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当ページでは、賃貸借契約の際に確認すべきポイント、よくあるトラブルと注意点を解説します。
Contents
賃貸借契約とは
賃貸借契約(賃貸契約)とは、当事者の一方が相手方に対し、ある物の使用及び収益させること、相手方はこれに対し賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約終了時に返還することをそれぞれ約束することにより、効力を生じる契約を指します(民法第601条)
賃貸借契約において、貸す側は「賃貸人」、借りる側は「賃借人」と呼ばれます。
賃貸借契約の流れ
賃貸契約(賃貸借契約)は、一般的に下記の流れで行います。
- 入居申込み
- 入居審査
- 重要事項説明
- 契約金の支払い
- 物件の引渡し
1.入居申込み
賃借人は、インターネットや不動産情報誌、不動産会社を通じて情報を集め、気に入った物件について「入居申込み」を行います。
この際、氏名、住所、連絡先のほか、勤務先や勤続年数、年収額等の証明書を提出することになります。
2.入居審査
入居審査とは、賃貸人が入居希望者の信頼性や支払い能力を確認するために行うものです。
入居申込みを受理した賃貸人は、入居審査を行います。
3.重要事項説明
重要事項説明とは、契約者が物件や契約の内容につき、十分に理解した上で契約するために行われるもので、資格者により書面に基づいて行われます。
入居審査を通過すると、賃貸人が賃貸借契約を作成し、宅地建物取引士より「重要事項説明」を受け、内容に問題がないことを確認して合意に至ると契約成立です。
4.契約金の支払い
重要事項説明に問題がない場合、敷金・礼金、仲介手数料、前家賃、保証料等の初期費用を支払います。
賃貸物件の場合、火災保険への加入が義務づけられることも多く、必要な場合には契約時に手続を済ませます。
申込みの際、契約金の一部を預かり金として不動産会社等に預けている場合、預かり金の額を引いた金額が契約金となるのが一般的です。
5.物件の引渡し
契約金を入金後、物件の引渡しとなります。
鍵を受け取ったら、物件内の設備が正常に動作するかを確認しましょう。
賃貸借契約書で確認すべき項目
賃貸借契約書に記載される項目のうち、下記の項目を確認しましょう。
- 契約当事者の情報
- 物件の詳細情報
- 契約期間
- 賃料および支払条件
- 禁止事項
- 退去時の原状回復義務
- 特約事項
- 契約解除の条件
- 敷金、礼金
1.契約当事者の情報
賃貸借契約において、契約当事者の情報は、契約の成立とその後の履行において、非常に重要な役割を果たすものです。
契約当事者の情報が不正確であったり、必要な情報が欠けていると、トラブルに発展する可能性があります。
記載内容 | |
---|---|
賃貸人 (貸主) | ・氏名(法人の場合は法人名) ・住所 ・連絡先 ・宅地建物取引業者名(不動産を仲介する場合) |
賃借人 (借主) | ・氏名(法人の場合は法人名) ・住所 ・連絡先 ・生年月日(個人の場合) ・職業(個人の場合) |
連帯保証人の情報 (任意) | ・氏名(法人の場合は法人名) ・住所 ・連絡先 ・職業 |
記載内容や必要な添付書類等は契約内容により異なるため、事前に確認しておくと安心です。
2.物件の詳細情報
物件の詳細情報には、下記が含まれます。
- 物件の住所、部屋番号
- 物件の種類と特徴
- 使用目的
いずれも物件の特定に関わる重要な内容です。
特に、契約の目的と使用目的が一致していることを確認しておかなければ、後にトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
3.契約期間
賃貸借契約書には、契約の開始日と終了日が明記されるのが一般的です。
契約開始日と入居可能日が異なる可能性があるため、しっかりと確認しましょう。
