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ハンドメイド作品を販売する際に必要な許可・届出、注意点を解説

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当ページでは、インターネット等でハンドメイド作品を販売する際に必要な許可・届出、注意点を解説します。

ハンドメイド作品の販売に必要な手続

ハンドメイド作品の販売時、対象となる商品により下記の手続が必要です。

商品必要な許可等申請先
中古品古物商許可警察署の生活安全課
酒類酒類販売業免許酒類指導官設置の税務署
食品類食品の営業許可保健所
※申請は厚労省の専用システムから行う
化粧品等化粧品製造販売業許可など各都道府県知事

1.古物商許可

古物商許可とは、法律に定められた「古物」に該当する物品等を売買または交換する場合に必要となります。

1-1.古物とは

古物とは、下記に該当するものを指します(出典:古物営業法第2条1)

  1. 1度使用されたもの
  2. 未使用でも取引されたもの
  3. 上記の物品を手入れしたもの

1-2.古物の具体例

法律上の古物は、下記に分類されます。

1美術品類書画、彫刻、工芸品等
2衣類和服類、洋服類、その他の衣料品
3時計・宝飾品類和服類、洋服類、その他の衣料品
4自動車その部分品を含む
5自動二輪車及び原動機付自転車
6自転車類
7写真機類写真機、光学器等
8事務機器類レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等
9機械工具類電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等
10道具類家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等
11皮革・ゴム製品類カバン、靴等
12書籍
13金券類商品券、乗車券及び郵便切手並びに古物営業法施行令第1条各号に規定する証票その他の物をいう
出典:古物営業法施行規則第2条(古物の区分)

1-3.古物に該当しないもの

下記に該当する場合、古物に該当せず、古物商許可は不要だと考えられます。

  1. 1度も取引されていない新品
  2. 自己使用目的で購入した不要品
  3. 化粧品等の消耗品
  4. 本来の用途で使えないスクラップなど

1-4.ネットショップで販売する際にも必要

古物を販売するには、自身で立ち上げたサイトに限らず、ネットショップ等を利用した出店・出品でも古物商許可が必要です。

一方、フリマアプリでの不要品販売の場合は不要です。

客観的に見て、取引が営業の性質を持っているかどうかで許可の要否を判断することになります。

2.酒類販売業免許

プライベートブランドやオリジナル商品として酒類を販売する場合、販売先に対応する酒類販売業免許を取得する必要があります。

2-1.酒類販売業免許の種類

販売先免許の種類
一般消費者酒類小売業免許
酒類販売業者プライベードブランドの場合自己商標酒類卸売免許
洋酒等をプライベードブランドとして製造販売する場合酒類卸売免許

2-2.酒類販売業免許の要件

酒類販売業免許を取得するには、下記を満たす必要があります。

  1. 販売場所
  2. 経営基礎
  3. 人的
  4. 需要供給調整

2-3.申請から取得までの流れ

酒類販売業免許の申請から取得までの流れは下記の通りです。

  1. 酒類指導官設置税務署への相談
  2. 必要書類の作成
  3. 申請
  4. 免許交付

申請から免許交付まで、最短でも2か月ほどかかりますが、卸売免許の場合は更に長期を要します。

2-4.かかる費用

酒類販売業について、免許申請を行う際は登録免許税を納める必要があります。

登録免許税の額は、1つの申請について3万円ですが、1度に2種類の免許を申請できるため、複数の免許を取得したい場合にはまとめて申請するのがオススメです。

ただし、複数の店舗にて販売する場合には、店舗数に応じた税額を納める必要がある点に注意しましょう。

2-5.免許取得後の義務

酒類販売業免許を取得した後、下記の義務を履行しなければなりません。

義務の種類内容
帳簿への記帳・保管義務酒類の仕入と販売について、税率の適用区分を品目別に帳簿へ記載
帳簿は販売場ごとに常に備付ける必要があり、帳簿の閉鎖後、5年間保存
申告義務販売場を管轄する税務署長に対し、下記を申告
1.数量
2.営業の休止・開始
3.酒類を保管する場所の設置・廃止
4.異動
届出義務酒類製造場以外の場所で酒類を詰め替える場合、その2日前までに当該場所を管轄する税務署に届出

