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当ページでは、被相続人の遺産に絵画や骨董品が含まれる場合の評価方法を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
絵画・骨董品の評価方法
被相続人(死亡人)が所有していた絵画や骨董品は、相続財産に含まれます。
相続財産は評価額をつける必要があり、絵画・骨董品は下記のように区別し、該当する計算方法にて算出します。
1.販売業者が所有する場合
絵画・骨董品等の美術品を販売業者が所有している場合、「たな卸資産」として取り扱うことになります。
たな卸商品等の価額は、次の区分に従い、かつ、それぞれの区分に掲げる動産の種類および品質等が概ね同一のものごとに評価します。
- 商品価額=販売価額-(適正利潤の額+予定経費+納付すべき消費税額)
- 原材料価額=仕入額+原材料の引取等にかかる運賃+その他の経費
- 半製品及び仕掛品価額=仕入価額+原材料の引取、加工等に要する運賃+加工費その他
- 製品及び生産品の価額=販売価額-(適正利潤の額+予定経費+納付すべき消費税額)
※基準時は、課税時期です。
要するに、販売業者が確定申告時に算出した評価額(帳簿価額)での評価が可能です。
2.自宅で所有する場合
一般家庭で所有する絵画・骨董品の場合、(1)売買定例価額、(2)精通者意見価格等を参酌して評価します。
実務上は下記の価額を参考に評価するのが一般的です。
- 同種または類似する商品の価額
- 買取業者等の買取価額
- 古美術商等、専門家に査定を依頼した際の鑑定価格
- 購入時の価格
2-1.評価額5万円以下の場合
自宅所有の絵画・骨董品の評価額が1点5万円以下の場合、相続財産に含まれる不動産内の家財と同じ「家庭用財産」として取り扱える可能性があります。
税関連については素人では判断が難しいため、「これはどうかな?」と悩む場合、お近くの税務署または税理士までお問い合わせください。
絵画・骨董品を相続する際の注意点
1.鑑定は信頼できる事業者に
相続税の申告・納税時、絵画・骨董品が含まれていると税務署から評価額の妥当性について指摘されることがあります。
特に1点数百万円にのぼる場合は注意が必要で、売買実例価格より、専門業者に鑑定依頼を出すことをオススメします。
2.相続税の納税猶予・免除制度
絵画・骨董品が下記に該当する場合、「特定美術品」と呼ばれ、相続税の納税猶予・免除制度の対象になる可能性があります。
- 重要文化財として指定された絵画、彫刻、工芸品その他の有形の文化的所産である動産
- 登録有形文化財(建造物を除く)のうち、世界文化の見地から歴史上、芸術上または学術上特に優れた価値を有するもの
特例の適用を受けるためには、更に、次の要件を満たす必要があります。
- 寄託先美術館の設置者と特定美術品の寄託契約を締結していたこと
- 重要文化財保存活用計画または登録有形文化財保存活用計画につき文化庁長官の認定を受けていること
- 2の認定保存活用計画に基づき、特定美術品を1の寄託先美術館の設置者に寄託していたこと
- 相続または遺贈により、相続人または受贈者が特定美術品を取得したこと
- 特定美術品の寄託先美術館の設置者への寄託を継続すること
美術品納税猶予税額は、次のいずれかに該当することになった場合に免除となります。
- 寄託相続人が死亡した場合
- 特定美術品を寄託先美術館の設置者に贈与した場合
- 特定美術品が災害により滅失した場合
ただし、美術品納税猶予税額の免除前に、特定美術品を譲渡するなどの事由が生じた場合、猶予税額の全額につき猶予が打ち切られるため、税額だけでなく利子税も納付することとなりますので注意しましょう。
絵画・骨董品の相続税 まとめ
当ページでは、絵画・骨董品の相続税評価について解説しました。