また、更新がある場合、時期や金額が記載されることもあります。
4.賃料および支払条件
賃貸借契約書には、賃料の額や支払い条件、期限について記載されます。
月額賃料 | 金額を確認 実際に支払う金額と記載額が一致しているかを確認しましょう |
支払方法 | 振込先口座を確認 振込先に関する記載がない場合、必ず確認しましょう |
支払期限 | 毎月の支払期日を確認 口座振替の場合、タイミングを確認 |
5.禁止事項
一般的に、賃貸物件には禁止事項や基本的なルールがあり、賃貸借契約書に記載されます。
これらを守らなければ契約違反となり、何らかのペナルティが課される可能性がありますので、しっかり確認しましょう。
下記に具体例をご紹介します。
- ペット飼育の可否
- 騒音、迷惑行為の禁止
- 改装、修理の許可
- 無断転貸など
防音設備の整わない物件の場合、楽器の演奏等を禁止される場合があるほか、ゴミ出しの時間を厳しく定める場合もあります。
賃貸借契約の目的に支障のある項目がないか、事前に確認しましょう。
6.退去時の原状回復義務
原状回復とは、賃貸借契約の終了時点において、対象となる物件を現状に戻して返還することをいいます。
退去時に求められる原状回復の範囲や、費用負担に関する記載の有無を確認しましょう。
賃貸借契約書に原状回復義務の具体的な定義が記載されていない場合、退去時に修理・清掃するものを尋ねることをオススメします。
一般的な原状回復の範囲は、下記の通りです。
- 壁、床の傷、汚れの補修
- 設備の故障、破損が合った場合の修理
- ペットによる損傷、臭いの除去
- たばこの煙による壁の汚れ、臭いの除去など
原状回復が必要な場合、かかる費用をどのように負担するかについても確認しましょう。
特別な定めがなければ、入居時に支払う敷金から差し引かれるのが一般的ですが、使用目的が記載されていない場合や、敷金で賄えない修繕費が発生する場合も考えられます。
また、退去時に求められる清掃の負担や、求められる程度も併せて確認するのが望ましいです。
保障金返還の条件が明記されているかも確認しましょう。
7.特約事項
特約事項とは、賃貸借契約の標準的な内容に加え、特別な取り決めや条件が記載された部分を指します。
下記に一例と、確認すべき具体的なポイントを解説します。
ペット飼育 | ・ペット飼育の有無 ・ペットの種類、頭数 ・飼育時のルール ・ペットによる損傷の責任 |
喫煙 | ・喫煙禁止の明記 ・喫煙に伴う清掃、補修義務 |
改装・改造 | ・改装、壁への穴あけの可否 ・賃貸人の許可が必要な場合 |
保証人 | ・保証人の追加要求 ・保証人が負う責任の範囲 |
家賃の増減 | ・家賃を増額する条件 ・家賃を減額する条件 |
共有部分の利用 | ・使用制限 ・共益費用、収益費用の負担 |
退去時の条件 | ・退去通知期間 |
賠償責任 | ・損害賠償の範囲 ・第三者への賠償責任 |
防犯、安全 | ・防犯カメラの有無 ・火災、災害時等の批難ルール |
法律上は契約書に記載せずとも可能な内容を含みますが、当事者間での理解を目的とし、契約書に記載するのが一般的です。
8.契約解除の条件
賃貸借契約書における「契約解除の条件」とは、賃貸人または賃借人のいずれかが契約を解除できる条件・手続について定めるものです。
具体的な確認事項は、下記の通りです。
契約解除事由 | ・賃料未払 ・契約違反 ・迷惑行為など |
解除通知の手続 | ・通知期間 ・通知方法 |
解約・違約金の有無 | ・早期解約の場合の違約金 ・賃貸人都合による解除 |
法定解除事由 | ・賃料不払い ・賃借人の重大な契約違反(無断転貸、無断改造、ペット飼育禁止物件でのペット飼育など) ・重大な迷惑行為 ・物件の重大な損傷 ・建物の取壊しなど |
契約解除後の明渡し条件 | ・退去期限 ・明渡しに伴う費用負担 |
貸主側の法定解除事由には、原則、正当な事由が求められますが、借主側に求められることはないことから、賃貸借契約書で確認することになります。