3.食品の営業許可

食品を販売する場合、対象物により営業許可が必要な場合があります。

3-1.許可が必要な食品

業種
菓子製造業パン、洋菓子、和菓子、生あん、練りあん、乾燥あんなど
アイスクリーム類製造業アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデー等
乳製品製造業ヨーグルトなど
食肉製品製造業ハム、ソーセージ、ベーコンなど
水産製品製造業魚介類その他の水産動物・その卵を主原料とする食品
※わかめ等の海藻類は除く
食用油脂製造業食用油、マーガリン、ショートニングなど
みそ又はしょうゆ製造業みそ、粉末みそ、調味みそ、醤油、つゆ、たれ、出汁入り醤油など
豆腐製造業豆腐、焼き豆腐、油揚げ、生揚げ、がんもどき、ゆば、練り同府、豆乳、おからドーナツなど
※密封・密栓された清涼飲料水に分類される豆乳は除く
納豆製造業納豆
麺類造業うどん、そば、そうめん、中華麺、パスタなど
そうざい製造業煮物(佃煮を含む)、焼き物(炒め物を含む)、揚げ物、蒸し物、酢の物、和え物など
複合型そうざい製造業食肉処理、菓子製造、水産製品製造、めん類製造を伴う手作りそうざい全般
密封包装食品製造業常温で流通するレトルトパウチ食品、缶詰、瓶詰、ソース類など
※冷蔵で流通するもの、蜂蜜、お酢は届出のみ
漬物製造業漬物、漬物を原料に含む食品
冷蔵食品製造業冷凍したそうざい類(菓子・水産製品・めん類は除く)
複合型冷凍食品製造業冷凍した菓子・水産製品など
集乳業生乳全般
食肉販売業鳥獣の生肉(骨、臓器を含む)
出典:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省をもとに作成

3-2.営業届出が必要な食品

区分業種
販売業魚介類販売業
食肉販売業
乳類販売業
野菜果物販売業
米穀類販売業
氷雪販売業
弁当販売業
コップ式自動販売機
(自動洗浄・屋内設置)
自動販売機による販売業
(コップ式自動販売機(自動洗浄・屋内設置)を除く)
通信販売・訪問販売による販売業
コンビニエンスストア
百貨店、総合スーパー
その他の食料・飲料販売業
製造・加工業添加物製造・加工業
健康食品の製造・加工業
コーヒー製造・加工業
農産保存食料品製造・加工業
調味料製造・加工業
糖類製造・加工業
精穀・製粉業
製茶業
海藻製造・加工業
卵選別包装業
その他の食料品製造・加工業
その他行商
集団給食施設
器具、容器包装の製造・加工業
露店、仮設店舗等における飲食の提供のうち、営業とみなされないものなど
出典:営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報|厚生労働省をもとに作成

3-3.営業許可・届出が不要な食品

下記に該当する場合、営業許可・届出ともに不要です。

  1. 食品または添加物の輸入業
  2. 食品または添加物の運搬のみをする営業(※冷蔵・冷凍倉庫業は除く)
  3. 常温で長期保存しても腐敗・変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生のおそれがない包装食品の販売業
  4. 合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
  5. 器具容器包装の輸入または販売業

3-4.食品の営業許可要件

食品の営業許可を取得するには、下記を満たす必要があります。

  1. 設備

上記のほか、許可業種に対応する食品表示ラベルの貼付が求められる点に注意しましょう。

3-5.申請から許可取得までの流れ

営業許可の申請から取得までの流れは下記の通りです。

  1. 保健所に事前相談
  2. 必要書類の作成
  3. 申請
  4. 施設検査
  5. 営業許可

自宅にて食品を製造・加工する場合、専用の厨房を別で設ける必要がある点に注意しましょう。

食品の製造場所と保管場所が異なる場合、それぞれに対応する許可が必要な場合があるため、事前相談にて確認しましょう。

4.化粧品製造販売業許可

手作りの石鹸・香水等を販売する場合、下記の許可または届出を要する可能性があります。

事例必要な許可・届出
プライベートブランドとして出荷・販売化粧品製造販売業許可
自分で一貫して製造化粧品製造業許可
(1号)
自分で化粧品を充塡し、ラベルを貼付、検品化粧品製造業許可
(2号)
洗濯・台所用の石鹸を「雑貨」として販売不要
他人が製造した化粧品の小売
製造から梱包、ラベル表示まで全て外部委託

4-1.化粧品とは

許可・届出の要否を検討するには、それぞれの定義を理解する必要があります。

例えば、化粧品は下記のように定義されます。

「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

引用元:薬機法第2条第3項

4-2.化粧品製造販売業許可の要件

化粧品製造販売業許可を取得するには、下記を満たす必要があります。

  1. GQP・GVP遵守

化粧品製造業許可の場合、構造設備要件も加わります。

4-3.化粧品製造販売届

化粧品製造販売届に際し、特別満たすべき要件はありません。

しかし、手作り化粧品が医薬部外品に該当する場合は、その記載表示に注意が必要です。

皮膚の殺菌効果や肌荒れ防止に有効な成分を配合している場合、「清潔にする」「美化する」以上の効果・目的をもつとみなされ、医薬部外品に該当する可能性があります。
この場合、医薬部外品としての許可等を取得する必要が生じるので、事前の確認を怠らないよう注意しましょう。

ハンドメイド作品の販売前に抑えておきたい法律

ハンドメイド作品を販売する前に、下記を確認しましょう。

  1. 特定商取引法
  2. 個人情報保護法
  3. 知的財産権(著作権法など)
  4. 景品表示法
  5. 家庭用品品質表示法
  6. PL法

1.特定商取引法

特定商取引法とは、事業者が販売する際に守るべきルールを定め、消費者を保護する目的で制定された法律です。

1-1.ネットショップを運営する際の義務

ネットショップにて商品を販売する場合、下記を守る必要があります(出典:特定商取引法第11条、第12条、第12条の3、第12条の4、特定商取引ガイド)

