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当ページでは、診療所の移転に必要な手続と流れ、注意点を解説します。
Contents
診療所移転に必要な手続
診療所を移転するには、現行定款(寄附行為)を変更し、各都道府県の認可を受ける必要があります。
事務所のみ移転する場合
診療所は移転せず、事務所の所在地のみを移転する場合、同じく定款変更が必要です。
ただし、この場合には都道府県に対して定款変更の認可申請ではなく、定款変更届を行う事になります(医療法 第54条の9第3項、第44条第2項第4号、医療法施行規則 第33条の26)
移転前後で都道府県をまたぐ場合は、定款変更認可申請が必要な点に注しましょう。
診療所移転の流れ
下記の流れで診療所の移転手続を行います。
- 仮申請
- 本申請
- 認可書の受領
- 定款変更登記
- 診療所等の開設手続
- 保健医療機関指定、廃止手続
1. 仮申請
移転後の診療所開設等の手続を行うには、事前に定款または寄附行為の変更認可を受け、法人登記を済ませる必要があります(医療法 第44条第2項第3号、第54条の9第3項、組合等登記令第2条第2項第1号・3号、第3条)
通常、変更認可には3か月程度の期間を要するため、予定時期に事業の開設等ができるように、余裕をもって手続を進める必要があります。
2、3. 本申請、認可書の受領
仮申請の内容に問題がなければ、本申請(変更登記認可申請)の案内があり、申請後、認可が下りたら「認可書」が送付されます。
必要な書類
必要書類は下記の通りです。
- 定款等の新旧対照表
- 社員総会または理事会の議事録
- 現行の定款
- 変更後の定款
- 開設予定の施設概要
- 敷地図、案内図、平面図
- 土地の登記事項証明書
- 土地の賃貸借契約書(賃貸の場合)
- 建物の登記事項証明書
- 建物の賃貸借契約書(賃貸の場合)
- 管理者となるべき者の就任承諾書
- 管理者の履歴書
- 管理者の印鑑登録証明書
- 管理者の免許証
- 変更後2年分の事業計画書
- 変更予算書
- 拠出(寄附)の申込を証する書類
- 拠出(寄附)する不動産の登記事項証明書および評価額を証する書類
- 定款変更認可申請書類の副本
上記の他にも添付を求められる場合があるため、事前に確認しましょう。
4. 定款変更登記
診療所の移転後、2週間以内に定款変更登記を行います(組合等登記令第2条第2項第1号・第3号)
登記完了後、都道府県医療課および保健所に対し、登記事項証明書を提出しましょう。
5. 診療所等の開設手続
移転先の診療所について、保健所にて診療所開設許可申請を行います。
旧診療所において、エックス線装置を設置していた場合は、エックス線装置廃止・設置届を行います。
移転先での診療開始時を開設日とし、旧診療所の廃止日は最終診療日となりますが、移転先の開設届と併せて廃止届を提出することも可能です。
上記のほか、麻薬免許手続、生活保護法指定等の廃止指定が必要な場合がありますので、事前に確認しましょう。
6. 保健医療機関指定、廃止手続
移転先の診療所に着き、保健医療機関として指定を受けるため、移転先を管轄する厚生局に「保険診療期間指定申請書」を提出します。
一般的に、申請の締切は月の中ほどを設定している場合が多く、審査後、翌月初日が指定日となる点に注意しましょう。
ただし、移転前後の所在地が2km以内、患者の継承が認められる場合、遡及適用手続により継続的に保険診療が認められる場合があります。
6-1. 麻薬免許手続
麻薬施用者がいる場合、麻薬免許手続が必要です。
麻薬施用者が1人で、同一県内での移転の場合には、麻薬施用者免許証記載事項変更届、麻薬所有届、麻薬譲渡届を提出しなければなりません。
いっぽう、都道府県をまたいで移転する場合、上記に加え、麻薬施用者業務廃止届を提出する必要があります。
麻薬施用者が2人の場合は、麻薬管理者免許手続を行うことになります。
6-2. 生活保護法・労災指定等の廃止手続
移転前の診療所について、生活保護法や労災指定医療機関のほか、難病医療費助成指定医療機関、障害者指定自律医療機関等に該当する場合、対応する手続が必要となります。
このため、移転前にどのような指定を受けているかを事前に確認しましょう。
診療所移転の注意点
診療所の移転を検討する際、下記に注意しましょう。
1. 主たる事務所移転の効力が発生する日
主たる事務所を移転した場合、理事会での決定日と実際に移転した日のうち、遅い日を移転日として扱われます。
2. 開設診療所移転の効力が発生する日
診療所を移転する際の認可申請について、認可の効力が発生するのは、認可証を受け取った日です。
認可の到達日と診療所の移転日が大きく異なる場合、事務所移転登記と、目的等変更登記を同時に行うことが難しい点に注意しましょう。
診療所移転の流れと必要な手続、注意点まとめ
当ページでは、診療所移転の流れと必要な手続、注意点を解説しました。