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不倫による慰謝料の請求先、方法、注意点を解説

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当ページでは、不倫による慰謝料を請求できる相手、請求方法、注意点を解説します。

不倫による慰謝料の請求先

配偶者が不倫をしていた場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

不倫による慰謝料(不倫慰謝料)とは、既婚者が配偶者以外の相手と性的関係を伴う関係をもった場合に発生する慰謝料を指し、第三者(不倫相手)による不法行為によって受けた精神的苦痛に対する賠償金のことをいいます。

この場合の請求先は、「配偶者」「不倫相手」の両方、または どちらか一方となります。

ただし、いずれの場合も慰謝料は同額で、両方にしたから2倍というわけにいかない点に注意しましょう。

不倫について、配偶者と不倫相手はいわゆる「共犯(共同不法行為)」であり、連帯債務者と同様の関係になるためです。

不倫慰謝料を請求できる場合

不倫慰謝料を請求するには、下記を満たす必要があります(民法 第709条)

  1. 不貞行為の存在
  2. 不倫相手に故意・過失があること
  3. 不貞行為の当時、夫婦関係に問題がなかったこと
  4. 請求期限を過ぎていないこと
  5. 不倫相手の身元を特定していること

1. 不貞行為の存在

不倫慰謝料を請求するには、不倫という不法行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償の性質を持ちます。

このため、不倫という事実がなければ慰謝料請求は認められないことになります。

配偶者の不倫を立証できない、または 配偶者が認めない場合、裁判で事実を争うことになるため、不倫が疑われる場合には証拠を集めておきましょう。

離婚を希望する場合、裁判離婚において離婚理由として主張することも可能です。

2. 不倫相手に故意・過失があること

不倫慰謝料を請求するには、行為時において、行為者に故意 または 過失があることが必要です。

故意とは、結果がわかっていながら、敢えてその行為を行うことをいいます。

過失とは、一定の事実を認識できるにもかかわらず、注意を怠り、その事実を認識しなかったことをいいます。

不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合でも、配偶者が既婚だと認識できるような事情があれば、過失となります。

3. 不貞行為の当時、夫婦関係に問題がなかったこと

不倫慰謝料を請求するには、不法行為により権利を侵害されたことが必要です。

不倫により侵害される権利とは、「夫婦の貞操」を指すと考えられます。

具体的には、結婚生活が平穏に維持されることより保たれていた配偶者の人格的な利益です(東京地裁裁判所平成17年11月15日判決)

このため、配偶者が不倫相手と性的な関係をもった時点で夫婦生活が破綻している場合、保護すべき権利がなかったこととなり、慰謝料請求が難しい場合もあります。

4. 請求期限を過ぎていないこと

不倫慰謝料の請求には、下記の期限が設けられています(民法 第724条)

  1. 不倫の事実を知った時から3年
  2. 不倫の事実を知らなかった場合、最後の不貞行為から20年

上記は、婚姻関係を継続する場合であり、不倫が理由で離婚に至った場合、離婚成立日が起算点になると考えられます。

5. 不倫相手の身元を特定していること

慰謝料の請求期限でもある「加害者を知った時」について、被害者が不倫相手を特定した時点を指すものと考えられています。

不倫慰謝料を請求できない場合

下記に該当する場合、慰謝料を請求できない可能性があります。

  1. 不貞行為の事実を立証できなかった場合
  2. 不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していた場合
  3. 慰謝料請求の期限を過ぎた場合
  4. 不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合

1. 不貞行為の事実を立証できなかった場合

原則、配偶者と不倫相手が性的関係に及んだ事実がない、または これを証明できない場合、慰謝料請求が認められません。

ただし、必ずしも肉体関係を証明しなくてはならないわけでなく、「婚姻共同生活の平和の維持によってもたらされる配偶者の人格的権利」を侵害していると認められる場合、請求が認められる可能性があります。

2. 不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していた場合

配偶者の不貞行為時において、夫婦の婚姻関係が破綻していた場合には、慰謝料の請求が認められません。

具体的には、長期間の別居、継続的なDV・モラハラ、配偶者が家庭を放置し、共同生活が成立していない状態等を指します。

3. 慰謝料請求の期限を過ぎた場合

慰謝料請求が認められる期間内に請求しなかった場合、慰謝料請求権が消滅時効にかかるため、その後に請求することができなくなります。

4. 不倫相手が既婚者であることを知らなかった場合

不倫相手に慰謝料請求を行う場合、請求時点で配偶者が既婚者であることを知らず、または 知らなかったことに過失がない場合、慰謝料を請求することができません。

不倫による慰謝料について裁判で争う場合、不倫相手の故意 または 過失の立証責任は被害者が負うことになります。

不倫慰謝料を請求する方法

不倫慰謝料の請求は、下記の方法で行います。

  1. 協議(示談交渉)
  2. 調停
  3. 訴訟

1. 協議(示談交渉)

