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当ページでは、一時使用目的の建物賃貸借契約について、一時使用の要件、メリット・注意点を解説します。
Contents
一時使用目的の建物賃貸借契約とは
一時使用目的の建物賃貸借契約とは、明らかに一時使用を目的としている賃貸借契約を指します。
(1)通常の賃貸借と定期建物賃貸借との違い
通常の建物賃貸借契約では、貸主による更新拒絶により期間の定めのある契約を終了させる場合には、正当事由が要求されるだけでなく、期間を定めなかった場合や、1年未満とする契約は「期間の定めのない契約」とみなされます(借地借家法第29条第1項)
いっぽう、定期建物賃貸借のうち、下記要件を満たすものについては、契約の更新がなくとも認められます(同法第38条第1項)
- 更正証書等の書面により契約を締結すること
- 予め更新のないことを明記した書類を契約時に交付し、借主に説明すること
法律は、弱者救済を大前提に制定されていて、賃貸借においての弱者を「借主」として、貸主に様々な義務を課しています。
一時使用目的の建物賃貸借契約を結んだ場合
一時使用目的の建物賃貸借契約を結んだ場合、通常の建物賃貸借契約では契約期間満了の1年~半年前までに契約の更新拒絶通知を行う義務が課されるところ、当該通知は不要となります。
そもそもですが、原則、一時使用目的の建物賃貸借には更新がありません。
端的に言えば、貸主・借主いずれも解約の申入れを好きな時期に行うことができるのが一時使用目的の建物賃貸借契約の特徴だといえます。
(1)一時使用目的の要件
一時使用目的の建物賃貸借だと認められるには、賃貸借の目的、動機、その他諸般の事情から、当該賃貸借契約を短期間内に限り存続させる趣旨のものであることが、客観的に判断できなければなりません(出典:最高裁昭和36年10月10日判決|裁判例検索)
客観的に判断できるかについて、契約期間の長さだけでは不十分とし、借主が一時使用を選択した理由が認定されなくてはなりません。
自ら不利な条件を選ぶ人は稀少なはずですからね。
(2)一時使用目的の建物賃貸借のメリット
一時使用目的の建物賃貸借を選んだ場合、貸主・借主には次のメリットが考えられます。
貸主 | ・契約期間を自由に決められる ・解約の申入れ時において、正当事由が不要 |
借主 | ・契約期間を自由に決められる ・更新料がかからない ・一般的な相場に比べ、賃料が低くなる可能性がある |
一時使用目的の建物賃貸借契約を結ぶ際の注意点
一時使用目的の建物賃貸借契約を結ぶ場合、下記に注意しましょう。
(1)契約書を作成する
法律上、一時使用目的の建物賃貸借契約について、書面での契約は求められていません。
しかし、後に契約期間等が争われる場合に、書面がなければ証明が困難となる可能性があります。
このため、当事者間の合意を示すためにも契約書を作成しましょう。
(2)一時使用を目的とすること、理由を記載する
契約書を作成する場合、タイトルや契約書の中で一時使用目的であることを記載しましょう。
また、どうして一時使用の契約を結んだのかの動機・事情等を記載することで、後のトラブル防止に大いに役立ちます。
一時使用目的の建物賃貸借契約のメリット・注意点まとめ
当ページでは、一時使用目的で結ぶ建物賃貸借契約のメリットと注意点を解説しました。