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当ページでは、たばこを販売する際に必要な「一般小売販売業許可」取得の要件、手続、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
たばこ小売販売業とは
たばこ小売販売業とは、営業を目的として、消費者に対し、製造たばこの販売を行うことをいいます。
たばこ小売販売業の種類
たばこ小売販売業は、下記に大別されます。
区別 | 販売形態 |
---|---|
特定小売販売業 | 劇場、旅館、飲食店、大規模な小売店舗※等の閉鎖性があり、かつ、喫煙設備があ等、消費者の滞留性の強い施設内でたばこ販売を行う場合 ※売場面積が400㎡以上の店舗 |
一般小売販売業 | 特定小売販売業以外でたばこを販売する場合 |
要するに、
売場面積が広く、お客さんが長時間とどまる環境下での販売は「特定」、それ以外は「一般」ということですね。
製造たばこ小売販売業許可の概要
たばこ小売販売業を行う場合、営業所ごとに財務大臣の許可を取得する必要があります。
申請から許可取得までの大枠は下記の通りです。
実務上は、財務大臣ではなく、営業所の所在地を管轄する日本たばこ産業株式会社(JT)に申請を行います。
たばこ販売業許可の要件
たばこ販売業許可を受けるには、下記を全て満たす必要があります。
- 申請者に関する内容
- 営業所の位置
- 近隣のたばこ店との距離
- 自動販売機
- 取扱いの予定数
- 営業所の使用権限
- 法人の事業目的(法人の場合)
1.申請者に関する内容
申請者が下記に1つでも該当する倍、許可を取得することができません。
- たばこ事業法による罰金刑を受けて2年以内
- 破産者等のたばこ事業法に定める者に該当する場合
1-1.たばこ事業法に該当する者とは
たばこ事業法とは、たばこ産業の健全な発展と、たばこ税による財政収入の安定確保を目的とする法律で、下記を指します。
- たばこ事業法を根拠とした罰金刑以上の刑を受け、執行が終わってから2年を経過していない場合(※執行猶予含む)
- 申請前2年以内に、たばこ販売業に関する許可取消しを受けた場合
- 破産手続開始決定を受け、復権を得ていない場合
上記の他、財務省令で「たば小売販売業」を行うのに不適当と定められる項目に該当する人、申請者が法人の場合はその代表者、未成年者の場合はその法定代理人がこれらに該当する場合は、許可を受けることができません。
2.営業所の位置
営業予定地が袋小路に面している等、たばこの購入に際し、著しく不便と認められる場合には、許可を取得することができません。
3.近隣のたばこ店の距離
予定する営業所と最寄りのたばこ販売店との距離が、予定営業所の所在地の区分ごとに定める下表の基準距離に満たない場合には、許可を取得することができません。
3-1.地域区分とは
地域区分は、下表の通りです。
地域の区分 | 定義 |
---|---|
指定都市 | 人口50万人以上の市制施行地および東京都の特別区 |
市制施行地 | 上記以外の市制施行地(市) |
町村制施行地 | 町村制施行地(町村) |
3-2.環境区分とは
環境区分は、申請後にJTが現地調査を行い、この結果に基づき下表のように区分されます。
「遊興飲食施設」とは、遊技場、料理店、バー、喫茶店、劇場その他これらに準ずる施設をいいます。
「観光客施設」とは、観光地にある土産物店、旅館、その他観光客を対象とする施設をいいます。
「市街地形成施設」とは、遊興飲食施設、商店、観光客施設、銀行、官公庁、事務所、運動・レジャー施設、工場、その他これらに準ずる施設を言います。
「農地等」とは、農地、空地、その他これらに準ずるものをいいます。
3-3.距離要件の特例
距離を測定するにあたり、下記の特例が適用される場合があります。
特例 | 概要 |
---|---|
身体障害者等の特例 | 申請者が身体障害者等である場合、距離基準表の数値が8割に緩和されます この特例を適用する場合、病気その他正当な理由がある場合を除き、申請者自らがたばこ販売業に従事する必要があります |
休業店の特例 | 最寄りのたばこ販売店が正当な理由なく1か月以上休業している場合、予定営業店との距離を測定する必要はありません |
