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当ページでは、不動産の評価方法、メリットと注意点を解説します。
Contents
不動産を評価する意味
特定の不動産の価値を金銭的に評価した額を「不動産評価額」といいます。
不動産評価額は、さまざまな利害関係者が意思決定を行うための基準となり、信頼性のあるデータや評価方法を用いる必要があります。
具体的には、
(1)不動産の売買や賃貸において、適正価格を設定する際の基準
(2)相続税、贈与税の申告・納税時の判断材料
(3)不動産投資の利回りを見極める指標
(4)金融機関が融資の担保価値を確認する資料
として使われるのが一般的です。
不動産の評価方法
不動産の評価方法は、下記に分類することができます。
- 固定資産税評価額
- 公示地価
- 基準地価
- 路線価
- 実勢価格
- 不動産鑑定評価額
1.固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、自治体が所有する固定資産の評価を行い、税務計算の基準とするために用いる金額を指し、一般の市場価格と異なります。
(1)固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額は、毎年4月から5月頃に送付される「固定資産税納税通知書」に記載されます。
この通知書は、土地建物の所有者に送付されますが、不動産の所在地の市区町村役所の資産税課において、固定資産税課税台帳を閲覧することも可能です。
同課に手数料を支払うことで、「評価証明書」の交付を受けることもできます。
また、一部の自治体では、オンラインで評価額を確認できるサービスも提供しています。
(2)固定資産税評価額を採用するメリット
不動産評価額として、固定資産税評価額を採用するメリットは下記の通りです。
- 手続が円滑
- 全国統一の基準であり信頼性がある
- 実勢価格より低くなる場合が多い
(3)固定資産税評価額を採用する際の注意点
不動産評価額に固定資産税評価額を採用する場合、下記に注意しましょう。
- 実際の市場価格と異なる
- 更新は3年に1度
- 税務上の用途に限られる
固定資産税評価額は、税務においては非常に便利な評価基準ですが、実勢価格と異なるため、用途に応じ、適切な使い分けが必要です。
2.公示地価
公示地価とは、毎年3月に国土交通省が発表する、全国の主要地点における標準地の価格を指します。
土地の適正価格を示す指標として、不動産取引や評価に広く活用されています。
(1)公示地価の調べ方
公示地価は、下記の方法で調べることができます。
- 国土交通省「地価公示・都道府県地価調査」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 各都道府県のホームページ
- 市区町村役所の窓口
正確な公示地価を知るには、国土交通省の公式サイトや土地総合情報システムが便利ですが、地域ごとの最新情報を得たい場合、市区町村役所での確認が手堅いかと思います。
(2)公示地価を採用するメリット
不動産評価額に公示地価を採用するメリットは、下記の通りです。
- 市場の実勢価格に近い評価基準
- 全国統一基準で透明性が高い
- 土地の適正な価格を把握できる
- 相続税、贈与税評価額の参考基準
公示地価は、相続税や贈与税の評価額の基準となる路線価の決定に影響を与えているため、公示地価を参考にすることで、概ねの相続税額を予測しやすくなります。
(3)公示地価を採用する際の注意点
不動産評価額に公示地価を採用する場合、下記に注意しましょう。
- 特定の地点に限られる
- 実際の取引価格と異なる場合がある
- 更新が年に1度のみ
- 地形、個別条件は考慮されていない
公示地価は標準的な条件を前提とした評価方法なので、実際の土地評価では、個別の要素を考慮する必要があります。
3.基準地価
基準地価とは、毎年9月に都道府県が発表する土地の標準価格を指し、公示地価と並ぶ重要な評価指標です。
(1)基準地価の調べ方
基準地価は、下記の方法で調べることができます。
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 都道府県の公式ホームページ
- 市区町村役所、都道府県の窓口での閲覧
(2)基準地価を採用するメリット
不動産評価額に基準地価を採用する場合、下記のメリットが考えられます。
- 市場価格に近い参考値
- 公示地価がないエリアでも参考になる
- 土地の資産価値の把握に有効
(3)基準地価を採用する際の注意点
不動産評価額に基準地価を採用する際、下記に注意しましょう。
- 実際の取引価格と異なる場合がある
- 土地の個別条件を考慮していない
- 更新は年に1度のみ
- 用途区分により評価額が大きく異なる
基準地価は、用途地区ごとに価格が異なるため、確認する土地の用途を間違えると価格に大きな違いが出ます。
評価時には、対象の用途区分を正確に把握しましょう。
4.路線価
路線価とは、国税庁が毎年発表する道路に面する標準的な土地の1㎡あたりの価格を指し、相続税、贈与税を計算する際の基準として用いられます。
(1)路線価の調べ方
路線価は、下記の方法で調べることができます。
- 国税庁「路線価図・評価倍率表」
- 市区町村役所、税務署での閲覧
(2)路線価を採用するメリット
不動産評価額に路線価を採用するメリットは、下記の通りです。
