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当ページでは、詐欺に気づいた場合の対処法、相談窓口、注意点を解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′) / 榊原行政書士事務所 代表行政書士 / 3級FP技能士 / やぎ座のO型 / 趣味は写真を撮ること、神社をめぐること
詐欺とは
詐欺とは、人を欺いて金銭等を交付させたり、相手に損害を与えることをいいます。
刑法では「詐欺罪」として定義され、成立した場合、10年以下の懲役に処されます(刑法第246条)
詐欺罪の成立要件
詐欺罪が成立するのは、下記を全て満たした場合です。
- 欺罔行為
- 相手方の錯誤
- 財物の処分行為
- 占有移転、利益の移転
- 相当因果関係
1.欺罔行為
欺罔行為とは、人を欺き、騙す行為をいいます。
欺罔行為として認められるのは、故意に虚偽の事実を伝えた場合で、後発的な事情により内容を達成できなかった場合には認められません。
例えば、お金を借りる際に取り決めた期日が何らかの事情で過ぎた場合、契約違反になりますが、必ずしも詐欺罪と認められるわけではありません。
2.相手方の錯誤
錯誤とは、行為者(被害者)の主観と客観的な事実に不一致が生じている状態を指します。
要するに、「だまされていることに気づかず、信じている状態」です。
加害者の欺罔行為により、被害者が錯誤に陥ることを要件とします。
3.財物の処分行為
詐欺罪の成立には、加害者の欺罔行為により、被害者が錯誤に陥った結果、処分行為を行うことが求められます。
ここでいう処分行為は、被害者自ら財物を処分することを指すため、加害者自身が被害者の財物を処分した場合、窃盗罪等の罪に問われることになります。
4.占有移転、利益の移転
1から3までを満たした結果、財産の引渡し、財産上の利益を加害者に移転することが求められます。
被害者の意思に基づかない財産の移転等は、別の罪に該当する可能性があります。
5.相当因果関係
詐欺罪の成立には、1から4までに因果関係があることが不可欠です。
いずれか1つでも認められなかった場合、「未遂」の扱いとなります。
詐欺に気づいた場合の対処法
詐欺に気づいた場合、下記の方法で対処しましょう。
1.証拠の確保
詐欺に遭ったと気づいた場合、詐欺であることを立証するために証拠を示す必要があります。
相手とのやり取り、気づくまでに支払った金額がわかる書類等を確保し、電子データやプリントアウトして保管しましょう。
- 購入した商品の掲載ページ・広告等
- サイトのURL、スクリーンショット
- 業者とのやり取りをスクリーンショット、プリントしたもの
- 届いた商品、梱包、納品書、請求書、契約書類等
- ATM利用明細、クレジットカード明細等、入金が確認できる資料
2.お金を払わない
既に金銭を支払った場合、これ以上支払を続ける必要はありません。
相手から支払を催促された場合も同様に、支払う必要はありません。
特殊詐欺の種類別の対処法
特殊詐欺の種類別に、対処法をご紹介します。
1.オレオレ詐欺
オレオレ詐欺とは、親族を装った加害者から、何らかのトラブルに巻き込まれたことを理由に、示談金等と称し、金品を取得する詐欺類型です。
1-1.被害防止策
オレオレ詐欺の被害を防止するために、下記の方法をとりましょう。
- 留守番電話機能を設定
- 家族間でまめに連絡を取り合う
- 迷惑電話防止機器の利用
- 事前に親族間で合い言葉を決めておく
- 個人情報、暗証番号を他言しない
- 振込限度額を下げる
1-2.電話がかかってきた場合
実際に電話がかかってきた場合、下記の方法が考えられます。
- こちらから親族の名前を出さない
- 発信元の電話番号に折返し、相手を確認する
- 警察官、銀行員等を名乗られても鵜呑みにしない
1-3.オレオレ詐欺の被害に遭った場合
オレオレ詐欺が疑われる場合、下記の手続を行いましょう。
- 振込先の金融機関等へ連絡
- 警察に被害届を提出
- 弁護士等に相談
2.預貯金詐欺
