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当ページでは、寡婦年金の受給要件、受け取れる金額、遺族年金や死亡一時金との違いを解説します。
Contents
寡婦年金とは
寡婦年金とは、死亡者である夫と妻が一定要件を満たす場合、妻が60~65歳までの間に支給される年金を指します。
令和6年7月3日時点において、「寡婦年金」とあるように、ご主人が亡くした奥様は受け取れますが、奥様を亡くしたご主人が受け取る事はできません。
(1) 遺族年金との違い
夫を亡くした場合に受け取れる点では、寡婦年金と遺族年金は共通しますが、下記の点で異なります。
寡婦年金 | 遺族(基礎)年金 | |
---|---|---|
支給金額 | 夫が受け取ることができる第1号被保険者期間をもとに算出した老齢基礎年金の3/4 | 遺族基礎年金= 79.5万円+子の加算額 |
支給期間 | 最長、妻が60~65歳までの期間 | 子が18歳の年度末を迎えるまで、または、障害等級1級・2級に該当する場合には20歳の年度末まで |
支給対象者 | 夫に生計を維持されていた妻 | 死亡人に生計を維持されていた子のある配偶者・子 |
(2) 死亡一時金との違い
寡婦年金と死亡一時金の違いは、下記の通りです。
寡婦年金 | 死亡一時金 | |
---|---|---|
支給金額 | 夫が受け取ることができる第1号被保険者期間で算出した老齢基礎年金の3/4 ※付加保険料は考慮しない | 保険料の納付月数に応じ、12~32万円 ※付加保険料を納付していた場合、8,500円を加算 |
支給対象者 | 夫に生計を維持されていた妻 | 遺族のうち、最先の順位者 |
寡婦年金の受給要件
寡婦年金の支給を受けるには、死亡者、妻ともに要件を満たす必要があります。
1. 死亡者(夫)
寡婦年金を受け取るには、死亡者が下記を満たしていた必要があります。
- 老齢基礎年金・障害基礎年金を受給していない
- 保険料の納付期間が10年以上ある
1-1. 保険料の納付期間
保険料の納付期間について、死亡月の前月までに第1号被保険者として保険料を納めた期間だけでなく、免除を受けていた期間まで含めることができます。
また、保険料納付猶予制度や学生納付特例等を受けていた期間についても、算入することが可能です。
2. 配偶者(妻)
寡婦年金を受け取るには、妻が下記を満たす必要があります。
- 夫との婚姻期間が10年以上である
- 死亡した夫との間に生計維持関係がある
- 老齢基礎年金を繰り上げ受給していない
- 遺族基礎年金の受給資格がない
2-1. 婚姻期間
婚姻期間とは、戸籍上の婚姻に限らず、事実婚でも認められる場合があります。
2-2. 生計老齢基礎年金
寡婦年金を受給するために満たすべき「生計維持関係」とは、住民票上、同一世帯に属していること、または 住民票上は別世帯となっているものの、家計が同じ場合等を指します。
また、妻の前年の年収が850万円未満(所得655.5萬円未満)であること、または 死亡時にはこれを満たさないが、概ね5年以内には当該要件を満たす可能性が高いことを示す必要があります。
2-3. 遺族基礎年金
寡婦年金は、遺族基礎年金を受給している場合には受けることができません。
しかし、過去に遺族基礎年金を受給していた場合、受給できる可能性があります。
具体的には、子が成人し、遺族基礎年金の支給停止となっている場合が挙げられます。
寡婦年金で受け取れる金額
寡婦年金として妻が受け取れる金額は、「夫が受け取ることができる老齢基礎年金の3/4」です。
- 老齢基礎年金の満額×(保険料納付済月数+免除月数×4/8~7/8)÷(40年×12か月)×3/4
寡婦年金は非課税なので税金はかかりませんが、算出式がややこしいので、悩んだ際は、社労士または年金事務所までお問い合わせください。
寡婦年金の受給申請手続
寡婦年金を請求するには、下記の手続が必要です。
(1) 必要書類
- 基礎年金番号通知書 または 基礎年金番号がわかる書類
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票の写し
- 死亡者の住民票の除票
- 源泉徴収票や課税証明書など、請求者の収入が確認できる書類
- 受取先金融機関の通帳等
- 公的年金を受給している場合、年金証書 など
上記の他、各事案に応じて必要書類が異なるため、申請前に確認しておくと安心です。
(2) 申請窓口
寡婦年金の請求先は、市区町村の窓口、年金事務所、街角の年金相談センターのいずれかです。
(3) 請求期限
寡婦年金の請求手続ができるのは、夫の死亡から5年以内です。
寡婦年金を受給する際の注意点
寡婦年金を受給する際は、下記に注意しましょう。
1. 老齢基礎年金を繰り上げ支給していないこと
原則、老齢年金は65歳から支給されますが、希望すれば60歳から受給が可能です(これを「老齢基礎年金の繰り上げ支給」といいます。)
この点、寡婦年金の受給要件に「老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていないこと」とあるため、寡婦年金の請求時点において、繰り上げ支給を受けていると寡婦年金を受けられない点に注意が必要です。
2. 5年以内に申請すること
寡婦年金の受給申請には、夫の死亡から5年以内と期限が設けられています。
これに対し、死亡一時金を受ける場合は、夫の死亡日の翌日から2年以内と3年早い期限が設けられているため、いずれかの選択で迷う前に、期限を確認しましょう。
3. 65歳以上は受け取れないこと
寡婦年金は、60歳から65歳までの期間に限定し、支給されます。
このため、夫の死亡時に妻が60歳を過ぎていると、受給期間は短くなるため、死亡一時金と比較し、支給総額を考慮することをオススメします。
寡婦年金の受給要件、受け取れる金額、他制度の違いまとめ
当ページでは、寡婦年金の受給要件、受け取れる金額、他制度との違いを解説しました。