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問題52
日本における平等と差別に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1 1969 年に同和対策事業特別措置法が制定されて以降の国の特別対策は2002 年に終了したが、2016 年に部落差別の解消の推進に関する法律が制定された。
2 日本は1985 年に男女雇用機会均等法* 1 を制定したが、女性差別撤廃条約* 2 はいまだ批准していない。
3 熊本地方裁判所は、2001 年にハンセン病国家賠償訴訟の判決で、国の責任を認め、元患者に対する損害賠償を認めた。
4 2016 年に制定されたヘイトスピーチ解消法* 3 は、禁止規定や罰則のない、いわゆる理念法である。
5 障害者差別解消法* 4 は、2021 年に改正され、事業者による合理的配慮の提供が義務化されることとなった。
(注)
* 1 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律
* 2 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約
* 3 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律
* 4 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
正解:2
この問題は、日本の人権政策や差別解消に関する法律・判例知識を問われます。
単なる暗記だけでなく、法制度の性質や意義の理解を求め、受験者の幅広い知識と考察力を評価するものです。
1:妥当
同和対策事業特別法は、1969年の制定から2002年まで特別対策として実施されました。
その後、2016年に「部落差別の解消の推進に関する法律」が制定され、啓発活動や相談支援等が推進されています。
したがって、本肢は妥当です。
同和対策事業特別法とは、同和問題(部落差別問題)解消を目的とした法律で、当初は10年間の時限立法として制定されたものです。
この法律に基づき、政府及び地方自治体が同和地区の住民に対する生活改善、教育機会の拡充、地域における経済的・社会的基盤整備を推進しました。
2:妥当でない
男女雇用機会均等法は、1985年に制定、1986年4月に施行されたもので、雇用における男女平等推進を目的に制定されました。
女性差別撤廃条約(CEDAW/正式名称を「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」といいます)について、日本は1985年6月25日に批准しています。
したがって、「未だ批准していない」とする本肢は妥当ではありません。
3:妥当
2001年5月、熊本地方裁判所は、ハンセン病患者に対する隔離対策について、国の責任を認める判決を出しています。
この判決に国は控訴せず、元患者に対する損害賠償が認められたことから、本肢は妥当です。
4:妥当
2016年制定のヘイトスピーチ解消法は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消を目的としたものですが、禁止規定や罰則は設けられていないことから、理念法との位置づけです。
したがって、本肢は妥当です。
5:妥当
2021年に障害者差別解消法は改正され、民間事業者も合理的配慮の提供が義務化されました。
それ以前は努力義務だったところ、改正後は公的機関と同様に義務です。
したがって、本肢は妥当です。