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当ページでは、被害届と告訴状の違いを解説します。
Contents
被害届とは
被害届とは、警察等の捜査機関に対し、犯罪の被害に遭った事実を申告する書類をいいます。
被害届を提出するには、被害者自ら警察署に足を運び、用意された被害届の書式に必要事項を記入し、提出するほか、警察官が内容を聞き取り、代書する場合もあります。
(1) 被害届の作成
被害届は、警察署または派出書にて提出することができます。
記載内容は下記のとおりです。
- 被害者に関する情報
- 被疑者に関する情報
- 被害に遭った日時、時間帯
- 被害に遭った場所
- 被害の内容と程度、品物
- 被疑者の動機や意図、疑う理由
- 被害状況、犯行態様など
(2) 被害届の提出方法
被害届は、下記の方法で提出することができます(出典:犯罪捜査規範 第61条、第62条)
- 被害者自身で被害届を作成、警察署に提出
- 警察官が被害届を代書して受理
- 警察官が被害者から話を聞き、作成して受理
告訴状とは
告訴状とは、被害者が刑事告訴を行うために作成する書類を指します。
加害者に何らかの処罰を求める場合、被害届だけでなく、告訴状を作成・提出する必要があります。
(1) 刑事告訴と刑事告発の違い
刑事告訴と似たものに、「刑事告発」があります。
刑事告発とは、被害者以外の第三者が捜査機関に犯罪の事実を申告し、加害者に処罰を求める手続きをいいます。
両者の違いは、申請者が被害者本人であるか、第三者であるかにあります。
(2) 告訴できる人
告訴できるのは、下記に該当する人に限られます。
- 被害者
- 親権者・後見人など、被害者の法定代理人
- 被害者が死亡した場合、被害者の配偶者、直系親族、兄弟姉妹
告発については、告訴権者以外の第三者が行うことができます。
(3) 告訴状の様式
告訴状は、決まった様式はありませんが、一般的には下記のように作成します。
用紙 | A4サイズ(縦) |
タイトル | 「告訴状」 |
文字サイズ | 明朝体で10.5~12pt程度 |
提出年月日 | 空欄にし、受理された際に書き込み |
宛名 | 警察署に提出する場合:「○○警察署長殿」 検察に提出する場合:「○○地方検察庁検察官殿」 |
告訴人 被告人 | 住所 職業 氏名(「告訴人 ○○○○」または「被告訴人 ○○○○」と記載) 生年月日 電話番号 FAX番号(ある場合) |
告訴の趣旨 | 該当すると考えられる罪名、根拠法と条文を記載 |
告訴事実 | 犯罪の経緯、事情、詳細などを記載 |
告訴の事情 | 犯罪が起きた背景、発生時の状況、告訴に至った経緯などを記載 |
立証方法 添付書類 | 医師が作成する診断書、目撃者による陳述書等を添付 |
その他 | 項番を振る 「~である」または「です・ます」を用い、丁寧な口語体にて作成 |
被害届と刑事告訴の違い
被害届と刑事告訴の違いは、下記のとおりです。
- 加害者への処罰希望
- 捜査機関の義務
- 手続の難易度
1. 加害者への処罰希望
被害届の場合、加害者への処罰を求める意図はなく、単に被害に遭った事実を知らせるのみにとどまります。
一方、告訴状の提出は、加害者への積極的な処罰希望を示すものです。
告訴は、「[名](スル)犯罪の被害者、およびそれに準じる者などが、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めること。」と定義づけられていることからも、強い処罰希望を示す手段となり得るのがわかりますよね(出典:goo辞書「こく-そ 【告訴】」より)
2. 捜査機関の義務
被害届の場合、捜査機関への犯罪事実を申告するのみにとどまり、捜査機関は何らの義務も負いません。
一方、告訴状による刑事告訴の場合、捜査機関には告訴の調書作成義務が生じるだけでなく、捜査に伴う書類・証拠等を検察官に送付する義務を負います。
告訴状が受理されると、必ず捜査が行われ、検察官による起訴・不起訴の処分が行われますが、被害届の場合には、捜査・書類送検ともに約束されるものではありません。
3. 手続きの難易度
被害届の場合、警察署に備えられる書式に必要事項を記入し、提出すれば完了するのに対し、刑事告訴の場合は、告訴状の作成に加え、証拠をそろえる必要があります。
また、告訴に伴い、該当する罪名等を明らかにする必要があるため、ある程度の法知識が求められるため、被害届よりもハードルは高くなります。
どちらを提出すべきか
被害届と告訴状、いずれを提出すべきか悩むこともあるかと思いますが、法律上、双方を同時に提出することが可能です。
被害届の方が受理されやすいため、先に被害届を提出し、刑事告訴の準備を進めるのがベターかと思います。
時効期間に注意
原則、被害届には早期に完成する事項は定められていませんが、下記の期限内に提出する必要があります。
殺人罪 | なし |
放火罪 (現住建造物等放火罪) | 25年 |
強盗致傷罪 | 15年 |
強盗罪 傷害罪 強制性交等罪 | 10年 |
窃盗罪 詐欺罪 恐喝罪 | 7年 |
横領罪 | 5年 |
被害届と告訴状の違いまとめ
当ページでは、被害届と告訴状の違いを解説しました。