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小動物と築く特別な関係
小さな体で精一杯に生きるコザクラインコとの日々は、日常に愛情と癒しをもたらしてくれる、かけがえのない時間だった。しかし、ある日突然その命が尽きる瞬間を迎え、筆者の心は深い悲しみと喪失感に包まれた。
ペットと聞けば、犬や猫を思い浮かべる人が多いかもしれない(実際、筆者も柴犬と暮らしおり、過去には猫とも暮らしていた)。
しかし、インコやハムスターなどの小動物も、飼い主との間に深い絆を築く存在だ。その小さな命との別れは、飼い主にとって非常に辛いものだが、同時にその悲しみが十分に理解されにくい側面もある。
当ページでは、小動物の飼い主が感じる喪失感に寄り添いながら、グリーフケアの重要性と具体的な方法について考えていく。私自身が経験した別れの瞬間や、その後どのように悲しみと向き合ったのかを綴り、同じような状況にいる誰かの心に少しでも寄り添えればと思う。
小動物との別れ特有の悲しみ
その小さな命が消えてしまったとき、その温もりや触れ合いが急に失われることに、非常に強い喪失感を覚える。「こんなにも小さな命でも、自分にとってはとても大きな存在だった。」と痛感する瞬間がある。
小動物との別れ特有だと考えられるものを、下記に挙げる。
1.短命なため別れがはやすぎる
通常、犬や猫に比べると小動物は寿命が短い。ハムスターやインコなどは数年といわれ、飼い主にとってはその短さが「突然の別れ」を示す。その日は突然やって来ることを覚悟しているはずだが、いざ迎えるととめどなく感情が溢れ出すものだ。
「もっと一緒にいられると思っていたのに、こんなにも早く別れが来るなんて…。」
こう感じることもあるだろう。一緒に過ごす時間が長くなるほど、その別れの衝撃は強くなる。
2.他人に理解されにくい喪失感
一般的に、小動物は犬や猫と比べ、「ペット」としての存在感が薄く捉えられる傾向にある。そのため、その喪失感を周囲に理解してもらうのが難しいことがある。
例えば、家族や友人から「インコでそんなに悲しむの?」と笑われたり、驚きの反応を示される場合が該当する。
他人に理解してもらうと気持ちが和らぐ一方で、理解を得られぬ感情は、孤独感を強める要因となり、喪失感をさらに深める可能性がある。このことが更に、あなたの心をえぐるかもしれない。
3.小さな命にそそぐ大きな愛情
その体が小さい分、小動物と過ごす時間はより濃密を感じられる。限られた時間の中で飼い主と育む絆は、とても深いはずだ。あなたが注ぐ愛情は非常に特別で、その分だけ別れが強烈なものになっていく。
毎日の世話を通して感じる愛情や、思いがけない仕草に胸を打たれた瞬間などは、別れのときに、「何もできなかった」という後悔と無力感を強く呼び起こすこととなる。
4.日常に溶け込んだ存在の消失
小動物はその小さな体で、家の中のあらゆる場所に溶け込んでいる。その日常の中で「当たり前」として存在していたその子が突然いなくなると、その空白が想像以上に大きく感じられる。
毎日の世話や、朝晩の挨拶がなくなることで、家の中が静かになり、無意識のうちにその存在を求めてしまう自分に気づく。例えば、ケージを掃除しているときや、普段使っていたおもちゃを見かけるたびに、その喪失感が一層強く感じられる。
5.手のひらサイズの命が与えてくれるもの
小動物は犬や猫と比べて身体が小さく、その分、飼い主にとっては「手のひらサイズの命」として、非常に身近で親しみやすく、守るべき存在となる。手のひらに収まる小さな体を感じながら過ごす時間は、飼い主にとって非常に癒しであり、原動力となる。
グリーフケアの重要性
グリーフケアとは、愛するペットとの別れを経験した際に生じる、喪失感や悲しみを癒し、心の回復を促すために実施する支援、又は手段を指す。特に、ペットロスにおいては、ペットとの別れが飼い主に与える影響が大きく、精神的なサポートが不可欠である。ここで行うグリーフケアでは、単に、「元気を出して」と声をかけるだけで解消されるものではなく、飼い主が抱く悲しみや喪失感などの感情に寄り添い、時間をかけて向き合うプロセスだ。
