当サイトの一部に広告を含みます。
問題30
連帯債務者の一人について生じた次のア~オの事由のうち、民法の規定に照らし、他の連帯債務者に対して効力が生じないものの組合せとして、正しいものはどれか。
ア 連帯債務者の一人と債権者との間の混同
イ 連帯債務者の一人がした代物弁済
ウ 連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者がした相殺の援用
エ 債権者がした連帯債務者の一人に対する履行の請求
オ 債権者がした連帯債務者の一人に対する債務の免除
1 ア・イ
2 ア・ウ
3 イ・エ
4 ウ・オ
5 エ・オ
正解:5(エ・オ)
この問題は、単なる定義理解ではなく、個別事例の該当性を問うものです。
絶対効に該当する「弁済」、「相殺」、「混同」、「更改」は確実に覚えましょう。
連帯債務や保証に関する問題は、宅建試験でもよく問われる分野ですね。
ア:効力が生じる
混同とは、債権と債務が同一人に帰属し、消滅することを指します(民法第520条)
連帯債務において混同が生じた場合、その債務は全体として消滅し、他の連帯債務者にも効力が及びます。
したがって、本肢は効力が生じます。
イ:効力が生じる
代物弁済とは、債務の履行の一種であり、連帯債務者のうち1人が行うと債務が消滅します(民法第519条)
当該行為は、他の連帯債務者全員に効力が及び、全体の債務が消滅することになります。
したがって、本肢は効力が生じます。
ウ:効力が生じる
相殺とは、債務者が債権者に対し債権を持っている場合、その債務を差し引く行為を指します(民法第505条)
連帯債務において、1人が相殺を援用した場合、全体の債務が消滅するため、他の連帯債務者にも効力が及びます。
したがって、本肢は他の連帯債務者にも効力が生じます。
エ:効力が生じない
連帯債務者の1人に対し、債権者が履行請求をした場合、他の連帯債務者には効力が及びません。
履行請求は、連帯債務者ごとに独立した関係にあり、他の連帯債務者がその影響を受けることはないため、本肢は、他の連帯債務者に効力を生じません。
オ:効力が生じない
連帯債務者の1人が債務免除を受けた場合、他の連帯債務者には影響が及びません(民法第437条)
ただし、連帯債務の一部について、他の債務者の負担部分が減少することはあり得るものの、完全な免除に至ることはありません。
したがて、本肢は他の連帯債務者に効力を生じません。
各肢の整理
各肢をまとめると、下記の通りです。
各肢 | 効力の有無 | 効力 |
---|---|---|
ア:混同 | 生じる | 絶対効 |
イ:代物弁済 | ||
ウ:相殺 | ||
エ:履行請求 | 生じない | 相対効 |
オ:債務免除 |