を伝えよう。売り込みではなく、「相手の悩みを解決する手助けをする」意識を持つことを大切に。


✅ 苦手でも「まずは発信」を!小さな行動の積み重ねが、やがて仕事につながる

 営業やマーケティングが苦手でも、「知ってもらう工夫」をしなければ仕事は生まれない。まずは、小さなことでいいので「発信」を始めよう。

🔹 初心者向け・簡単な情報発信の始め方
✔ X(Twitter)で1日1回、「役に立つ情報」や「自分の考え」をつぶやく
✔ ブログ・noteで「よくある質問」「仕事の事例」をまとめて投稿する
✔ YouTubeやTikTokで、短い解説動画をアップする
✔ 公式LINEを作り、登録者に定期的に情報を配信する

 最初から完璧を目指す必要はない。
 発信を続けると、「この人に頼もう!」と思ってもらえる確率がどんどん上がるのだから。焦らず継続しよう。

💡 「発信 → 仕事につながるまで」の流れ
1️⃣ X(Twitter)で「建設業許可のポイント」を投稿
2️⃣ それを見た人が興味を持ち、ブログを読みにくる
3️⃣ さらに詳しく知りたくなった人が無料相談に申し込む
4️⃣ 「この人なら信頼できそう」と感じ、正式な依頼につながる

 このように、小さな発信の積み重ねが「仕事の入り口」を作る。


✅ 「営業が苦手だから…」で終わらせない!今日からできる一歩を踏み出そう

  • 「いい仕事をするだけ」では、依頼にはつながらない。
  • 営業とは「押し売り」ではなく、「価値を伝えること」。
  • まずは、X(Twitter)、ブログ、公式LINEなど、小さな発信から始めてみよう!

 最初は手探りでも大丈夫。発信を続けることで、少しずつ仕事のチャンスが広がっていく。「営業・マーケティングは苦手だから…」と諦めず、できることから行動を起こそう!

 あなたの仕事を待つ人は、必ずいるはずだ。まずはその人のところまで、あなたの商品・サービスを届けることから意識しよう。

平成弐年式、やぎ座のO型。 ふだんは行政書士事務所の代表、根暗をやっています。

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