- 税務申告に使用できる
- 公示地価より低めの価格設定で節税が期待できる
- 評価基準が全国で統一されている
路線価は、公示地価の約80%に設定され、実勢価格より低くなる場合が多く、相続税、贈与税の課税対象額を抑えられる可能で市があります。
(3)路線価を採用する際の注意点
不動産評価額に路線価を採用する場合、下記に注意しましょう。
- 実際の取引価格と異なる
- 道路に面していない土地には適用が難しい
- 更新は毎年1回
- 用途区分により評価額が大きく異なる
5.実勢価格
実勢価格とは、
(1)実勢価格の調べ方
実勢価格は、下記の方法で調べることができます。
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
- 不動産流通機構(REINS)のデータベース
REINSは、宅建業者向けの物件流通システムですが、一般向けに一部の取引事例が公開されており、類似の不動産取引の実勢価格を調べるのに役立ちます。
(2)実勢価格を採用するメリット
不動産評価額に実勢価格を採用するメリットは、下記の通りです。
- 現在の市場価値を正確に反映
- 交渉、資産価値の評価に有効
- 金融機関の融資審査に対応しやすい
実勢価格は、実際の売買価格を反映しているため、現在の市場での適正価格を把握しやすいメリットがあります。
(3)実勢価格を採用する際の注意点
不動産評価額に実勢価格を採用する場合、下記に注意しましょう。
- 価格変動リスクが高い
- 地域、時期による偏りがある
- 土地の個別条件を直接考慮できない
実勢価格は市場動向に敏感で、短期間で変動することがあります。
特に景気の影響を受けやすく、長期的な評価基準としては注意が必要です。
6.不動産鑑定評価額
不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士が法的根拠に基づき、土地建物の価格を評価する方法を指します。
(1)不動産鑑定士の評価手法
不動産鑑定士は、下記の評価手法を目的に応じ、組み合わせて使います。
取引事例比較法 | 類似の不動産の取引価格をもとに、評価対象の価格を算出する方法 市場における実際の取引データをもとにするため、現実的な評価が得られやすい |
収益還元法 | 対象不動産が将来的に生み出す収益をもとに、その不動産の価値を算出する方法 投資物件の評価に特に有効 |
原価法 | 評価対象となる不動産を再調達するのに必要な費用をもとに評価する方法 再建築が難しい物件や、収益性が低い価値がある土地に適用される場合が多い |
それぞれ異なる視点で不動産を評価するもので、物件の種類や目的に応じ、適切な方法を選択してくれます。
(2)不動産鑑定評価額を採用するメリット
不動産評価額に不動産鑑定評価額を採用するメリットは、下記の通りです。
- 法廷根拠に基づくため信頼性が高い
- 土地建物の個別性を反映
- 複数の評価方法により他覚的な価格把握が可能
- 金融機関や裁判所での利用が容易
(3)不動産鑑定評価額を採用する際の注意点
不動産評価額として、不動産鑑定評価額を採用する際は、下記に注意しましょう。
- コストがかかる
- 時間を要する
- 市場の変動に応じ、適宜見直しが必要
- 評価額が必ず実勢価格と一致するわけではない
不動産鑑定評価額は、不動産の資産価値を法的根拠のある形で詳細に評価でき、信頼性が非常に高い特徴がありますが、コスト・時間がかかる点や、実勢価格との乖離が生じる可能性がある点を理解し、他の価格指標と併用するのがお勧めです。
【事例別】不動産評価額の種類
下記の事案に応じ、どの評価額が適しているかをご紹介します。
不動産の売買価格の決定 | 実勢価格 |
相続税、贈与税の申告 | 路線価 基準地価 固定資産税評価額 |
不動産の税務評価 | 路線価 固定資産税評価額 |
不動産投資の評価 | 実勢価格 不動産鑑定評価額 |
土地の市場評価 | 公示地価 |
土地の相続・遺産分割 | 路線価 基準地価 |
土地の売却を検討する場合 | 実勢価格 公示地価 |
訴訟等の法的手続 | 不動産鑑定評価額 |
土地の開発に伴う評価 | 不動産鑑定評価額 公示地価 |
不動産評価額を活用する際の注意点
不動産評価額を活用する際、下記に注意しましょう。
1.評価額と市場価格が異なる場合がある
不動産評価額は、必ずしも実勢価格と一致するわけではありません。
特に、固定資産税評価額や公示地価、基準地価の場合、取引時の価格より低く設定されていることが多いです。
そのため、各評価額は参考程度にとどめておくことをオススメします。
2.評価額の更新頻度を確認する
不動産評価額は定期的に更新されますが、頻度やタイミングは種類により異なります。
例えば、公示価格や基準地価は年に1度更新されますが、固定資産税評価額は通常3年ごとに見直されます。
市場が急激に変動する場合もあるため、最新の評価額であっても現状を反映していない可能性がある点に注意しましょう。
3.評価額の変動要因を考慮する
評価額は、不動産市場や経済環境、社会的な状況の変動に影響を受ける場合があります。
例えば、都市開発や公共施設の整備が行われる地域の場合、評価額が大きく変動する可能性があります。
こうした事情を踏まえた上で、慎重に判断しましょう。
不動産の評価方法、メリットと注意点まとめ
当ページでは、不動産評価額の種類と、メリットと注意点を解説しました。