低調店の特例 | 最寄りのたばこ販売店の販売数量が一定数量以下の場合、「低調店」とみなし、距離の測定は不要です |
廃業跡地等の特例 | 予定営業所が、廃業跡地またはその周辺地域にあり、廃業日に処分未済の一般小売販売業の申請および廃業日の翌日から30日以内に受理した一般小売販売業許可申請の場合、原則、距離基準表における予定営業所の所在地が該当する欄の1つ左欄にある環境区分に応じた数値を適用されます |
大規模団地の特例 | 予定営業所が、店舗設置が制限される区域、かつ、300世帯程度以上の団地内に位置する場合、距離基準を満たしたものとみなされます 上記以外の大規模な団地内、または、団地の出入口から基準距離の範囲内、もしくは、その間にたばこ販売店があれば、そのたばこ販売店までの範囲内に位置する場合、距離基準表において環境区分の1左欄の数値が適用されます |
大規模交通施設の特例 | 予定営業所が、駅、バスターミナルその他の交通拠点の出入り口等から基準距離の範囲内、または、その間にたばこ販売店がある場合はその店舗までの範囲内に位置する場合、基準距離標において、環境区分の1左欄の数値が適用されます 予定営業所が、上記の交通拠点の周辺に位置する場合、最寄りのたばこ販売店が交通拠点を中心に、それぞれ明らかに異なる人の流れに面している場合には、距離の測定不要です |
繁華街等の特例 | 予定営業所が繁華街(A)、(B)、または、市街地に位置する場合、最寄りのたばこ販売店が予定営業所に面する街路を歩行する消費者から、直接かつ容易に見えない場合、距離の測定は不要です ただし、看板等により販売店の場所を認識できる場合は、特例適用対象外です 予定営業所と最寄りのたばこ販売店とが、地下同視の異なる道路に面している場合、または、往復合計4車線以上の道路を隔てて位置する場合、原則、距離の測定は不要です |
何だかややこしく見えますが、いずれも緩和要件なので、予定営業所の該当区域と併せて確認しましょう。
4.自動販売機
たばこ販売を自動販売機にて行う場合、満たすべき要件が「一般小売販売業」「特定小売販売業」で異なります。
4-1.一般小売販売業
一般小売販売業の場合、自動販売機の設置場所が店舗に併設されていない等、たばこの販売について、20歳未満の喫煙防止の観点から十分な管理・監督が難しい場所に設置することは認められません。
「店舗に併設」とは、自動販売機を店舗内に設置する場合、または、店舗内の従業員から利用者を直接かつ容易に視認できる店舗外に設置する状態を指します。
4-2.特定小売販売業
特定小売販売業の場合、自動販売機の設置場所が施設の従業員、または、自動販売機の管理責任者のいる場所から、自動販売機および利用者を、直接かつ容易に視認できない場所に設置することは認められません。
例外として、工場、事務所、その他において、当該施設に勤務する人等特定の人に限って自動販売機を利用することが認められる場合は、自動販売機の設置が認められます。
5.取扱予定数
予定営業所において、取扱予定高が月間4万本未満の場合、許可を取得することができません。
5-1.一般小売販売業の取扱予定高
下記の計算式により算出します。
供給見込区域は、予定営業所の半径1,000m内にある全ての既設営業所と予定営業所を放射状に線で結び、垂直2等分線で区分される区域であり、半径500m内の区域のうち、予定営業所に近い区域を指します。
一部、除外される地域もあるため、事前に確認しましょう。
5-2.特定小売販売業の取扱予定高
特定小売販売業の取扱予定高は、下記の計算式により算出します。
業態ごとの平均購入本数は、下表の通りです。
業態 | 本数 |
---|---|
交通機関の施設内 | 3.5 |
映画館、劇場等 | 4.5 |
レストラン、食堂等 | 5.5 |
事務所、工場等 | 5.5 |
喫茶店等 | 6.0 |
ホテル、旅館等 | 6.5 |
その他 (小売店を除く) | 4.5 |
上記の他、予定営業所において、入店客数がレシート等で確認できる場合、下記の計算式により算定した数を取扱予定高とすることができます。
このほかにも複数のが特例があるので、申請前に確認しましょう。
6.営業所の使用権限
予定営業所の使用に関し、正当な権限がなければ許可を取得することができません。
