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1. カルトマーケティングとは何か
「今より売上を上げたい』『もっと多くのファンがほしい』
これらの願望は、多くの事業者に共通する。しかし、そこで採用するマーケティングの手法が、時に、“カルト的”な手法に類似することがある。魅力的だが、強力で、時に精神に重大な影響を及ぼす手法には、一定の危険性がある。あなたはそのことを十分に理解しているだろうか。
「危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング」(雨宮純著/ぱる出版)は、人々を強烈に引き付けるマーケティング手法の危険性を解き明かす1冊だ。これを読むことで、あなたの事業に潜むリスクを知り、倫理的に影響力を活用するヒントが得られるだろう。
当ページでは、本書各章の重要なポイントを解説し、よりよい事業づくりに必要なヒントを紹介したい。
2. なぜこの本が特別なのか
(1)本書の魅力
「危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング」では、マーケティングの影響力を深く掘り下げ、顧客を魅了する強力な手法を取り上げている。ただし、単なる手法紹介にとどまらず、それらの手法が持つ倫理的リスクや危険性に焦点を当てている点が大きな魅力だといえる。
本書の魅力をまとめると、以下の通りだ。
- マーケティングの裏側を可視化
本書は、カルト的な魅力を引き出す心理的要素を詳細に解説。読者は、魅力的なマーケティング手法がどのように人々を引き寄せ、時にはそれが過度な支配力を持つ危険を孕むのかを理解できる。 - 各章の要点を明確に整理
各章の終わりに、その章のポイントが簡潔にまとめられており、忙しい読者でも本書の要点を簡単に把握することができる。要点を絞る形で、実践的な知識を短時間で得られるのは最大の特徴であり魅力である。 - 実際の事例と理論を交えた解説
実際に行われたマーケティングキャンペーンや事例をもとに解説され、読者はその理論がどのように実際のマーケティングで活用されているのか、具体的にイメージすることができる。 - 倫理的なマーケティングの推奨
本書は、単にカルト的な手法を紹介するだけでなく、それらの危険性を指摘し、より倫理的で持続可能なマーケティング戦略の重要性を説いている。顧客との信頼関係を築きながら、影響力を行使する方法を学べる。 - 自分の事業に適用できる実践的アドバイス
カルトマーケティングの手法を知ることは、事業運営におけるリスク回避と、効果的に顧客を引きつける方法を知る第一歩だ。読者は自らの事業にどのように適用できるかを考えるきっかけとなり、よりよい事業運営を目指す具体的なヒントを得られるだろう。
3. 各章のポイントと教訓
セオリー1:人々を「今、ここではないどこか」へ連れていく協議を作る
- 人々を熱狂させるには、共通のビジョンを見せる教義が必要である。
- この世界の劇的な変化を想像させる終末論は、「今、ここではないどこか」と「大きなものとの繋がり」を同時に満たせる有力な手法である。
- 世界ではなく、個人の変化に焦点を合わせることで熱狂を生むことは可能。「人生が変わる」ことを強烈に想起させる自己啓発は有効な手段である。
セオリー2: 共通敵を設定し、協議と個人を接続する
- 敵を設定することにより、世界と自分を変えられると思わせられる教義を作りやすくなる。さらに、個人の苦悩や悩みを解消できる教義とすることで、個人と教義を効果的に接続することができる。
- 敵の脅威を感じさせることで集団の結束を高めることができ、人々を行動に駆り立てることもできる。脅威の種類には身体的安全性や経済などについての現実的脅威の他、価値観やアイデンティティについての象徴的脅威もある。象徴的脅威は身近な文化を闘争の材料に変えることができ、アイデンティティにも関わるだけに人々に強い参加動機を与える。
- 対立を煽ると様々な形の暴力が発生する可能性がある。暴力否定の思想を教義に組み込んで繰り返し発信する、非人間化を防ぐといった対策を行い、攻撃を正当化する空気や物語を作らないよう注意しなければいけない。
