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商標が無断で使用されていると感じたことはありませんか?
自分のブランドやロゴが他人により無断で使われると、ビジネスに大きな影響を与える可能性があります。商標権は、あなたのアイデンティティを守る強力な武器です。しかし、実際に無断使用を発見した場合、どう対応すればよいのか分からないこともあるかと思います。
当ページでは、商標が無断使用された場合の具体的な対処法と、その際に気を付けるべき大切なポイントをわかりやすく解説します。無断使用を防ぐ予防策や、もしもの時にどう行動すべきかを知ることで、あなたのビジネスを守る力を強化しましょう。
1. 商標とは
商標とは、商品やサービスを他と区別するのに使用する識別のためのマーク、名前、ロゴ、スローガンなどをいいます。商標を使うことで、消費者に対し自分のブランドや商品の発信元と、品質を示すことができます。例えば、以下のようなものが商標に該当します。
ロゴ | Nikeのスウッシュマーク スターバックスの丸いロゴ |
名称 | Coca-Cola、Appleなどのブランド名 |
スローガン | 「Just Do It」(Nike) 「Think Different」(Apple) |
商標を登録することにより、他の人が同じ商標や似た商標を使うことを法律で防ぐことができますが、登録しなければ自分のものとして保護されません。またこの登録は全世界に通用するわけではなく、事業を行う地域と業界内でのみ効力を持つという特徴があります。
例外として、未登録の商標であっても、使用実績を根拠に権利を主張できるケースもありますが、登録することで証拠を明確にし、権利をしっかりと守ることができます。
2. 無断使用された場合、どうすればよいか
商標を無断で使用されるということは、ブランドや商品の信頼性を損ねるだけでなく、法律的な問題も含みます。以下で対応策を説明します。
2.1 証拠を集める
無断使用を確認したら、大小関わらず証拠を集め、後の交渉や法的手続きに備えましょう。具体的には以下を集めます。
ウェブサイト | 相手が商標を使っているページのスクリーンショット →URL、日付がわかるように撮影 |
商品パッケージ | 商標が使用されている商品やパッケージ →現物だけでなく写真でも可 |
広告・ポスター | 相手が商標を使った広告や宣伝資料 →媒体は問わない |
SNS等の投稿 | 相手のソーシャルメディアでの商標の使用 |
証拠は日付とともに保存し、何が、どこで、どのように使われていたか、を明確にします。
2.2 相手に連絡する
証拠を集めた後、無断使用をしている相手方に連絡を取ります。
まずは、穏便に「商標権を侵害している可能性がある」ことを伝え、相手に問題を認識してもらいましょう。このとき、商標登録証等を添付し、自分の権利を証明できるよう準備を整えておきます。
書面での通知 | 電話やメールでの連絡も可 書面の場合、内容証明郵便などで通知し、証拠を残します |
内容 | ・商標登録証など自分の権利を証明するもの ・無断使用されている箇所 ・使用の停止を求める旨 など |
2.3 警告書を送る
相手方から回答がない場合や、使用を続けている場合、正式な警告書を送付します。この書面では、商標権侵害を強く指摘し、使用停止を要求します。警告書には、使用停止期限や法的措置を取る場合の具体的な手段も記載します。
法的措置の警告 | 商標法を根拠に、無断使用を続けた場合、訴訟(裁判)や損害賠償を請求する旨を明記 |
代理人 | この段階で代理人として弁護士に依頼することで、相手の精神にプレッシャーをかける効果が期待できます |
2.4 法的措置を検討する
警告書を送っても使用が続く場合、商標法に基づき、裁判所に訴えを起こすことができます。この際、損害賠償を求めることができ、相手に対し、経済的な責任を問うことも可能です。
訴訟手続き | 商標権侵害が確実である場合、裁判所に訴訟を起こし、侵害の停止と損害の賠償を求めることができる |
損害賠償請求 | 商標の不正使用によって生じた損害について、相手方に賠償を求めることができます 賠償額は、相手が得た利益や被った損害に基づいて決まります |
3. 注意点
商標を守るために大切なポイントについて、さらに具体的に解説します。
3.1 商標登録をする