たばこ小売販売業許可を取得後、1か月以内に開業見込みがない場合も許可を取得することができないため、早めに準備をしましょう。
7.法人の事業目的(法人の場合)
申請者が法人の場合、定款や寄附行為によって定められる目的の範囲に「たばこの販売」が含まれていなければ、許可を取得することができません。
たばこ小売販売業許可の可否判定
たばこ小売販売業許可の可否判定は、原則、申請の受理年月日の早いものから審査、決定されます。
同日に申請が2件以上受理された場合等、申請者同士が競合関係にあるときは抽選になります。
たばこ小売販売業許可の条件
たばこ小売販売業許可が行われる場合、下記の条件が必ず付されます。
(1)一般小売販売業の場合
- 自動販売機を設置する場合、店舗に併設すること。また、自動販売機を道路等事故の使用の権利のない場所に設置しないこと
- 自動販売機により製造たばこを販売する場合、年齢識別装置を装備した自動販売機により、当該装置を常時作動させた上で販売すること
(2)特定小売販売業の場合
- たばこの売場は施設内に向けて設置し、看板等をその施設外に掲出しないこと
- 施設内に喫煙施設を設けること
- 自動販売機を設置する場合、施設の従業員または管理者等 二十歳未満の者の喫煙防止の観点から当該自動販売機の管理責任者のいる場所から当該自動販売機およびその利用者を直接かつ容易に視認可能な場所に設置すること
- 自動販売機により製造たばこを販売する場合、年齢識別装置を装備した自動販売機により、当該装置を常時作動させた上で販売すること
たばこ小売販売業許可に必要な書類
申請書(Word)のほか、下記の書類が必要です。
- 誓約書
- 住民票の抄本またはこれに代わる書類(個人の場合)
- 法人の登記事項証明書(法人の場合)
- 破産者または禁治産者に該当しない旨の証明書
- 登記されていないことの証明書(個人の場合)
- 定款または寄附行為(法人の場合)
- 予定営業所の位置を示す図面
- 予定営業所の所有者の同意書または賃貸借契約書の写し(自己所有の場合は不要)
- 二十歳未満の者の喫煙防止に係る誓約書(自動販売機を設置する場合)
上記の他、「未成年者の登記事項証明書」「身体障害者手帳の写し」等、必要に応じて求められる書類がありますので、事前に確認しましょう。
たば小売販売業許可の申請先
たまご小売販売業許可の申請先は、営業予定地を管轄する日本たばこ産業株式会社(JT)の支社です。
かかる費用
たばこ小売販売業許可申請に問題がなければ、JTより「納付書」「登録免許税領収書提出書」が送付されます。
登録免許税15,000円を金融機関にて納付し、領収書を貼付して、登録免許税領収書提出書をJTに提出しましょう。
許可の期限
予定営業所の場所、または、出張販売所が、博覧会会場等の開催期間が定められている場所、または、海水浴場もしくはスキー場等季節的な需要に対応する場所である場合、特段の事由がない限り、これらの開催期間等の最終日が許可期限の最終日とされます。
営業所の仮移転の場合、原則、1年の範囲内で必要と認められる範囲が期限となりますが、正当な理由がある場合、この期限を更新してもらうことができます。
許可取消し、営業停止の要件
下記のいずれかに該当する場合、許可の取消し、または、1か月以内の営業停止になる場合があります。
- たばこ事業法の規定に基づき罰金以上の刑に処されたとき
- 許可条件に違反したとき
- 許可を受けないで営業所の移転または出張販売を行ったとき
- 製造たばこを定価外で販売し、または、注意表示を消去し、もしくは変更して販売を行ったとき
- 小売販売業の承継、休止、商号等の変更に係る届出手続をしなかったとき、または、虚偽の届出を行ったとき
- 営業停止に応じなかったとき
- 破産手続開始決定を受けたとき
- 正当な理由がなく、許可を受けてから1か月以内に営業を開始しなかった、または、1か月以上営業を休止したとき
- 不正手段により、たばこ小売販売業許可を取得したとき
- 二十歳未満の物の喫煙の禁止に関する法律第5条の規定に違反し、処罰されたとき
- 法人の場合、その代表者が違反事項に該当するとき
- 許可者が未成年者の場合、その法定代理人が違反事項に該当するとき
たばこ小売販売業許可の要件、手続、注意点まとめ
当ページでは、たばこ小売販売業許可の要件、必要な手続と注意点を解説しました。