離婚を求める場合、配偶者と「財産分与」「年金分割」「養育費・親権者」等と併せ、慰謝料について話し合いましょう。

離婚を求めない場合、配偶者だけでなく、不倫相手も含めて話し合います。

相手が話し合いを拒否する場合、内容証明郵便で慰謝料請求書を送付する方法をとります。

協議が成立した場合、離婚協議書 または 示談書を作成し、公正証書にしましょう。

公正証書の場合、強制執行認諾文言をつけることができ、相手が約束を守らない場合に強制執行が可能になります。

2. 調停

離婚協議が調わなかった場合、家庭裁判所に調停を申立てる方法があります。

調停が成立すると離婚成立となり、慰謝料の支払いに関して強制力をもつ調停調書を入手することができます。

いっぽう、調停が不成立となった場合、審判 または 離婚訴訟に場を移して争うことになります。

審判の場合は決定、訴訟の場合は判決として、最終的な結論を導き出すことになります。

3. 訴訟

配偶者・不倫相手との示談交渉が決裂した場合や、内容証明郵便に何の音沙汰もない場合、裁判所に対し、訴訟を提起します。

訴訟を提起する裁判所は、請求額が140万円以下の場合には簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所になります。

これらの手続きを弁護士に依頼した場合、早期の解決はもちろん、慰謝料の増額も期待できます。また、自分自身の精神的な負担も軽減できますので、積極的な活用をオススメします。

不倫慰謝料の相場

結論から言うと、不倫慰謝料に相場はありますが、あまりあてになりません。

不倫慰謝料を請求する場合、不倫の状況、婚姻生活の状況、請求する相手、離婚の有無等により変動し、一概には言えません。

一般的な相場はネット等で簡単に検索できますが、内容は千差万別で、必ずしも自身の請求額とマッチするとは限らない点に注意しましょう。

適正 かつ 少しでも慰謝料を高く取りたい場合には、夫婦間のトラブルに強い弁護士に相談されるのが最適解だと思われます。

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不倫慰謝料を請求する際の注意点

不倫慰謝料を請求する場合、下記に注意しましょう。

1. 不倫の証拠集め

不倫慰謝料の請求に際し、不倫を立証できる証拠を集める必要があります。

1-1. 有効な証拠

下記に該当する資料は、不倫の証拠として有効となる可能性が高いです。

  1. 両者がラブホテルに出入りする様子を記録した写真・動画
  2. 両者の性的関係を推測できる内容のLINE、メール(DM含む)、手紙等のやり取り
  3. 両者の性的関係を推測できる通話音声・録音データ
  4. 不倫が疑われる日の配偶者 または 不倫相手のSNS等へのにおわせ投稿
  5. カーナビの履歴から不倫相手との外出等を推測させるもの
  6. クレジットカードの利用明細等でラブホテルの利用がわかるもの
  7. 手帳、日記等で相手と会う予定が記録されたもの など

1-2. 証拠の収集方法

不倫の証拠を収集について、下記の方法が考えられます。

  1. 配偶者の車内、自宅内にボイスレコーダー・カメラを設置する
  2. 配偶者の衣類、バッグ等の中身を確認する
  3. 探偵・弁護士に依頼する

これらの方法を実施する場合、ボイスレコーダー・カメラの設置場所や、不倫相手の住居に無断で立ち入る等の行為は避けましょう。

いずれも刑法等の犯罪に該当し、刑事告訴 または 不倫相手から損害賠償を請求される可能性があります。

2. 時効期間内の請求

不倫慰謝料の請求は、下記の期間を経過すると消滅時効にかかります。

このため、時効期間の満了を食い止める措置(催告、裁判上の請求など)を早期に行う必要がある点に注意しましょう。

  1. 離婚成立の日から3年、最後の不貞行為から20年(離婚する場合)
  2. 不倫の事実を知った時から3年、最後の不貞行為から20年(離婚しない場合)
  3. 不倫相手の身元特定から3年

3. 慎重に検討する

不倫相手が既婚者の場合、不倫相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。

離婚せず、婚姻関係を継続する場合で、夫婦の財布が同じ場合には、不倫相手への慰謝料請求よりも高額な支払いを要し、結果的にマイナスになる可能性もあります。

離婚を検討している場合や、夫婦で財布を分けている場合にはあまり気にしなくていい内容かもしれませんが、不倫相手も既婚の場合は、1度弁護士に相談されることをオススメします。

4. 慰謝料支払義務に関する求償権の放棄

不倫相手に故意 または 過失が認められる場合、配偶者・不倫相手は1つの慰謝料支払い義務を連帯して負担することになります。

この場合、配偶者と不倫相手との間で負担割合を決めておくと、一方が全額を支払った場合、他方の負担部分の支払いを求めることができます(この権利を「求償権」といいます)

各自の負担割合は当事者間で自由に決めることができるため、慰謝料を請求する側にとってマイナスになる可能性もあります。

このため、示談交渉を行う際は、求償権を放棄してもらうことについて、不倫相手の同意を得ておくと安心です。

不倫による慰謝料の請求先、方法、注意点 まとめ

当ページでは、不倫による慰謝料の請求先、方法、注意点を解説しました。

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