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立ち退き料が必要な場合、金額の相場、退去までの流れを解説

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当ページでは、アパートの取壊し等による立ち退きに際し、立ち退き料が必要な場合と相場、計算方法、実際に立ち退きに至るまでの流れと交渉時のポイントを解説します。

借主向けの解説です。

立ち退き料とは

立ち退き料とは、貸主の都合により借主に退去してもらう際、損害を補償する目的で支払われる金銭を指します。

ただし、立ち退き料は法律に定められているわけではなく、支払義務が発生するわけではない点に注意が必要です。

立ち退き料が必要な場合

下記に該当する場合、立ち退き料が必要となる可能性が高いです。

  1. アパートを建て替える場合
  2. 貸主が賃貸物件を取壊し、別の建物を建てる場合
  3. 再開発等により、建物を解体する場合 など

立ち退き料が不要な場合

いっぽう、下記に該当する場合には、立ち退き料は不要だと考えられます。

  1. 借主側に契約違反があった場合
  2. 一時使用目的で賃貸借契約を結んでいる場合
  3. 自然災害等により、建物に重大な危険が発生した場合
  4. 契約時において、取壊し等が決定していた場合 など

アパート立ち退き料の相場

立ち退き料の金額について、「借主が立ち退きにより被る損失を補塡する金額」であることが望ましく、一般的には、賃料の6か月から10か月程度とされます。

具体的には、新居を借りるためにかかる費用、立ち退くアパートと新居の賃料の差額分、引っ越し費用等が挙げられますが、この他にも損害が生じた場合、立ち退き料の増額に繋がる可能性があります。

立ち退き料の計算方法

立ち退き料を算出するには、下記の計算方法を用います。

収益還元方式借家権=(新居の支払賃料-現在の支払賃料)×複利年金現価率
割合方式借家権=(土地価格×借地権割合×借家権割合)+(建物価格×借家権割合)
収益価格控除方式借家権=自用としての土地建物価格-借家としての土地建物価格

1. 収益還元方式

収益還元方式とは、不動産の収益性に着目した評価方法を指し、対象不動産が将来生み出すであろう収益を基礎に算出します。

具体的には、新居の賃料から現在の賃料を差し引いた金額に、複利年金現価率という現在価値を求めるのに使用する係数をかけて算出します。

複利年金現価率は、国税庁ホームページ「令和5年分の基準年利率について」にて確認することができます。

2. 割合方式

割合方式とは、土地の価格に「借地権割合」「借家権割合」をかけ、借家権を算出する方法を指します。

借地権割合とは、土地の価格に占める借地権の価格割合を指します。

借家権割合とは、土地建物の相続税評価額を計算式に算入した割合を指します。

借地権割合は、国税庁が発表する「財産評価基準書」にて確認することができ、借家権割合は、全国一律30%です。

3. 収益価格控除方式

収益価格控除方式とは、物件を課していることで、当該物件の価値が本来より下がっていることを考慮し、借地権を算出する方法を指します。

借家として貸す場合、不動産の価格が下がる場合には、自用として利用した分との差額が借地権に相当すると考えられるため、立ち退き料が高くなる可能性があります。

立ち退きまでの流れ

実際にアパートを立ち退く場合、下記の流れで進んでいきます。

1. 立ち退き説明会の実施

アパートの解体等を理由とした立ち退きの場合、入居者向けに立ち退き説明会を実施するのが一般的です。

アパートの解体理由、退去期限、立ち退き料に関する説明が行われます。

2. 立ち退き料、敷金返還等の交渉

貸主が提示した内容に納得がいかない場合、個別に交渉を進めます。

3. 退去開始

貸主・借主同士が合意に至ると、退去を開始します。

立ち退き料の支払時期は、立ち退き完了後の場合が多いものの、当事者間で合意に至れば、立ち退きの前に支払われることもあります。

立ち退き料を支払ってもらえない場合の対処法

貸主が立ち退き料を支払わない場合、支払われるまでの期間中、借主は退去を拒否することができます。

ただし、この場合にはトラブルに発展する可能性が高く、最終的に訴訟で争うことも視野に入れる必要があるため、早めに弁護士等へ相談しましょう。

立ち退き料に関する交渉の注意点

立ち退き料に関し、貸主と交渉する際は下記に注意しましょう。

1. 契約違反、賃料を滞納しない

賃貸借契約の期間中において、契約に反する行為のほか、賃料を滞納しないようにしましょう。

万が一、契約違反や賃料の滞納が認められる場合、立ち退き料の交渉以前に、強制退去となる可能性があります。

2. 貸主の事情を考慮する

交渉に臨む際、自身の希望・主張ばかりを貫くと押し問答となり、話し合いが長期化する可能性があります。

このため、まずは貸主側の事情を把握し、互いに納得できる落としどころを探しましょう。

3. 金銭以外の補塡も検討する

退去に際し、金銭による補償を希望が通らない場合、下記を検討しましょう。

  1. 敷金を先に返してもらう
  2. 原状回復費を免除してもらう
  3. 再建の場合、入居の確約をとる
  4. 代替物件を提供・紹介してもらう
  5. 退去までの賃料を免除してもらう など

流動性の高い金銭での補償が最も助かりますが、何に対して補償してほしいのかという本質を失わず、互いにとっての最適解を探すのも早期解決のポイントです。

立ち退き料が必要な場合、金額の相場、退去までの流れまとめ

当ページでは、アパートの退去について、立ち退き料が必要な場合と金額の相場、退去までの流れを解説しました。

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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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