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離婚時に住宅ローンが残る自宅の財産分与、注意点を解説

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当ページでは、離婚時において、住宅ローンの残る住宅を分割する際の注意点を解説します。

住宅ローンはどうなるのか

離婚時に住宅ローンが残っている場合、財産分与の対象になります。

(1)財産分与とは

財産分与とは、離婚に伴い夫婦が共同で築き上げた財産を公平に分ける手続を指します。

財産分与の目的は、下記の通りです。

  1. 清算的財産分与
  2. 扶養的財産分与
  3. 慰謝料的財産分与

(2)財産分与の対象となる財産

財産分与の対象は、婚姻中に得た財産で、具体的には下記の通りです。

  1. 不動産(土地、建物)
  2. 預貯金
  3. 車両
  4. 投資資産
  5. 退職金年金の一部
  6. 家具家財等の動産など

残った住宅ローンの取扱い

離婚時において、残っている住宅ローンの取扱いは状況により異なります。

(1)名義人を確認する

住宅ローンの名義人は離婚後も変わりなく、名義人が支払い義務を負います。

一般的には、下記の契約を結んでいる場合が多いです。

名義人連帯債務者
単独債務1人
連帯債務1人あり
連帯保証1人
ペアローン夫婦

上記の場合、ペアローン以外は名義人が1人なので、離婚後の支払いは夫婦の一方のみが追います。

一方、ペアローンの場合、夫婦双方が名義人となっているため、離婚後も継続して2人で支払うことになります。

原則、名義人が支払い義務を負いますが、連帯債務、連帯保証、ペアローンを組んでいる場合、名義人が支払いを滞納した場合、元配偶者が支払い義務を負う可能性があります。

(2)住宅ローンの残高を確認する

名義人がわかったら、住宅ローンの残高を確認しましょう。

住宅ローンの残高に応じ、下記に分類することができます。

オーバーローン住宅ローンの残高が不動産の市場価値を上回る状態
アンダーローン不動産の市場価値が住宅ローンの残高を上回る状態

住宅を売却する場合

離婚時に住宅ローンが残っていても、自宅を売却することは可能です。

(1)オーバーローンの場合

オーバーローンの場合、抵当権を抹消するため、住宅ローンを完済する必要があります。

抵当権とは、債務者の支払いが滞った場合に金融機関等の債権者が不動産を競売等で処分し、債務を回収するための権利をいいます。

不動産取引において、一般的に引渡しの際には「抵当権が抹消されていること」が条件とされます。

なぜなら、抵当権が残ったままだと、売却後に買主が不動産を差し押さえられるリスクを負うことになり、取引が成立しないからです。

住宅の売却代金で不足する金額について、原則、名義人が支払いますが、夫婦で折半することも可能です。

(2)アンダーローンの場合

アンダーローンの場合、住宅の売却代金でローンを完済し、残った金額を2人で分割することになります。

(3)住宅ローンが払えない場合

住宅ローンを完済することができないものの、住宅を売却したい場合、借入先の金融機関の許可を得た上で「任意売却」を行うことができます。

任意売却とは、返済が困難になった場合に、金融機関と合意の上で抵当権のついた不動産を市場で売却し、その売却代金をローンに充てる方法を指します。

この場合、競売に比べ、市場価格に近い価格で不動産を売却できるため、債務者にとって有利な選択だといえます。

任意売却は、債務者が競売にかかる前に自らとる手段なので、あまり選ぶ機会はないかもしれません。

名義人が家を出る場合

離婚後、名義人が家を出て他方が住み続けることも可能です。

この場合、下記の選択肢があります。

(1)名義を変更する

住宅ローンの名義人を実際に住む側に変更する方法です。

この場合、借入先である金融機関から名義変更を認めてもらう必要があります。

万が一、債務者の変更が認められない場合、住宅ローンの借り換えという手段もあります。

いずれの場合も、保証人を立てるよう求められる場合が多く、難易度は決して低くありません。

(2)名義は変えず、住む側が返済する

名義人はそのままで、住む側が返済を継続する方法も考えられます。

この場合、借入先の金融機関に事情を説明し、契約者以外が住み続けることを承諾してもらう必要があります。

また、名義人が元配偶者である以上、売却や賃貸も自由に行うことができるため、住む側にとってはあまりメリットのない方法だといえます。

