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問19
宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。
1.都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。
2.都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害を防止するために必要があると認める場合には、その土地の所有者に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。
3.工事主は、宅地造成等工事規制区域において行われる宅地造成等に関する工事について、工事着手後2週間以内に、宅地造成等に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該宅地造成等に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
4.特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する工事については、工事主は、当該工事に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、当該工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の発生のおそれがないと認められるものとして政令で定める工事については、この限りでない。
正解:3
この問題では、盛土規制法(正式には「宅地造成及び特定盛土等規制法」)の内容を問うものです。
立入り拒否や妨害の違法性と罰則、工事着手前後における義務の区別、災害防止措置と罰則の有無はよくある出題パターンですので、根拠条文をしっかり学習しておくと良いでしょう。
1:正しい
盛土規制法第28条第1項に規定されている内容です。
都道府県知事には、調査のための土地立入権限が認められ、正当な理由がない限り、妨害することは認められません。
したがって、本肢は正しいです。
(補足)立入拒否に関する罰則
他人の占有する土地への正当な理由がない立入りの拒否や妨害について、盛土規制法には罰則が定められています。
盛土規制法第38条第2号
正当な理由がなく、第28条第3項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者は、30万円以下の罰金に処する。
正当な理由の具体例として、
(1)立入りが本人や土地に重大な危害を及ぼすおそれがある場合
(2)正当な手続や通知が行われていない場合
などが考えられますが、上記以外でも正当理由が成立するケースもあります。
2:正しい
盛土規制法第17条第1項に規定されている内容です。
都道府県知事は災害防止の観点から、擁壁の設置や土地管理に関する勧告を行うことが可能です。
したがって、本肢は正しいです。
3:誤り
宅地造成等工事規制区域において工事を行う場合、工事主は工事着手前に住民に対し説明会を開催し、周知措置を講ずる義務を負います(盛土規制法第13条第1項)
工事着手後に周知義務を講ずるのでは遅すぎるため、本肢は誤りです。
4:正しい
盛土規制法第10条第1項、第3項の規定です。
一定要件を満たす工事については届出義務がありますが、リスクのない工事についてはこの限りではないとされています。
したがって、本肢は正しいです。
(補足)関連する罰則の有無
盛土規制法第17条に規定される災害防止措置に関する勧告について、罰則はありません。
この勧告は行政指導に当たるため、強制力や罰則規定は伴いません。
そのため、勧告を受けた所有者が何らかの措置をとらなかった場合でも、特定行政庁が強制的に改善措置を行う規定や制裁は設けられていないのです。
ただし、届出義務違反や土地立入り妨害については罰則が設けられており、引っかけ問題として頻出傾向です。