預貯金詐欺とは、警察官・銀行職員を名乗る加害者から「払戻し金がある」「キャッシュカードを新しく発行する必要がある」等といい、キャッシュカードをだまし取る詐欺方法をいいます。
2-1.被害防止策
預貯金詐欺の被害防止方法は、下記の通りです。
- 留守番電話機能を設定する
- 迷惑電話防止機器の利用
- 知らない番号からの着信に対応しない
2-2.預貯金詐欺の被害に遭った場合
預貯金詐欺が疑われる場合、下記の手続を行いましょう。
- キャッシュカードの利用停止
- 警察に被害届を提出
- 弁護士等に相談
3.架空料金請求詐欺
架空料金請求詐欺とは、事業者を名乗る加害者からサービス料の未納を指摘・請求され、裁判所・法務省等の名義で自宅にハガキを送付され、実際に使用していない架空の料金を支払わせる詐欺方法です。
3-1.架空料金請求の被害に遭った場合
架空料金請求詐欺が疑われる場合、下記を実行しましょう。
- SMS、ハガキに記載された連絡先に連絡しない
- 金銭の支払要求に応じない
- 個人情報、暗証番号等を教えない
- 最寄りの消費生活センターに相談
- 警察に被害届を提出
4.還付金詐欺
還付金詐欺とは、税務署、年金事務所、自治体等の職員を名乗る加害者から、医療費・保険料・税金等の過払い金、未払い分があることを理由に金融機関情報を求めてくる詐欺手段です。
払戻しには期限があると焦らせ、ATMを操作させた結果、加害者に振込む手続が完了してしまう事例です。
4-1.被害防止策
事前に還付金詐欺を食い止めるには、下記の方法が考えられます。
- 留守番電話機能を設定する
- 迷惑電話防止機器を利用
- 税務署、年金事務所、自治体等を名乗られても信じない
- 金銭の話が出た場合は親族に相談
4-2.還付金詐欺の被害に遭った場合
還付金詐欺が疑われる場合、下記の手続を行いましょう。
- 警察に通報
- 指定された金融機関等に連絡
- 国民生活センターに相談
5.その他
上記のほか、下記の詐欺もあります。
融資保証金詐欺 | 無担保、低金利、保証人不要等と記載されたSMS・ハガキ等が届き、連絡をすると融資と称し、金銭の振込み等を求められる |
金融商品詐欺 | 未公開株・社債等の投資、商品購入に関するSMS・ハガキ等が届き、相手から電話等で連絡がある 契約・購入した覚えはないのに、解約料等の名目で支払を要求される |
交際あっせん詐欺 | 雑誌・メール等に記載された助成紹介等の案内に対し、申込みを行った人に会員登録料(入会費)・保証金等の名目で金銭を要求する |
いずれの場合も、自発的な情報開示を誘発するような言動が目立つのが特徴なので、怪しいと感じたら、警察相談専用窓口(#9110)、消費者ホットライン(188)までご相談ください。
詐欺被害に遭わないためのポイント
手を替え品を替え、消費者を欺こうとする詐欺業者に屈しないよう、下記のポイントを抑えましょう。
- 住所がばれても焦らない
- 詐欺の大半は「無効」
1.住所がばれても焦らない
詐欺業者から自宅宛に郵便が届く場合があります。
この原因は、過去に利用したサービス業者が持つ顧客情報の流出、顧客名簿の売買等が考えれます。
氏名・住所等の情報が全く漏れないことはありえないと割り切り、自己防衛に努めましょう。
自分の住所が知られていることに不安を感じることもあるでしょうが、こちらから連絡をしない限り、詐欺業者は手も足も出せません。
1-1.裁判所名義の郵便物
架空料金請求詐欺の場合、裁判所・行政名義で郵便物が届くことがあります。
本物の裁判所からの支払督促、少額訴訟の呼出状等であるにもかかわらず放置した場合、不利益を受ける可能性があるため、本当に裁判所からの通知であるかを確認しましょう。
この場合、当該郵便に記載された連絡先には連絡せず、裁判所ホームページ等で確認してください。
上記の書類が裁判所から届く場合、「特別送達」という郵便で送付され、
(1)「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書
(2)郵便職員から手渡し
(3)「支払督促」「少額訴訟の呼出状」の事件番号・事件名