- ポイント解説: 「カルト的な組織やブランドは、高い理想を掲げることで信者を引き寄せるが、その理想が現実と乖離すると反発を招く。」
- 教訓:
- 顧客に対する過剰な期待の煽りは避け、実現可能な範囲で価値提供を行う。
- 例: サービスの提供内容を明確にし、誇張表現を控える。
セオリー3:外部との接点を作る:福音の伝道と関係の構築
- 組織を拡大するには外部者を引き込む必要があり、効果的な外部接点の構築が重要である。
- 人目を引き、「世界が変わる」「人生が変わる」と思わせるメッセージを発信することで、組織に強い関心を持たせることができる。
- 様々な事情で組織の正体を公言したくない場合は、それを隠して接触し、先に人間関係を築いてしまう手法もある。これは不誠実なやり方なので、やってはいけない。
セオリー4:覚醒の物語を現実世界とリンクさせ、信者を没入させるスイッチを埋め込む
- マンデラ・エフェクトやゴム人間の証拠探しなど、「This is not a game」な感覚を生む要素を埋め込むことは重要である。まるでフィクションのような世界観が「現実だ!」と思えた瞬間に人は強烈な快感を覚え、あなたの仕掛けにより深くハマり込む。
- 複数のメディアを使って少しずつヒントを与え、気軽に参加できる謎解きゲームの要素を仕掛けることでコミュニティが生まれる。人々はそこに居場所を見出し、やがて表に姿を現す。
- この手法に押しつけがましい広告を使ってはいけない。偶然の出会いに思える入り口(ラビット・ホールやレッド・ピル)を準備し、運命の出会いを演出することで人々をより熱中させることができる。
- オングズ・ハットやQアノンの例からも分かる通り、この手法は陰謀論と相性がよく、思わぬ事件を発生させる危険性があるため、取り扱いには十分注意しなくてはいけない。
セオリー5:外部との差異を認識させ、仲間意識を醸成することで集団を強固なものにする
- 熱狂を起こす集団を作るためには、「この集団は特別な集団であり、そこに所属している自分は、他とは違う特別な人間である」という意識を植え付けなければいけな。そのためには、外部との差異を強調する必要がある。
- セオリー1で準備した教義を注入し、記号や象徴を身に着けさせ、組織内での名前や用語を使わせることで「他とは違う仲間と場所の中に自分はいる」という感覚を誘導することができる。
- 集団儀式を行うことで沸騰状態を現出させ、参加者には超越体験を味わわせよう。バイタルレベルでのシンクロを実現することで人々は真の合一を体験し、あなたの集団を本物にすることができる。
- 小グループを導入することで様々な活動機会を準備することができ、参加者の所属意識を高めることができる。
- 集団生活を行わせることで組織へのコミットを強化することができるが、 トラブルが起きる可能性が高いので安易に手を出してはいけない。これは不誠実なやり方なので、やってはいけない。
セオリー6:協議から金と労働力を引き出す
- 熱狂的な人々の集団からは、金と労働力と言う果実を得ることができる。
- 各種の情報発信は協議の拡散手段であると同時に収入源でもある。ネットで人気を博すことで書籍の出版に繋げられれば、セミナーやイベントへと活動の場を広げる弾みになる。
- セミナーやイベントで非日常空間を演出できれば、信者は自ずと割高な費用を払う。プレミアプランの特典を「運営側に回れること」にすれば、売上と同時に労働力も得られる。
- カルト・ビジネスのグッズは機能的便益以外の付加価値を信者に提供し、所属欲求や教義との接続欲求を満たす。偽物の機能的便益を提供している場合もあるが、これは悪質商法になりかねないので控えたほうが良い。
- 会費ビジネスは昨今熱狂を生んでいる集団における最大の資金源となっている。広く薄く集められるため問題を起こし辛く、信者の拡大がそのまま売上に直結するため、積極的に採用したい。
- 集めた信者から労働力を得る方式として、マルチ商法や資格商法に人々を送り込む手法がある。これも大金を生み出せる可能性を持つが、勧誘に重きを置きすぎるとトラブルが発生しやすいので、特にマルチ商法には手を出すべきではない。
