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養子縁組の要件、必要な手続、注意点を解説

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当ページでは、養子縁組の要件、必要な手続、注意点を解説します。

養子縁組とは

養子縁組とは、血縁関係に関わらず、法律上の親子関係を認める制度を指します。

縁組みにより親になる人を「養親」、子になる人を「養子」といいます。

養子縁組の種類・要件

養子縁組は「普通養子縁組」「特別養子縁組」に区別され、要件が異なります。

(1) 普通養子縁組

普通養子縁組とは、縁組み後も実親との親子関係が存続するものをいい、下記を満たす必要があります。

  1. 養親は20歳以上であること
  2. 養子は養親よりも年齢が低く、尊属でないこと
  3. 養親・養子本人が同意すること
  4. 養子が15歳未満の場合、養子の法定代理人が合意すること
  5. 市区町村役所に養子縁組の届出をすること
  6. 養親 又は 養子に配偶者がいる場合、原則、配偶者の同意を得ること
  7. 家庭裁判所の審判を経ること(未成年の場合)

養親・養子は、互いに扶養義務を負うほか、養子は養親の名字を名乗ることになります。

(2) 特別養子縁組

特別養子縁組とは、養子と実親との法的な親子関係を解消し、実子と同じ親子関係を結ぶ制度を指し、下記を満たす必要があります(民法 第817条各号)

  1. 実親の同意を得ること
  2. 養親は婚姻関係にあること
  3. 養親は25歳以上で、かつ、他方は20歳以上であること
  4. 養子は原則15歳未満であること
  5. 特別養子縁組の審判よりも前に、養子となる子を6か月以上監護していること
  6. 養子となる児童の利益のため、特に必要があること
  7. 家庭裁判所の審判を経ること

特別養子縁組の場合、家庭裁判所の審判により決定を受ける必要があります(民法 第817条の2)

養子縁組と里親制度の違い

里親制度の場合、里親と児童との間に法律上の親子関係は生じませんが、養子縁組の場合、親子関係が発生する点で異なります。

また、養子縁組の場合には、養親が親権者として子に関する法的な責任を負います。

里親制度の場合、養子縁組里親・親族里親の類型を除き、あくまで「預かる」制度にとどまります。

法律上の親子関係とは

法律上の親子関係とは、具体的に下記を指します。

  1.  親子それぞれの法定相続人に互いが含まれる
  2.  子が未成年の場合、親に親権が発生する
  3.  原則、子は親の名字となる
  4.  互いに扶養義務を負う

里親制度では実親の同意等が必要な場面もありますが、養子縁組の場合、養親が親であり、実親の同意は不要となります。

養子縁組を検討すべき場面

下記に該当する場合、養子縁組がオススメです。

  1.  再婚相手に連れ子がいる場合
  2.  承継してほしい財産・事業等がある場合
  3.  孫に相続させたい場合
  4.  実親による養育が難しい場合

1. 再婚相手に連れ子がいる場合

子がいる相手と婚姻した場合、養子縁組をしない限り、相手の子との間に親子関係は生まれません。

このため、連れ子に相続させたい場合や、親権者として権利を行使したい等の希望がある場合には、養子縁組を検討しましょう。

2. 承継してほしい財産・事業等がある場合

自身が事業を行っている、または 相続人がいない場合、事業や財産を承継してほしい相手と養子縁組する方法があります。

3. 孫に相続させたい場合

自身の財産について、子の他、孫に相続させたい場合、孫と養子縁組する方法があります。

原則、子が生きている場合に孫は相続人にはなりませんが、養子になることで、子と同じ順位での相続が可能となります。

4. 実親による養育が難しい場合

親族の中に実親による養育が難しい児童がいる場合、養子縁組し、面倒を見る方法があります。

養子縁組のほか、親族里親という選択肢もあります。

養子縁組の手続

養子縁組は、下記の流れで行います。

1. 普通養子縁組

普通養子縁組の場合、下記の手続が必要です。

  1. 当事者の合意
  2. 家庭裁判所に申立て(子が未成年の場合)
  3. 市区町村役所に届出

普通養子縁組では、当事者の合意 または 法定代理人と養親の合意が必要です。

養親 または 養子に配偶者がいる場合、双方の同意が必要な点に注意しましょう。

養子が未成年の場合、家庭裁判所への申立てが必要ですが、成年の場合や、再婚者の連れ子、養親の孫との養子縁組では不要です。

養子縁組届に必要事項を記入のうえ、養親・養子の本籍地 または 所在地を管轄する市区町村役所に提出しましょう。

1-1. 必要な書類

普通養子縁組の場合、下記の書類が必要です。

  1.  養子縁組届出書
  2.  本人確認書類
  3.  養親・養子の戸籍謄本(全部事項証明書)
  4.  家庭裁判所の審判書謄本(未成年の場合)

養子が未成年で、家庭裁判所に審判を申立てる場合、下記の書類が必要です。

  1.  申立書
  2.  養親の戸籍謄本(全部事項証明書)
  3.  未成年者(養子)の戸籍謄本(全部事項証明書)
  4.  未成年者が15歳未満の場合、法定代理人の戸籍謄本(全部事項証明書)

2. 特別養子縁組の場合

特別養子縁組の場合、下記の手続を行います。

  1.  養親による申立て
  2.  家庭裁判所による調査
  3.  特別養子適格の審判
  4.  監護期間(6か月以上)
  5.  特別養子縁組成立の審判
  6.  市区町役所に特別養子縁組の届出

養親となる人は、家庭裁判所に対し、(1) 特別養子適格の確認、(2) 特別養子縁組成立の審判を申立てる必要があります。

申立てを受けた家庭裁判所は、養子縁組のあっせん機関への聴き取り、養親となる人との面談等の調査を行います。

6か月の監護期間における養育状況を踏まえ、家庭裁判所は、特別養子縁組が適格かどうかを判断します。

特別養子縁組成立の審判に至った場合、その日から10日以内に、養親・養子の本籍地 または 所在地を管轄する市区町村役所に特別養子縁組の届出をしましょう。

2-1. 必要な書類

特別養子縁組の場合、下記の書類が必要です。

  1.  特別養子適格の確認の申立て
    ア 申立書
    イ 養子の戸籍謄本(全部事項証明書)
    ウ 養子の実親の戸籍謄本(全部事項証明書)
  2.  特別養子縁組成立の申立て
    ア 申立書
    イ 養親の戸籍謄本(全部事項証明書)
  3. 届出に必要な書類
    ア 特別養子縁組届
    イ 特別養子縁組の審判書の写し(謄本)・確定証明書
    ウ 養親・養子の戸籍謄本(全部事項証明書)

養子縁組の注意点

養子縁組を検討する際、親族関係に変動が生じる点に注意しましょう。

具体的には、相続時における相続人、相続割合、相続にかかる税率等が挙げられます。

相続対策に養子縁組を用いる場合、特に注意が必要です。

養子縁組の要件、必要な手続、注意点 まとめ

当ページでは、養子縁組の種類・要件、必要な手続、注意点を解説しました。

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カテゴリー: 相続・相続税


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榊原沙奈
(さかきばら さな)
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