が記載されています(出典:督促手続・少額訴訟Q&A)
1-2.ワンクリック請求の場合
ワンクリック請求とは、インターネット上のサイト・送られてきた電子メール等に記載されたURLをクリックすると、登録完了画面等が表示され、利用料金等の名目で金銭の支払を求める詐欺の手法です。
このようなサイトの多くは、こちらの情報を抜き取ったかのような情報を表示させることもありますが、ここで表示される情報のみで、自分の住所・連絡先が特定されることはありません。
消費者側の同意・確認がない場合、契約は成立しませんのでご安心ください。
2.詐欺の大半は「無効」
通常、特定の商品・サービスに関する契約は、契約の前に、商品価格、支払条件、事業者情報、責任者情報、連絡先、契約内容等を説明し、消費者の同意を得る必要があります。
架空料金請求詐欺・ワンクリック請求等の場合、こうした義務を一切履行していないため、契約が成立する余地はなく、高圧的な料金請求に応じる必要はありません。
詐欺に遭った際の相談窓口
詐欺が疑われる場合、下記の相談窓口までご相談ください。
警察相談専用電話 | #9110 |
サイバー事案に関する相談窓口 (警察庁) | 都道府県警察の連絡先、警察署一覧 |
警察庁LINE公式アカウント | 警察庁 | LINE 公式アカウント |
インターネット・ホットラインセンター | IHC – インターネット・ホットラインセンター (internethotline.jp) |
国民生活センター | 188 または 03-3446-1623 最寄りの消費生活センター検索 |
金融庁 | 振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ |
情報処理推進機構 (情報セキュリティ安心相談窓口) | 03-5978-7509 |
未公開株通報専用窓口 (日本証券業協会) | 0120-344-999 |
匿名通報ダイヤル | 0120-924-839 |
法テラス | サポートダイヤル 0570-078374 |
日本弁護士連合会 (日弁連) | 日本弁護士連合会:HOME (nichibenren.or.jp) |
詐欺被害に遭った場合の救済措置
詐欺被害に遭った場合、下記の手続を経ることにより、返金を受けられる可能性があります。
1.クレジットカードのチャージバック
チャージバックとは、クレジットカード会社が不正利用された際、クレジットカード会社がその代金の売上を取消すことをいいます。
この結果、販売元の加盟店では、クレジットカード会社に利用代金を返金する義務を負います。
クレジット決済による詐欺被害の場合、クレジットカードに連絡することでチャージバックによる返金を受けられる可能性があります。
2.加害者との示談交渉
犯人が特定できている場合、直接交渉し、返金を求める選択肢があります。
ただし、素直に応じてもらえる可能性は低く、仮差押え・民事裁判等の法的措置を検討することになります。
犯人の特定、刑事告訴等の選択肢も拓けるため、弁護士にご相談されることをお勧めします。
3.法律に基づく被害回復分配金
犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(以下、「振り込め詐欺救済法」といいます)により、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺のほか、ヤミ金融、未公開株式購入に係る詐欺等を対象に、被害回復分配金による救済措置を受けられる可能性があります。
被害回復分配金を受けるには、下記を満たす必要があります。
- 被害に気づいたら、直ちに振込先の金融機関等へ連絡
- 被害回復分配金の支払を受けるため、被害の申請を行う
- 犯人が預金口座等からお金を引き出す前に手続を完了する
振込手続による詐欺が対象なので、それ以外の場合は適用外となる点に注意しましょう。
詐欺に気づいた場合の対処法、相談窓口、注意点まとめ
当ページでは、詐欺に気づいた場合の対処法、相談窓口、注意点を解説しました。