以下に、小動物の飼い主として、グリーフケアの重要性について詳しく掘り下げる。
1. ペットロスの感情を否定せず受け入れる
小動物との別れについて、必ずしも大きな社会的儀式や葬儀があるわけではない。犬や猫に比べ、小動物の可愛がり方や、お別れの方法についての定番はなく、飼い主が自ら喪失感を抱え、向き合わねばならない場面が多い。
だからこそ、ペットロスを感じることそのものに対し、罪悪感を持つのは好ましくない。
小さな命との別れを深く悲しむのは自然であり、むしろ、その感情を否定せず受け入れることが、心の回復への第一歩となる。
多くの飼い主は、周囲から理解されないことに悩む。小動物は他の動物と比べ、その命の重さを軽視されがちなことから、ペットに関わる感情表現に罪悪感を抱き、自分だけで喪失感を抱えてしまい、孤独感に打ちひしがれる。
しかし、ペットロスは、注いできた愛情の大きさの証拠であり、その気持ちを軽視し、無視するよりも、大切に扱うことこそ望ましいと筆者は思う。
2. 自己ケアをおろそかにしない
ペットロスが進行する中で、飼い主が最もおろそかにしてしまうのが「自分自身のケア」だ。悲しみや喪失感に押しつぶされ、食事を取る気力がなくなり、眠れなくなる等の反応を示すことがある。これについて、自然治癒を待つのみで、心のケアを行わなければその状態を長期間引きずることとなり、最終的には、深刻な健康被害をもたらすことになる。
以下に、自己ケアの具体例をいくつか挙げるので、参考にしてほしい。
(1) 感情を表現する時間を持つ
- 日記を書く
ペットとの思い出や感じていることを言語化することで、感情を整理しやすくなる - 思い切り泣く
感情を抑え込まず、涙を流すことで心の負担を軽くすることができる - メモリーボードの作成
ペットの写真やメッセージを添え、思い出を視覚的・物理的に表現することで、その子との大切な時間を振り返り、向き合うことができる
(2) 体を大切にする
- リラックスタイムの確保
ヨガや瞑想、深呼吸など、心を落ち着ける方法を取り入れると、ストレスや不安を軽減できる。意識して深く呼吸して - ウォーキングなどの軽い運動
日常的にペットと散歩していた場合、その習慣をいきなり辞めるのはかえって悲しみを増幅させる。軽い運動は心身に良い影響を与え、外の空気を吸いこむことで気分転換を促し、回復効果が期待できる - 十分な睡眠をとる
一時的な不眠に悩むこともあるかもしれないが、心身の休息に質の良い睡眠は欠かせない。寝室をリラックスできるよう整え、リズムを意識して
(3) 心の整理をする
心の整理をするには、ペットの死後、無理に感情を抑えるのは逆効果だ。愛するペットとの時間を振り返り、その子が与えてくれたものを大切に感じとる時間を持つことこそ、あなたの悲しみには有効だろう。
可能であれば、その子が好きだった場所や遊びを試すのも効果的だ。例えば、ペットが好んだおやつやおもちゃに触れることで、心が落ち着くこともあるはずだ。
(4) 自分を甘やかす
自分を甘やかすとは、自暴自棄を許容することではなく、自分の五感に耳を澄ませ、適切に対処することを指す。
例えば、自分の好きなものを積極的に摂ると味覚が喜び、気持ちが楽になることもある。特に、ペットとの思い出がある食事は、心の回復を早めるかもしれない。
どんなに悲しみに暮れていても、その中で楽しみを見つけることも出来る。映画や音楽鑑賞、読書、好きな香りや視覚的に楽しめる入浴剤を使い、お風呂に長めに浸かるなど、身も心も軽くなる活動がオススメ。ひとりでは楽しめないときは、素直に周りを頼るのも有効である。
(5) 心のケアを専門家に頼る
ペットロスに関し、専門のカウンセラーやセラピストに相談するのも効果的だ。あなたが抱える悲しみや喪失感などの感情を打ち明けることで、客観的に見ることができ、整理しやすくなる。加えて、彼らに理解してもらえることで気持ちが随分軽くなることもあるだろう。
他にも、あなたと同じような経験をもつ人と交流することで、孤独感が和らぎ、自らの感情に肯定的になれる。これにより、安堵感を得ることもできるはずだ。
