本記事では、「事業承継」の基礎地域をなるべくわかりやすく解説します。
事業承継はバトンタッチ
事業承継とは、会社経営を現在の経営者から後継者へ引き継ぐことを言います。
単純に代表者を交代するだけでなく、経営理念や会社の文化も含め、全てを引き継ぐことになります。
事業承継の目的は
大きく2つです。
- 経営者の事情に左右されず、事業を継続させること
- 事業、会社を発展させていくこと
深刻化する高齢化
中小企業庁による2022年の休業廃業・解散件数は49625件で、前年比11.8%増(株式会社東京商工リサーチ)。
休廃業・解散企業の業績をみると、ほとんどが黒字だったことがわかります。
経営が苦しいわけではないのにどうして、彼らは休廃業・解散という選択肢をとったのでしょうか。
年代別の中小企業の経営者年齢の分布図を見ると、経営者のピーク年齢が年々高齢化していることがわかります。
これまでピークを形成してきた団塊世代の経営者が引退する一方で、75歳以上の経営者が増えていることから、経営者の老齢に伴った事業承継を実施した企業とそうでない企業との二極化がうかがえます。
後継者確保の重要性
「全国企業 後継者不在率動向調査」を見ると、約半数を超える企業で後継者が決まっていないのが実情です。
後継者が決まらないまま放っておけば、休業廃業・解散を選択せざるを得ません。
これらの企業が全て廃業した場合、雇用は失われ、連鎖倒産を招き、結果的に日本経済は大きなダメージを負うのは必至です。
こうした事情から、昨今「事業承継」「M&A」などのワードが多用されるわけですね。
事業承継には種類があります
事業承継は、大きく3種類に分けられます。
- 親族内承継
- 親族外承継
- M&A
1.親族内承継
最も望ましいのが、子・孫など親族への事業承継です。
過去の統計を見れば、事業承継全体の9割超をこの類型が占めていましたが、現在では6割を下回ります。
その理由として、苦労する親の背中を見てきたことで、安定を求めた子が就職や専門職を選んでいることが挙げられます。
2.親族外承継
親族への事業承継が不可能な場合、次に挙げられるのが自社役員や社員への承継です。
しかし、黒字企業では譲渡価額が高額化したり、借入金の大きな企業では、借入の連帯保証・担保提供など、どちらに転んでも後継者側が大きな負担を負うことになります。
経営者と部下では役割や責任が大きく異なるため、当然といえば当然なのですが、承継させたい事業者と消極的な後継者候補との間に溝ができるケースもあります。
こういった事情により、諦める経営者も多い類型だといえます。
3.M&A
M&Aによる事業承継は、自社を第三者企業に譲ることで事業そのものを存続させる選択肢です。
従業員の雇用や、取引関係を維持したまま譲渡できるため、売り手と買い手の双方にメリットのある方法だといえます。
とはいえ、今まで大事に育ててきた会社を第三者に譲ることに抵抗があり、結局、廃業という選択をされる方も多いのが実情です。
まとめ
本記事では、事業承継の基礎知識を解説しました。
後継者の選定、育成、引継ぎなどには約10年かかるといわれています。
代表者として、事業承継は他人事ではないことに留意しつつ、早めに相談・着手していきましょう。
本記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。