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当ページでは、ビール卸売業免許の取得要件、申請方法、注意点を解説します。
Contents
ビール卸売業免許とは
ビール卸売業免許とは、製造元の所在地を問わず、ビール全般の卸売を行うために取得が義務づけられているものです。
ここでいうビールには、「発泡酒」等のリキュール類、醸造酒は含まれません。
発泡酒、リキュールは「洋酒」に区分されます。
免許可能件数と申請期間
ビール卸売業免許は、申請期間と免許可能件数が定められています。
具体的には、毎年9月1日に卸売販売地域を管轄する税務署の掲示板等への広告、国税庁ホームページに掲載される形で公表されます。
1. 免許可能件数
令和5年9月1日から令和6年8月31日までの期間における卸売販売地域ごとの免許可能件数は、国税局ごとに公表されています。
国税局名 | 卸売販売地域 |
---|---|
札幌国税局 | 北海道 |
仙台国税局 | 青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県 |
関東信越国税局 | 茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・新潟県・長野県 |
東京国税局 | 千葉県・東京都・神奈川県・山梨県 |
金沢国税局 | 富山県・石川県・福井県 |
名古屋国税局 | 岐阜県・静岡県・愛知県・三重県 |
大阪国税局 | 滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県 |
広島国税局 | 鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県 |
高松国税局 | 徳島県・香川県・愛媛県・高知県 |
福岡国税局 | 福岡県・佐賀県・長崎県 |
熊本国税局 | 熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県 |
沖縄国税事務所 | 沖縄県 |
2. 申請期間
原則、抽選対象申請期間に申請書を提出する必要があります。
抽選対象申請期間は、毎年9月1日から9月30日までであり、公開抽選の対象となります。
公開抽選とは、毎年10月に審査順位を抽選するもので、この順位に従って、申請者に「審査開始通知書」が送付されます。
ビール卸売業免許の取得要件
ビール卸売業免許を取得するには、下記すべてを満たす必要があります。
1. 人
下記の欠格要件に1つでも該当する場合、ビール卸売業免許を取得することはできません(酒税法 第10条第1号から第8号)
- 免許を取り消され、又は許可を取り消された日から3年を経過するまでの者
- 酒類販売業者である法人が免許を取り消された場合又は許可を取り消された場合において、それぞれ、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該法人の業務を執行する役員であった者で当該法人がその取消処分を受けた日から3年を経過するまでのもの
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が1・2・7・8に該当する者である場合
- 法人の役員のうちに1・2・7・8に該当する者がある場合
- 1・2・7・8に該当する者を販売場に係る支配人としようとする場合
- 申請前2年内において国税又は地方税の滞納処分を受けた者である場合
- 免許の申請者が国税若しくは地方税に関する法令、酒類業組合法、アルコール事業法の規定により罰金の刑に処せられ、又は国税通則法、関税法、地方税法の規定により通告処分を受け、それぞれ、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から3年を経過するまでの者である場合
- 未成年者飲酒禁止法、風営法、暴力団対策法の規定により、又は刑法上の一定の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者である場合
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの者
- 正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとする場合
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合その他その経営の基礎が薄弱であると認められる場合
- 酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えることが適当でないと認められる場合
2. 場所
ビール卸売業免許を取得するには、申請に係る酒類の販売場について、製造免許を受けている酒類の製造場、販売業免許を受けている酒類の販売場、酒場、旅館、料理店等と同一の場所に設けることは認められません(酒税法 第10条第9号)
また、申請販売場における営業について、販売場の区画割、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性、その他 販売行為において、他の営業主体の営業と明確に区分されていることが求められます。
レンタルオフィス、フリースペース等は販売場として認められない点に注意が必要です。
3. 需給調整
ビール卸売業免許の取得について、無制限に免許を与えると製造業者・販売業者が増えることとなり、事業者同士の過当競争を招き、酒類の受給均衡が破れ、本来の目的である「酒税の保全」に支障を来すおそれがあります(酒税法 第10条第11号)
このため、需給調整要件を満たす必要がありますが、申請者側でどうにかできないため、申請時に壁となる可能性があります。
4. 条件緩和(解除)の申出
一般酒類小売業免許を取得している場合、同一の販売場においてビール卸業を行う際、下記要件を満たすことで条件緩和を申し出ることができます。
- 酒類販売業免許の取消要件に該当しないこと
- 販売場における年平均販売見込数量(卸売基準数量)が50kl以上であること
- 需給調整要件を満たしていること
経営基礎の要件
ビール卸売業免許の申請について、下記の視点から経営基礎要件を問われます(酒税法第10条第10号)
1. 資産要件
- 現に国税又は地方税を滞納していないこと
- 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けていないこと
- 最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っていないこと
- 最終事業年度以前3事業年度の全ての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じていないこと
- 酒税法等の関係法令に違反し、通告処分を受け、履行していない又は告発されていないこと
- 販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反したことにより、店舗の除却又は移転を命じられていないこと
- 申請した販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかではないこと
- 申請等販売場における年平均販売見込数量(卸売基準数量)が50kl以上であること
2. 経験年数
- 免許を受けている酒類製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く)の業務に引き続き10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上直接従事した者
- 調味食品等の販売業を10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上継続して営業している者
- 上記の業務に従事した期間が相互に通算して10年(申請販売場が沖縄県に所在する場合は3年)以上である者
- 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者
3. 資金設備
ビール卸売業免許申請の流れ
ビール卸売業免許の申請について、申請後、公開抽選で決定した審査順位に従い、審査開始通知書が送付されます。
その後、2週間以内に必要書類を予定販売場の所在地を管轄する税務署に提出し、審査順位に従った審査後、結果が通知されます。
具体的には、所在地の所轄税務署を担当している酒税官(酒類指導官)のいる税務署に申請を行う必要があるほか、必要に応じ、税務署に足を運ばなければならない場合もあります。
1. 必要な書類
ビール卸売業免許申請は、下記の書類を提出して行います。
- ビール卸売業免許申請書
- 次葉1「販売場の敷地の状況」
- 次葉2「建物等の配置図」
- 次葉3「事業の概要」
- 次葉4「収支の見込み」
- 次葉5「所要資金の額及び調達方法」
- 免許要件誓約書
- 定款の写し
- 法人履歴事項証明書
- 履歴書
- 契約書等の写し
- 都道府県税の納税証明書
- 市町村税の納税証明書
- 最終事業年度以前3事業年度の財務諸表
- 登記事項証明書(土地・建物)
- 所要資金の確認書類(通帳のコピー等)
- 全酒類卸売業免許申請書チェック表その1
- 全酒類卸売業免許申請書チェック表その2
2. かかる費用
ビール卸売業免許について、免許1件につき9万円、酒類小売業免許の条件緩和(解除)を申し出た場合には6万円の登録免許税が必要です。
ビール卸売業免許の取得要件、申請方法、注意点まとめ
当ページでは、ビール卸売業免許の取得要件、申請方法、注意点を解説しました。