- 階層構造やランクシステムの導入は、成功や生まれ変わりへの道筋を示すことで信者のモチベーションを上げ、様々なサービスや商品の購入へと誘導できる。会員区分やサービスランクなど、様々な部分に積極的に導入したい。
大切な人が悪質な集団や思想に取り込まれてしまったら
本書は具体例としてカルト宗教やマルチ商法、陰謀論団体が紹介されているが、ここで紹介される手法を利用している団体には問題を抱えているものが多いことことから、「身近な人が取り込まれてしまった」問題への対処を専門家に相談するよう注意を呼び掛けている。
本書で紹介されている相談窓口を当ページでも紹介するので、悩んだ際はひとりで抱え込まず、然るべき先に相談してほしい。
- 違法行為や破壊行為をしている集団に入ってしまった
- 集団の圧力で高額な献金や支払いをさせられている
- 家族が入会してから音信不通になり家に帰ってこない
- 長時間集団の活動に従事させられており、家族の絆に問題が発生している
- 職場の同僚をマルチ商法に勧誘してしまい、会社から厳重注意を受けた など
- 何を話しても陰謀論に繋げられてしまいコミュニケーションが成り立たない
- 職場や保護者会で他人に思想を押し付けたため、孤立している
- 子供を病院に連れていこうとすると疑似科学に基づいて反対される
- スピリチュアルや陰謀論関連のビジネスに大金を注ぎ込むようになり、家計に負担がかかっている
- 陰謀の手先と考えられている人に対してSNSでの誹謗中傷を重ねている など
日本脱カルト協会 | 日本脱カルト協会|JSCPR |
全国霊感商法対策弁護士連絡会 | 統一教会 霊感商法の実態 全国霊感商法対策弁護士連絡会 |
法テラスー霊感商法等対応ダイヤル | 霊感商法の被害にあわれた方 | 法テラス |
カルト被害者相談窓口 心の相談室 りんどう | カルト被害相談窓口 心の相談室りんどう~カルトからの脱会支援 |
カルト問題キリスト教連絡会 | カルト問題キリスト教連絡会 – 正体を隠して近づく問題のある団体から学生・生徒をまもる。 |
仏教テレフォン相談 | 一般社団法人 仏教情報センター テレフォン相談 |
日蓮宗宗務院総合相談所 | 活動|日蓮宗ポータルサイト |
日蓮宗 大明寺相談室 | カルトにひきこもらないで ―大明寺―|全国青少年教化協議会 |
全国統一教会被害者家族の会 | 統一教会(協会)被害者家族の会Homepage |
オウム真理教家族の会 | オウム真理教家族の会 – オウム真理教家族の会 |
浄土真宗親鷺会被害家族の会 | 浄土真宗親鸞会被害 家族の会 |
国民生活センター | 国民生活センター |
国民生活センター:全国の消費生活センター等 | 全国の消費生活センター等_国民生活センター |
消費者ホットライン | 188 |
こころの健康相談統一ダイヤル | こころの健康相談統一ダイヤル|自殺対策|厚生労働省 |
よりそいホットライン (一般社団法人 社会的包括サポートセンター) | ☎ 0120-279-338 よりそいホットライン | 一般社団法人 社会的包摂サポートセンター |
全国の精神保健福祉センター | 全国の精神保健福祉センター|厚生労働省 |
児童相談所虐待対応ダイヤル | 189 |
児童相談所相談専用ダイヤル | 0120-189-783 |
24時間子供SOSダイヤル (文部科学省) | 0120-0-78310 |
子どもの人権110番 (法務省) | 0120-007-110 |
4. よりよい事業をつくるために
本書に登場する手法は、強力がゆえに危険を伴う。しかし、倫理的な配慮を持った活用では、顧客と強固な信頼関係を築く心強いツールにもなり得る。そのため、魅了だけでなく「信頼」を大切に進めていってほしい。
あなたの事業をよりよくするため、本書で得られる知識を有効に活用しよう。
5. 書籍情報
危険だからこそ知っておくべきカルトマーケティング
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