(3)養育費、慰謝料の代わりに住宅ローンを負担する

名義人が負うべき養育費や慰謝料の代わりに、住宅ローンの支払いを負担する選択肢もあります。

この場合も、あらかじめ借入先の金融機関に確認する必要があるほか、名義人が滞納した場合の支払い義務や差押えのリスクを伴います。

共同名義のまま維持する場合

離婚後も共有名義のまま一方が住み続ける場合、たとえ離婚により家を出ても、金融機関との契約上は名義人全員が返済義務を負います。

住まなくなった側が、ローンの一部または全部を住む側に任せたとしても、あくまで当事者間の合意にとどまり、記入期間が認めない限りは名義人としての返済義務を免れることはありません。

そのため、ローンの名義を住む側だけに変更する、又は売却する等の代替策を講じるのが得策だといえるでしょう。

いずれにせよ、金融機関次第なので、まずは相談から始めましょう。

住宅ローンが残る財産分与の注意点

離婚後も住宅ローンが残る場合、下記に注意しましょう。

1.住宅ローンの名義変更は難しい

住宅ローンの名義変更には、借入元の金融機関の承認が必要です。

金融機関は、融資の安全性を重視するため、名義変更時に新たな名義人の返済能力を下記のような基準で審査します。

  1. 住宅ローンの返済を継続できるだけの収入があること
  2. 信用情報が良好であること
  3. 離婚後もその住宅に住み続けること

そのため、収入が不十分な場合や住み続ける側に信用情報上の問題がある場合、離婚後に家を出る予定がある場合には、名義変更を承諾してもらえない可能性があります。

2.連帯債務を負う状態で離婚しない

原則、住宅ローンの支払い義務は名義人が負いますが、滞納した場合、連帯保証、連帯債務、ペアローンを組んでいる元配偶者が返済する必要があります。

このようなリスクを回避するには、住宅ローンの完済、金融機関との交渉、免責的債務引受またはローンの借り換えが考えられます。

免責的債務引受一方が負う債務を他方が引受け、元の債務者がその債務から解放される方法
ローンの借り換え現在利用している住宅ローンを、新たなローンに切り替えること

いずれの場合も、金融機関が同意しない限り、一方的に契約を解消することはできないため、債権者との交渉が不可欠です。

これらの関係解消は複雑なため、弁護士に相談することをオススメします。

3.取り決めは公正証書にする

返済に関する取り決めをした場合、離婚協議書に含める形で作成し、公正証書にすることをオススメします。

検討すべき事項は、下記の通りです。

  1. 不動産の所有権の帰属
  2. 住宅ローンの支払い負担
  3. 住宅の売却による清算
  4. 住み続ける側の生活保障
  5. 住宅ローンの名義に関する事項
  6. 抵当権の取扱い
  7. 資産評価と分割方法
  8. 税務上の事項
  9. 保証人・連帯債務者の変更

公正証書は、原則、公証役場で作成し、事前相談が必要です。

離婚協議書の場合、作成には戸籍謄本等の書類や印鑑登録証明書、財産を証明する書類等のほか、公正証書に定める金額に応じた手数料が必要です。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円まで
ごとに1万3000円を加算する
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円まで
ごとに1万1000円を加算する
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円まで
ごとに8000円を加算する
出典:法律行為に係る証書作成の手数料 公証人手数料令第9条別表

公正証書は、双方の合意を公的に証明し、内容の履行を求める際に有効な書類です。
手間や費用はかかりますが、将来的なトラブルが予想される内容について作成を検討する価値はあるかと思いますので、お近くの公証役場までお問い合わせください。

ローンが残る自宅の財産分与と注意点まとめ

当ページでは、住宅ローンが残る自宅の財産分与と注意点を解説しました。

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カテゴリー: コラム


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
ヲタク行政書士®
やぎ座のO型、平成弐年式
法人設立、事業承継が得意
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