(6) 時間をかける
喪失感の癒えには、少なからず時間を要する。そのため、回復を急ぐより時間をかけるものと理解し、あなたのペースで取り組むのが適切だといえる。
3. 思い出を大切にする方法を見つける
思い出を大切にすることは、グリーフケアの促進だけでなく、ペットとの深い絆を維持・継続にもつながる。愛するペットとの記憶を形として残すことにより、喪失感の緩和、回復をはやめる効果が期待できる。
具体的には、写真や動画の活用や記念品の作成、祭壇をつくり心落ち着けるスペースとして活用する方法が考えられる。ペットとの思い出の場所に訪れたり、家族や友人と思い出を語らうのも良いだろう。好きだったおもちゃは無理に処分せず、手元に置いて、大切に保管する方が落ち着くこともある。
いずれにせよ、あなた自身の心が安らぐ方法を見つけることを最優先してほしい。
4. 喪失感とともに生きる
ペットの死後、喪失感を抱くのは至極当然だが、時間の経過とともに徐々に和らぐだろう。しかし、その感情が完全に消えることは難しい。
あなたが抱く喪失感は、その子との間に存在する深い絆を証明するものだ。そのため、拒絶し、見て見ぬふりをするよりも、真正面から向き合いつつ新たな一歩を踏み出そう。
新しい家族を迎えるのも一つの方法だが、すぐにはかなわない場合もあるだろう。このような場合には、あなたの心がどのような変化を辿るか注意深く観察し、次のステップへの準備が整うのを待つことをオススメしたい。
【経験談】愛鳥が動かなくなったとき、一瞬で現実感を失った
ここからは、筆者の経験談をお話する。
その日の未明。仕事を終え、いつものように寝床を確認したところ、その小さな体は見たことのない姿勢で硬直しているように見えた。何度か名前を呼び、指で頬をなぞるも動かない。嫌な予感が頭をよぎる。そっと手を伸ばし、寝床から出したとき、その小さな体が突然床に崩れ落ちた。目の前で起きた出来事が信じられず、声も出ず、すぐに手を伸ばしてその体を抱き上げる。
「どうしたの…どうしたらいいの。」
心臓が早鐘のように打ち始め、頭の中は真っ白だ。それでも、「何かしなければ」という思いだけが私を突き動かした。スマートフォンで「鳥 心肺蘇生」と検索し、見つけた情報を頼りに見よう見まねで指先に力を込める。
指の腹で胸のあたりを優しく押しては離す。小さな口元にそっと息を吹きかける。その繰り返しの中で、私は祈るような気持ちで何度も名前を呼んだ。「ちぃ、大丈夫。戻っておいで」と必死に語りかけた。
しかし、手のひらから伝わるのは、じわじわと失われていく体温だけ。最初はほんのりと暖かかったその体が、徐々に冷たさを増していく。その変化が、抗えない現実として私の心に重くのしかかった。「もうダメかもしれない」という絶望感が胸を締めつけた瞬間、止めようのない涙が一気に溢れ出した。
それでも、手を止めるわけにはいかなかった。私は小さな胸に触れる指に力を込め続けた。その最中、愛鳥の口からかすかな声が漏れるたび、希望を抱きながらも、その声がどこか苦しげに聞こえ、胸が張り裂けるような思いになった。「ごめんね」「助けたいんだ」と何度も心の中で叫びながら、涙はとめどなく頬を伝い落ちた。
どれほどの時間が経ったのかは覚えていない。ただ、その体が完全に冷たくなり、蘇生の手を止めたとき、私はようやく現実を受け入れるしかなかった。その小さな頭をそっと撫でながら、言葉にならない嗚咽が込み上げ、愛鳥の名前を呼び続けた。
これは、飼っていたコザクラインコが亡くなったときの話だ。生き物の世話をするとは、当然、最期まで看取るつもりで迎えるわけだが、あまりに早すぎた別れに心は置き去りになった。
ペットの死後における感情変化
インコなどの愛するペットを失った後、飼い主は深い喪失感を抱え、さまざまな感情の変化を経験する。このプロセスは人により異なるが、筆者は以下の段階を辿った。これは、一般的に「喪の過程」と呼ばれるものと相違がないため、参考にしてほしい。
- ショックと否認
- 怒りと自己非難
- 交渉
- 深い悲しみ(抑うつ)