商標を守る手段として、大切なのは商標登録を行うことです。なぜなら、商標登録をしない限り、他人が同じ商標を使用していても、法的に対抗することができないからです。例えば、あなたが「〇〇カフェ」という名前でカフェを開業し、商品・サービスを提供している場合、他の誰かが同じ名前を使い、似ている商品・サービスを提供しているのを発見しても、商標登録を経ていなければ手も足も出せません。
商標登録をする場合、以下の点に注意しましょう。
【重要】登録を検討するタイミング
登録を検討するタイミングは、商標を使い始めた段階です。「まだ認知度も低いし…」と思われるかもしれませんが、商標を使用し始めた段階で登録を行うことで、商標の使用開始日を証拠として明確に残すことができます。例えば、商標を使用していなくても、後から他の企業が同じ商標を登録する可能性があります。商標を登録しておくことで、自分の使用開始日を証拠として主張でき、後にトラブルが発生した場合に優位に立つことができます。
また、商標法では、商標を先に使用した者に対して権利を認める場合がありますが、そのためには商標を証明するための確固たる証拠が必要です。商標登録を早期に行うことで、他の誰かが後から同じ商標を使い始めたとしても、先に使っていたことを証明しやすくなります。
商標が登録されていると、消費者や取引先に対して信頼感を与えることができます。「登録商標」というマークを使用することで、あなたのブランドが公式に保護されていることが伝わります。特に初期段階では、認知度が低いため、商標を登録することで他社との差別化を図りやすくなります。
そもそもですが、商標を使用し始めたばかりの段階で、まだ認知度が低い状態では、他の企業が無断で同じ商標を使用するリスクが高いといえます。商標登録を早期に行うことで、無断使用を防ぐための法的権利が確立し、他社による不正使用を監視しやすくなります。特に、競合が多い市場では、早めに登録しておくことがリスク管理に繋がります。
商標を登録するタイミングが遅れると、他の企業や個人が同じ商標を使用し始めることがあります。自分の商標が他者によって登録されると、後から変更を求められる場合や、新たに別の商標を考えなければならなくなるため、時間とお金が無駄になる可能性があります。早期に商標を登録しておけば、将来的に事業を拡大する際も、同じ商標を守りやすくなります。
商標を使い始めた段階で、他者がすでに同じ商標を使用している場合、後から商標を登録しても他者の権利を侵害することになりかねません。そのため、認知度が低いうちに登録しておくことで、後々の法的トラブルを回避できます。商標権を早期に取得することで、他社との衝突を避けるための防御策となります。
商標登録の範囲
自分の商標をどの範囲で守るかを考慮する必要があります。例えば、同じ名前でも、商品やサービスの種類が異なる場合には、商標として登録できる場合があります。自分のビジネスがどの程度拡大するかを見越して、必要に応じて他の類似商標も登録しておくと、後のトラブルを防ぐことができます。
商標登録の手続き
商標登録は、特許庁に申請し、登録を経ることで完了します。申請書類には、商標の種類(ロゴ、名前、スローガンなど)や使用している商品・サービスの範囲を記入します。手続きには一定の時間がかかるため、なるべく早めに行うことが推奨されます。
3.2 監視を続ける
商標登録後は、登録商標が適切に守られているかを定期的に監視する必要があります。商標を登録したからといって、他人の無断使用を完全に防げるわけではありません。監視の方法として、以下の手段が考えられます。
インターネット検索
自分の商標が無断で使われていないか、定期的にインターネットで検索しましょう。特に、SNS(X、Instagram、TikTokなど)やオンラインショップをはじめ、商標が使われやすい場所を定期的にチェックします。
商標監視サービスの利用
「商標監視サービス」とは、特許庁に出願されている商標を定期的にチェックし、自分の商標と似たものが出願された場合に通知が届くものです。これにより、他の誰かが同じ商標を登録しようとしている場合、早期に発見し、対策を取ることができます。
取引先や業界内での情報収集
自分の商標を使っている企業や人々がどのような動きをしているか、業界内での情報収集を行うことも重要です。競合や関連業者が不正に商標を使う場合もあるため、積極的に情報を収集しておくことで早期に対応できます。