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Contents
1. はじめに
普段、あなたが買い物をする際、「消費税」を支払っているかと思います。しかし、消費税がどのように決まり、どのような人が支払い、どんな基準でその金額が決まっているか、きちんと理解している人は少ないのが現実です。
2025年4月1日、消費税を納めるべき事業者の基準が変更となります。この変更により、今まで消費税を納める必要がなかった中小事業者にとって、少々面倒なことが起きるかもしれません。
当ページでは、この変更に関するポイントをできる限りわかりやすく解説します。
2. 消費税の免税事業者とは?
はじめに、「免税事業者」について理解しましょう。
免税事業者とは
免税事業者とは、年間売上が1000万円以下の事業者のことを指します。
例えば、地元で小さなカフェを営む人や、ハンドメイドアクセサリーをオンライン販売する人が該当します。これらの事業者は、消費税を納めなくてもいい、つまり、お客さんからも消費税を取らないというルールが適用されます。
ここで気をつけたいのは、消費税を納めなくていいのは「売上が1000万円以下だから」だということ。逆に言えば、それ以上の売上があった場合、消費税を納めなければなりません。
このルールが、2025年4月1日から少し変わることになります。
3. 改正で何が変わるのか
2025年4月1日から、消費税を納めなくてもいい免税事業者の基準が引き下げとなります。つまり、今まで消費税を納める必要がなかった人たちが、突然納める必要が出てくる可能性があるということです。
具体的には、これまでの1000万円の基準が下がり、売上が800万円を超えた場合、消費税を納めなければなりません。この200万円の差は、事業者にとって大きな影響を与えることとなります。
例:ハンドメイドアクセサリーを売るAさんの場合
例えば、ハンドメイドアクセサリーをネットで販売するAさんが、今年1年間で800万円売り上げた場合です。今までのルールであれば消費税を納める必要はありませんが、この基準変更により、来年から消費税を徴収し、納める義務が生じるのです。Aさんがこれに備えていなければ、税務署から急な指摘を受ける形となり、焦ってしまうことになりかねません。
4. 小規模事業者に与える影響
ここからが重要なポイントです。この改正により中小事業者にどのような影響が及ぶのか、もう少し掘り下げましょう。
例1:カフェを経営するBさんの場合
たとえば、小さなカフェを経営するBさん。年間の売上が750万円だった場合、ルールの新旧を問わず、消費税を納めなくても良い免税事業者に該当します。しかし、2025年4月からはその基準が引き下げられ、売上が800万円を超えると、消費税を納める義務が生じることになりますね。
Bさんが急に消費税を納めなければならなくなった場合、今までより税務処理が面倒になりますし、税金の発生により利益(手取り額)が減る可能性が生じます。特に、小規模事業者にとっては、消費税を納める準備は難しい場合が多いです。
例2:開業したばかりのCさんの場合
例えば、事業を始めたばかりのCさん。税に関する知識が浅く、納税前提の会計処理の方法や記録をつける習慣そのものがない場合がある。消費税を納めるには、売上だけでなく、仕入れや経費についてもきちんと管理しなければなりません。そのため、税金額の計算や報告はかなり複雑になります。税務署への申告も必要となり、確定申告の準備が大変になるのは言うまでもありません。
そもそも、この改正に対し、事業者たちは経済的な負担を感じる可能性もあります。消費税を納めるということは、結局、お客さんからその分を集める必要があり、商品の本体価格は変わらずも、消費税分の金額を上乗せせざるを得ないケースも出てくるのです。
これが、消費者にとってはあまり嬉しくないニュースになるかもしれません。
5. 求められる対応
では、現在事業を行っている人は、今回の基準変更に対し、どう備えればいいのでしょうか。
1.売上の管理をしっかり行う
最も大切なのは、売上を正確に把握することです。特に、免税基準が引き下げられた場合、売上がどれくらいかを毎月確認しておくことが非常に重要です。
(1)毎月の売上を記録し、定期的に確認
例えば、毎月末日に売上を集計し、年間の売上額を簡単に予測できるようにしておきましょう。これにより、年間売上が免税基準の800万円に到達するかどうかを予測でき、必要に応じ、次年度の消費税納税に備えることができます。免税の可否を知ることで、精神的な健康を良好に保てるかと思います。
これらの把握には、売上計算をシンプルなエクセルシートやfreee、マネーフォワード等のクラウド会計ソフトを使用すると便利です。
(2)年間売上750万円の場合でも…
1月~12月の売上額が、それぞれ50万円、60万円、70万円でしたが、その年は年間売上が750万円だった場合(12か月中1月だけが70万円、他が50万円または60万円で推移した事例です)。
仮に、8月の売上額のみ250万円であれば、8月を除くすべての月の売上が50万円だったとしても、年間売上額が800万円を超える可能性は高いと考えるでしょう。
この場合、「超えてから考える」では確定申告の段階で大騒ぎになり、仕事が手につかない事態が考えられます。そうならないように、「超えるかもしれない」と考えられる場合には、すぐに税務署への相談準備を始めましょう。
2.帳簿をしっかりつける
事業者として、帳簿をつけることは税金計算の基本です。これから消費税を納める場合、売上だけでなく、仕入れや経費もきちんと管理する必要があります。