- 受容
- 新しい日常への適応
1. ショックと否認
ペットが亡くなった瞬間、またはその知らせを受けたとき、飼い主は深いショックを受ける。現実を受け入れることが困難だと感じ、「本当に死んだのか」「夢であってほしい」と願うことが多い。
典型例として、微動だにしないペットを見つめ呆然とする、死亡原因の追究、「もしかしたら」と希望を捨てきれないなどの反応が挙げられる。
この点、筆者は典型例すべてに当てはまった。
2. 怒りと自己非難
悲しみが深まるにつれ、「なぜこうなったのか」「どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか」と、憤りを感じることがある。ほとんどの場合、怒りの矛先は、病気や事故、獣医、さらに自分に向けられることもある。
それと同時、または後発的に、「もっと早く気づいていれば」「もっと良い対処法があったのでは」と自責の念に駆られることがある。この段階において、罪悪感は急激に強まる。
3. 交渉
現実を受け止めきれない飼い主は、やり場のない感情に押しつぶされぬよう、「もしもあのときこうしていれば」「もっと長く生きられる方法があったのでは」と考え始める。現実を変えることはできないと理解しているにもかかわらず、胸中で無意識の「交渉」が行われるのだ。
典型例として、「もっと早く気づいていれば」「違う餌を与えていれば」などの考えが挙げられる。
4. 深い悲しみ(抑うつ)
ペットがいない日常を現実として感じられるようになる時期。空虚感や孤独感に襲われ、ペットの使っていたものを見る度に悲しみが込み上げる。
具体的には、ペットがいなくなったことを実感することによる絶望感、いっしょに過ごした日々を反芻してつらさが増す、自らの行動や選択が誤っていたのではないかと悔いる。
5. 受容
完全に悲しみが消えるわけではないものの、次第に、ペットとの別れを受け入れられるようになる。このプロセスでは、ペットが自分に与えてくれたものを冷静に考え、前向きに捉えられるようになる。
変化の兆しとして、「あの子は幸せだった」と考えられる、写真や動画を温かな気持ちで見られるようになる、他の個体や種類の動物に対し、愛情が芽生えるなどが挙げられる。
6. 新しい日常への適応
ペットの存在が大きいほど、その子のいない生活に適応するのに時間を要するものの、徐々に日常を取り戻す。失ったモノから得たモノに視点が移行するのだろう。
具体的には、他の動物や新たな趣味に目を向けられるようになったり、ケージやおもちゃ等を片付ける決心がつく。
感情変化に関する注意点
ここまでのプロセスは、あくまで一般例で、必ずしも順番通り規則正しく進行するわけではない。同じ段階を何度も行き来することもあれば、ここで挙げた感情が必ず浮かんでくるとは限らず、だからといって、ペットを愛していなかったということでもない。
大切なのは、どのプロセスについても、あなた自身の感情を否定せず受け入れることだ。「あなたが落ち込むとペットが悲しむ」という考えの人もいるが、筆者はそうは思わない。言わせたい奴には言わせておけば良いのである。
自分だけでは抱えられぬほど辛いときには、家族や友人、時にはペットロスの専門家に頼るのもいいだろう。ペットを亡くして悲しむのは、自然なことだ。
【まとめ】インコや小動物の喪失感―心を癒すグリーフケアの実践
インコを始めとする小動物との別れは、その小さな存在感からは想像できぬほどの深い悲しみをもたらす。しかし、その悲しみは、その子を大切に思い、深い絆を築いてきた証でもある。喪失の痛みと向き合い、少しずつあなたのペースで、愛しい思い出を温かな記憶として心に刻むことがグリーフケアの第一歩だ。
それまで寄り添ってくれた小さな命に感謝し、その存在が与えてくれた幸せを思い出す時間を大切にしてほしい。そして、悲しみは無理に隠したり癒やすものではなく、あなた自身のペースで向き合うことが何よりも大切だということを覚えておいてほしい。どんなに小さな命でも、その子があなたに向ける愛は永遠である。その愛は、やがて新たな希望や癒しにつながることを願っている。