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問18
次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.客席部分の床面積の合計が300㎡の映画館については、第二種住居地域内において建築することはできないが、準住居地域内においては建築することができる。
2.特定用途誘導地区内において、都市計画で建築物の高さの最高限度が定められていたとしても、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したものについては、当該最高限度を超えてよい。
3.計画しようとする建築物の天空率が、道路斜線制限、隣地斜線制限又は北側斜線制限に適合する建築物の天空率未満であれば、これらの制限は適用されない。
4.都市計画で建蔽率の限度が80%に指定されている区域かつ防火地域内にある耐火建築物について、建蔽率の限度を超えるためには、特定行政庁による許可を得る必要がある。
Contents
正解:2
1:誤り
第2種住居地域では、映画館の建築が規制されることはなく、本肢は誤りです。
(補足)第2種住居地域で規制される建築物とは
下記の建築物は、原則、第2種住居地域では建築することができません。
建築物の種類 | 面積要件 | 概要 |
---|---|---|
劇場・映画館 | 床面積500㎡以下:可能 | 基準を超えるものは住環境に影響を及ぼすため、建築不可 |
店舗・事務所 | 床面積1,500㎡以下:可能 | |
風俗関連施設 | 面積問わず不可 | パチンコ店や風俗店など全面禁止 |
ボウリング場・スケート場 | 床面積300㎡以下:可能 | 大規模な娯楽施設は建築不可 |
工場 | 小規模のみ可能 | 住環境を損なわない範囲において建築可能 規模や内容に応じ、個別に判断 |
危険物施設 | 面積問わず不可 | 石油タンクや火薬庫など、危険物を取り扱う施設は全面禁止 |
倉庫 | 小規模のうち、条件付で可能となる場合あり | 商業用倉庫、大規模倉庫は不可 |
具体的な面積要件や規制内容については、各自治体の条例や都市計画により細かく異なるため、実務を行う上で、事前確認が大切です。
2:正しい
特定用途誘導地区では、都市計画で定められた建築物の高さに関する最高限度は、原則、守る必要があります。
ただし、特定行政庁がやむを得ないと認め、許可した場合には、例外として限度を超える高さで建築することが可能です。
したがって、本肢は正しいです。
(補足)特定用途制限地域とは
特定用途誘導地区とは、都市計画法に基づき指定される都市計画の1つで、特定の用途の建築物を集約的に誘導する目的の地区を指します。
この地区では、都市の土地利用を効率的かつ計画的に進めるために設定され、特定の目的や機能に応じたまちづくりを促進します。
商業施設の集約や工場、物流施設を特定の区域に誘導し、住居地域との環境問題を回避するなどの事例が考えられます。
3:誤り
天空率による緩和規定が適用されるのは、その建築物が「天空率基準」に適合する場合に限られます。
したがって、「天空率未満の場合、制限が適用されない」とする本肢は誤りです。
(補足)天空率とは
天空率とは、建物と空が見える割合を基準とする規定を指し、建物の形状が周囲の空間に与える影響を評価するために用いる指標です。
天空率が一定基準に適合する場合、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限などの斜線制限が緩和されますが、制限を完全に適合しないわけではない点に注意が必要です。
4:誤り
防火地域内の耐火建築物について、建ぺい率の緩和規定が適用されます。
これは、都市計画で指定された限度を超えることを当然に認めるものであり、別個に特定行政庁の許可を得る必要はありません。
したがって、本肢は誤りです。
(補足01)防火地域内の耐火建築物はなぜ建ぺい率が緩和されるのか
防火地域内の耐火建築物は、一般的に火災に強い構造であり、建物が密集する地域でも安全確保が可能と考えられます。
そのため、都市計画で定める建ぺい率を超える場合でも認められるケースがあります。
ただし、当緩和規定は法令に根拠を置くものであり、特定行政庁の許可を得る必要がない特徴を持ちます。
(補足02)耐火建築物について建ぺい率の緩和が適用される区域とは
耐火建築物に対する建ぺい率の緩和について、防火地域または準防火地域に該当する区域内にて適用されます。
この際、緩和される範囲は都市計画で定められる建ぺい率上限を超えない範囲に留まります。
防火地域 | 耐火建築物 | 1/10 |
準耐火建築物 | 緩和なし | |
準防火地域 | 耐火建築物 | |
準耐火建築物 | ||
特定防火地域 | 耐火建築物 | 条件により追加の緩和が認められる場合あり |
準耐火建築物 | 緩和なし |