  1. 広告表示
  2. 誇大広告などの禁止
  3. 未承諾者に対する電子メール広告の提供禁止
  4. 前払式通信販売の承諾などの通知
  5. 契約解除に伴う債務不履行の禁止
  6. 顧客の意に反する申込をさせる行為の禁止

1-2.販売時に表記が必要な事項

ハンドメイド作品を販売する場合、下記を記載しなければなりません。

  1. 販売価格(送料含む)
  2. 代金の支払時期、方法
  3. 商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
  4. 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(特約がある場合、その内容)
  5. 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
  6. 事業者が法人の場合、ネット等に広告するには、販売業者等代表者または通信販売に関する責任者の氏名
  7. 申込の有効期限があるときは期限
  8. 販売価格、送料等意外に購入者が負担すべき金銭があるときは、その内容およびその額
  9. 商品に隠れた瑕疵がある場合、販売業者の責任に関する定めがあるときはその内容
  10. ソフトウェアに関する取引の場合、そのソフトウェアの動作環境
  11. 商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要がある場合、その旨および販売条件
  12. 商品の販売数量の制限等、特別な販売条件(役務提供条件)がある場合はその内容
  13. 請求によりカタログ等を別途送付する場合、それが有料の倍にはその額
  14. 電子メールによる商業広告を送る場合、事業者が使用するメールアドレス

2.個人情報保護法

個人情報保護法とは、個人情報を取り扱う全ての個人・企業に対し、個人情報の取扱いに関するルールを定めた法律を指します。

この法律では、個人情報を「特定の個人を識別できる情報」を指し、氏名、性別、生年月日、住所等が該当します。

2-1.販売時に必要な対応

ハンドメイド作品をネットショップ等で販売する場合、下記を遵守する必要があります。

  1. 個人情報の使用目的を明記
  2. 目的外使用の禁止
  3. 漏えい防止措置

具体的には、「個人情報保護方針プライバシーポリシー」等のページを作成・設置し、事業者の義務・遵守する旨と内容を顧客に示しましょう。

3.知的財産権(著作権法など)

知的財産権とは、人の創出したアイディアや創作物に生じる財産的な価値を指します。

具体的には、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などがこれに該当し、他人の権利を侵害した場合には罰則が適用される可能性があります。

3-1.販売前に必要な対応

ハンドメイド作品を販売する場合、自分が販売しようとする商品が他人の権利を侵害していないか確認する必要があります。

特に注意が必要なのは、製作時に使用する材料・デザインで、特定のブランド名やキャラクター名、ロゴ等の無断使用です。

これらは商標権や著作権等で保護されている可能性があり、商用利用を希望する場合は、権利者から事前の許諾を得る必要があります。

4.景品表示法

景品表示法(不当景品類及び不動表示防止法)とは、消費者保護を目的として、不当な表示・不当な景品を扱うことを制限する法律です。

4-1.販売前に必要な対応

景品表示法で制限されるのは、いわゆる誇大広告や事実と異なる表示です。

具体的には、販売商品を実物より優良に見せる目的で、本来は付属しないパーツや機能を付ける又は付いているような表示をすること、商品を購入してもらう目的で過剰な景品を付属する等の行為が対象となります。

このため、商品情報を記載する前の事実確認や、実際には付属しない物品・機能等について明記する等の対応が必要です。

5.家庭用品品質表示法

家庭用品品質表示法とは、消費者保護を目的とし、家庭用品の品質に関する表示についてのルールを定めた法律です。

家庭用品には、衣服等の布製品、台所用品等の合成樹脂加工品、テレビ・冷蔵庫等の生活家電(電気機械器具)、雑貨工業品等が含まれます。

5-1.品質表示が必要な場合

下記をハンドメイド作品として製作する場合、品質表示が必要です。

  1. 繊維製品
  2. 合成樹脂加工品
  3. 電気機械器具
  4. 雑貨工業品

特にわかりやすいのは繊維製品で、使用した素材(割合)、家庭洗濯等取扱方法等が必要です。

購入した衣類等に付いている洗濯絵表示のタグを想像するとわかりやすいかもしれません。

6.PL法

PL法とは、製造物の欠陥等により人の身体・財産に損害が生じた場合の責任関係を明らかにした法律です。

このため、ハンドメイド作品を製造・販売する場合、自身の作品が原因で損害を被った相手に対し、損害賠償責任を負います。

6-1.PL保険

ハンドメイド作品を展示会、販売イベント等で展示・販売する場合、参加要件に「PL保険への加入」が含まれる場合があります。

保険内容は、損害を補塡するために必要なものが揃っている一方で、補償対象外となる場合もあるため、事前に確認しましょう。

ほとんどの保険会社がPL保険を取り扱っており、各社内容が異なる場合もあります。
このため、各社を比較衡量し、販売する商品に対応する保険を選びましょう。

ハンドメイド作品を販売する際に必要な許可・届出、注意点まとめ

当ページでは、ハンドメイド作品を販売する際に必要な許可・届出を解説しました。

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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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