また、解除の通知は内容証明郵便等の方法を使うと、トラブル回避に役立ちます。
9.敷金、礼金
敷金とは、契約終了時に返還される金銭を指します。
礼金とは、賃貸人に対し、「お礼」として支払う金銭であり、返還されないのが一般的です。
賃貸借契約書では、敷金・礼金のほか、保証金や仲介手数料等に関する事項を記載しますが、必ずしも名称通りの意味でやり取りされるわけではないため、互いに定義を確認しておくと安心です。
保証金は、敷金と同様の取扱いを受ける場合が多いですが、地域差があるため要注意です。
賃貸借契約に関するトラブルと注意点
下記に賃貸借契約に関するトラブルと、注意点をご紹介します。
- 賃料未払
- 原状回復
- 契約解除
- 敷金、保証金の返還
- 設備故障
- 騒音、近隣関係
- 更新料、契約更新
1.賃料未払
賃借人が賃料を期日までに支払わず、賃貸人が契約解除を検討する場合があります。
万が一支払が遅れる場合、賃借人は賃貸人に対し、遅れる理由、支払日を速やかに連絡しましょう。
また、契約書に遅延利息や契約解除等の賃料未払に関する取り決めが明記されているかを確認しましょう。
2.原状回復
退去時、賃借人が負担する原状回復費用について、当事者間での認識のズレからトラブルに発展することがあります。
こうした事態を防止するため、契約書に原状回復の範囲や、具体的な費用負担について明記されていることを確認します。
特に、賃借人は物件の引渡しを受けた際、室内の状態を写真や動画で記録しておくと退去時に役立ちます。
3.契約解除
契約期間中の解除や早期退去をめぐり、違約金や手続内容についてトラブルになることがあります。
トラブル防止のためには、中途解約の可否、解除手続の方法等を契約時に確認し、できる限り具体的に明記しておくことが望ましいです。
4.敷金、保証金の返還
敷金の返還額をめぐって、当事者間で意見が食い違うことが多いです。
賃貸借契約書において、敷金返還の条件、費用の内訳が明記されていることを確認し、原状回復費用として一部を控除される場合には、その基準についてもきちんと確認しておきましょう。
5.設備故障
エアコンや給湯器等、物件内の設備が故障した際、修理費用を賃貸人、賃借人のいずれが負担するかでトラブルが生じることがあります。
通常、自然故障の場合は賃貸人が修理費を負担しますが、賃貸借契約書において、設備の修理・交換の責任がどちらにあるかを確認しておくと安心です。
賃借人が原因で破損した場合、修理費は賃借人負担になる点に注意しましょう。
6.騒音、近隣関係
賃借人の言動、又は近隣住民の言動が引き金となり、近隣住民同士のトラブルに発展することがあります。
具体的な予防法と対処法は、下記の通りです。
予防法 | 入居前 | ・物件選びの段階で周囲の環境を確認 ・隣室、上下階の住人の情報収集 ・暮雲設備の確認 |
入居後 | ・生活音の管理 ・騒音防止アイテムの活用 | |
対処法 | 自分が被害者の場合 | ・記録をとる ・管理会社、賃貸人に相談 ・公的機関へ相談 ・冷静に対処 |
自分が加害者の場合 | ・問題の原因を確認 ・対策を講じる ・迅速な謝罪 |
自分が被害者になる可能性だけでなく、加害者となる可能性も考え、周囲に迷惑をかけてしまった場合には迅速な対応を心がけましょう。
入居時に迷惑をかける可能性がある場合、音を出してしまう時間帯がある旨を伝えておくと、理解を得やすくなる場合もあります。
7.更新料、契約更新
契約更新に際し、更新の条件や金額をめぐってトラブルが生じることがあります。
賃貸借契約書において、更新料や更新手続の内容について明記されていることを確認し、更新時期を見越した準備が必要です。
契約書に記載がない場合でも、地域・法律上、慣例的に更新料が発生する場合があるため、注意しましょう。
賃貸借契約で確認すべきポイント、よくあるトラブルと注意点まとめ
当ページでは、賃貸借契約で確認すべきポイントとよくあるトラブル、注意点を解説しました。