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地方公共団体に対する法律の適用に関する次の説明のうち、妥当なものはどれか。
1 行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている。
2 行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている。
3 公文書管理法* 1 は、地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならないとしている。
4 行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならないとしている。
5 行政機関情報公開法* 2 は、地方公共団体は、同法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関して必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないと定めている。
(注)
* 1 公文書等の管理に関する法律
* 2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
正解:5
この問題では、主に国の行政機関を対象とする法律が扱われ、国の法規範が地方に与える影響を理解しておく必要があります。
今回は、地方公共団体に努力義務が課される場合と明示的な義務が課されない場合の区別を理解しているかが確認されていますが、複数の法律知識が問われていることから、広範な理解が求められます。
1:妥当でない
原則、行政手続法は国の行政機関にも適用されますが、地方公共団体が行う行政手続に関しては一部例外があります。
特に条例に基づく処分について、必ずしも行政手続法の適用を受けるわけではないことから、「その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている」とする本肢は誤りです。
したがって、本肢は妥当ではありません。
2:妥当でない
行政不服審査法は、行政機関による処分に対する不服申立てについて規定していますが、地方公共団体について「常設の不服審査機関」の設置義務を課すものではありません。
地方公共団体に対し、行政不服審査法に基づく不服審査機関の設置を求めながらも、常設でなければならないと明確な規定があるわけではないことから、「行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている」とする本肢は誤りです。
したがって、本肢は妥当ではありません。
3:妥当でない
公文書管理法について、基本的に国の行政機関に適用される法律で、地方公共団体に対し、強制的に条例を定めることを求めるものではありません。
ただし、地方公共団体にも公文書管理義務はあるものの、それを条例で定めなければならないわけではなく、基本的な管理方法について国の基準に従う形となります。
したがって、「地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならない」とする本肢は妥当ではありません。
4:妥当でない
行政代執行法は、行政機関が命じた行為が履行されない場合、代わりに当該行為を行う際の手続を定めたものですが、地方公共団体に対し、独自に条例で定めるべき義務を課す規定はありません。
このことから、「行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならいとしている。」とする本肢は誤りです。
したがって、本肢は妥当ではありません。
5:妥当
行政機関情報公開法(正式には「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」といいます。)は、政府機関が保有する情報の公開について規定するもので、地方公共団体に対しても、その趣旨は適用されます。
この法律に基づき、地方公共団体が保有する情報の公開に関する必要な施策を策定し、実施する努力義務を負います。
したがって、本肢は妥当です。