売上を記録するだけでなく、商品を仕入れた時の費用(仕入れ税額控除)や経費(通信費、旅費交通費など)についても記録しましょう。帳簿をつけることで、確定申告の際に焦る必要がなく、税務署への提出がスムーズになります。税理士に依頼する場合でも、帳簿が整っているとよりスムーズで、具体的な相談ができます。
例:仕入れの際に5万円をしはらった場合
商品を仕入れる際に5万円(内税5,000円)を支払った場合、仕入れ費用として5000円の消費税は控除できる可能性があります。そのためには、仕入れ時の領収書をきちんと保管しておく必要があります。
帳簿を付ける方法として、会計ソフトを利用すると自動で経費や仕入れを計算してくれるのでお勧めです。最近では、多くのソフトが口座との自動連携や領収書の画像読み取りに対応していますので、あなたが使いやすいソフトを見つけましょう。
3.税務署に相談する
日常の会計処理や納税について、不安や疑問があるときには税務署に相談しましょう。税務署では、国税を管理しており、事業を営む上で必要となる情報や、適切な手続きに関する相談対応を行っています。
(1)税務署への相談
税務署に相談するには、管轄となる税務署を確認することから始めましょう。国内には複数の税務署があり、あなたの住んでいる地域と事業を行っている地域を管轄する税務署は異なります。事業に関するご相談は、事業所がある地域を管轄する税務署です。
管轄の税務署は、インターネットで「税務署 所在地」や「管轄税務署 名前」で検索することができます。たとえば、「東京 税務署」で検索し、ご自身が事業を行う地域を管轄する税務署を確認する方法がこれに該当します。
(2)電話での事前相談
消費税についてよくわからない点や、納税の開始時期について不安な場合、電話での事前相談が便利です。
一般的に、各税務署には電話窓口が設置されており、営業時間内であれば対応してもらえます。
この際、できる限り相談内容は明確にしましょう。例えば、「現在の年間売上が750万円ですが、来年、売上が800万円を超える場合、消費税の納税義務は発生しますか。」「消費税を納める場合、どのような書類と手続きが必要ですか。」などです。
電話相談のポイント
電話相談を行う際は、事前に質問内容をメモしてスムーズに進められるようにしましょう。必要なら、事前に必要書類や手続きについても尋ねましょう。更なる疑問点や付属書類が必要な場合もありますが、まずは基本的な流れを知ることが肝心です。
この際、税務署の担当者は必ず名乗りますので、控えておくと次回以降の相談がスムーズになります。
(3)書類準備と実際の相談
電話で事前に確認した内容に加え、必要書類を持参し、税務署を訪れましょう。
必要書類
- 事業開始届(未提出の場合)
- 帳簿や売上明細(売上額が記載された書類)
- 消費税に関する計算書(年間の売上額が800万円を超える場合)
相談内容
- 消費税の納税義務が発生するタイミングの確認
- 帳簿のつけ方、経費の管理方法など疑問点
- 消費税の申告方法、支払いのタイミング など
訪問時のポイント
税務署を訪れる際は、事前に相談内容をまとめ、税務署の担当者がわかるように説明しましょう。
疑問点や不明な点はできる限りその場で質問し、納税義務が始まる時期や必要な準備を正確に把握することを意識しましょう。
(4)納税義務発生後の手続き
実際に、年間の売上額が800万円を超えた場合、納税義務が生じます。このタイミングで確定申告となり、消費税を納める準備を行いましょう。
申告期間
通常、確定申告は翌年の2月16日~3月15日の間に行います。
納税方法
確定申告後、納税額を確認して納税となります。納税方法も税務署で確認し、納税手続きを行う場所(銀行やコンビニなど)を把握しましょう。
例えば、事業売上が800万円を超えたばあい。翌年の確定申告期間に消費税を納める手続きが始まります。事前に、税務署訪問時に必要な書類と手続き方法を確認しておくと、申告期日に向け余裕をもって準備することができます。
上記の方法のほか、必要に応じて、税理士への相談もお勧めです。税理士は、確定申告書の作成や日常の仕訳などについてアドバイスをくれます。
申告書の記入には誤りがないように気をつけ、必要書類を準備しましょう。
4.消費税の理解を深める
最後に、消費税の納税義務を負う場合、お客さんから消費税を集める必要があります。これにともない、消費税の取り扱いも検討することになります。
(1)消費税の取り扱いを統一
それまで消費税を徴収していなかった事業者が、年の途中から消費税を徴収する場合、徴収した部分は税務署に納めなければなりません。そのため、集めた金額がどう使われるかを理解しておくと、納税を前向きに捉えられるかもしれません。
会計処理に関していえば、免税事業者から課税事業者になった場合、その日から商品やサービスに消費税を加算して売ることになります。売上に対する消費税は帳簿に記録し、納税の義務が生じます。そのため、消費税を納めるための準備が必要ですね。
販売時の消費税額も大切ですが、同時に、仕入れの段階で払った消費税も適切に仕入税額控除として引ける場合があります。そのため、こうした部分も正確に記録しておくと安心です。
6. まとめ
2025年4月1日から、消費税法の改正が実施され、中小事業者が新たに消費税を納める可能性が出ています。これまでは免税だった人たちは、急に税金を納めなければならない状況が訪れるかもしれませんので、早めの準備が吉です。
特に、小規模事業者やこれから事業を始めようと考えている人は、税金のルールをしっかり理解して、困らないようにしましょう。
参照法令:
- 消費税法第9条(e-Gov法令検索)
※免税事業者に関する規定(消費税法の内容を参照)
出典元:
- 国税庁ウェブサイト
消 費 税 法 等 改 正 の お 知 ら せ(令和6年4月国税庁)
消費税の事業者免税点制度の在り方についての一考察 - 経済産業省ウェブサイト
令和7年度税制改正について